其の一 夜の星を見て
少年は立ち呆けていた。
静寂の時間帯にしては騒がしく、空の色と反対に辺りはまぶしい。
それでも少年は、吸い込まれるような黒い空に思いを馳せていた。
星は、小さい?大きい?
恐らく、両方だろう。
これはなにも、物理的な話ではなく、感覚的な話だ。
よく、星を「光の粒」などと、表現するが、実際はとてつもなく大きいものである。小さく見えるのは地球から離れているからである。
そんなことは分かっている。
それでも、自分の目には光の粒として映っている。
星の大きさを意識し、遠くのものを見るように目をぐぅっとして見てみる。
自分が見ているものは、とても遠くにある、とても大きなものだ。
どんなに目が悪くても見えるが、どんなに目が良くても見えない。
遠近感覚と大小感覚が一致しない。
そもそも星の大きさにもばらつきがあって、本当の大きさを感覚的に捉えることは難しい。
それでも大きいことはわかる。
暗い宇宙にあっても見えるくらい明るくて、本当なら目なんて潰れている。
それでも、僕らの目には、小さく、美しく輝く光の粒に見えている。
この感覚を何と呼べば良いのか。
言語という、お互いの感覚を伝え合う架け橋をする役目のものが、脳と脳を隔てる壁に思える。
僕は一生、この感覚か脳に張り付いたまま生きていくんだろうな。
誰にも共有できないまま。
一緒に墓に入る友達が、また増えたな。
これで死んでも淋しくないや。




