半分天使
You are an angel.
Only my angel
Anyhow, with the innocent wing, it rescues and it severs me below……
ようやく訪れた静寂に息をつく。
毎日毎日、朝から晩まで、ただ忙しく過ぎる日々。
一体、今日は何時間、座っていられただろう?
「…眠ったか?」
「ええ」
ささやくように問う声に答えて身を起こす。
真っ暗だった部屋から出ると、電灯の眩しさに目がくらんだ。
「大丈夫かよ」
支えるように、大きな手が肩を抱く。
「平気よ」
笑顔で答えると、彼も笑いかけた。
決して弱音など吐かない性格なのは承知しているらしい。
少しやせて、睡眠不足なのか顔色もあまり良くはないけれど、笑顔は確実に増えている。
「毎日、お疲れさん」
さりげなくかけられたいたわりの言葉に、もう一度微笑む。
「確かに、毎日大変だけど」
本心を隠さず、正直なところを口にする。
それからまた、笑って言った。
「楽しいのよ」
天使だから。
その笑顔を目にするだけで、幸せになれるから。
すやすやと響く穏やかな寝息に、二人は視線を向ける。
布団にうずもれ、両手を上げて眠るは愛し子。
「ああしてると、昼間のヤンチャぶりが嘘みたいだぜ」
「元気なのが一番よ」
初めての育児は、どうしたらいいかわからない事も多くて、いろいろと手を焼くけど。
「眠ってる時は天使だな」
無邪気な寝顔に、いとおしさが込み上げる。
「私にとって、あの子はいつでも天使よ」
寝返りをうったはずみで、小さな足が毛布を蹴飛ばした。
それを掛け直すべく、再び寝室へ戻る。
あふれんばかりの幸福感が胸に満ちていた。
愛してくれたのは夫。
初めて胎内に生命が宿ったと知った時、迷わず産む事を望んでくれた。
救ってくれたのは子供。
無償の愛を一身に与えてくれる存在。
毛布を直し、そっと子供の頬に口づける。
それから足音をしのばせてドアへと戻り、静かに閉めた。
「なぁ」
ふいに抱き寄せられ、夫の顔が近づく。
「オレにも♡」
自分の唇を指し示し、ニコニコとねだる夫に苦笑する。
こういう時は、絶対キスだけではすまないのだ。
───だけど。
天使の来訪なら拒まない。
きっと、多い方が幸せも増す。
そう考えながらキスをした。
END




