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「トウラ」と名乗る人物からの電話は、記録しないでください  作者: ブルマ提督


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ゴシップ誌の記事「大手コールセンターI・G社の闇!? 在籍記録の隠ぺいとは!?

全国に拠点を持つコールセンターのI・G社(特定を避けるため社名は伏せます)

同社では、在籍履歴の隠ぺいが行われていたと匿名でのタレコミがあった。


今回、元社員のO氏に連絡をとれて話を伺うことが出来た。

彼は、数週間前に辞めているそうだがところどころでおかしなところがあったと話す。


――コールセンターに入った理由は、どういった内容でしたか


O氏「コールセンターに入った理由は、つなぎというか。もともと入りたい会社があったんです。そこの求人が出ていなかったので、つなぎで働いていました。コールセンターは、都合がよかったんですよ。シフトは割と自由なんで」


――なぜ辞めてしまったのでしょうか


O氏「入りたい会社に入社できたんです。たまたま求人が出ていて、面接を受けたら受かったので。県外なので、引っ越しの事も考えて早めに辞めました」


――なるほど


O氏「辞めたかったってわけじゃないんですよ。なんだかんだで働けていたんで。上司もいい人でした。応援するって言われたんで。……ただ、あの会社はちょっと変な部分があって」


――在籍記録の話ですか?


O氏「在籍……そう、ですね。……いや、それもあるけど。……というか、意味が分からないんですよね」


――どういうことですか?


O氏「えっと……。コールセンターって、指名が出来ないんですよ。よほど、面倒な事をしていたとかでない限り。ただ、確認はするわけですよ。一応。それで、伝言を残している人がいるんですよ」


――伝言?


O氏「途中で電話が切れた、とか。あとは、いったん電話を切って調べてかけなおしても不通……出ないってあるじゃないですか。その時、業務日誌に引き継ぎを書くんですよ。これこれこういう事をしていました。こう伝えてって」


――なるほど。そうすれば、次に電話を取った人が話して終わりですもんね


O氏「そうです。で、大体は話して終わりなんですけど。……たまに、在籍履歴がない時があるんですよ」


――? いない人の業務日誌があるという事でしょうか


O氏「そういう事です。おかしいですよね。在籍自体がない人の業務日誌があるんです」


――もしかして、水増し……?


O氏「かもしれないです。……といっても、変な話ですよね。……それに閉鎖するなんて思わなかったですね。なんで、急に」


――何も知らされていないのでしょうか


O氏「そう、ですね。少なくとも、自分が辞める前には閉鎖とかは特に……。なんで、ニュース見てびっくりしました」


――もしかすると、Oさんが言った在籍記録の話と関係あるのでしょうか


O氏「どうなんでしょう。自分はもうやめてますし。……もし、本当に水増しのために架空の社員を作り出していたら怖いですね。しかも、業務日誌とか通話記録も消すなんて」


――? どういうことですか


O氏「あ、そうですね。コールセンターでは、対応をよくするために録音をしているんです。そういうアナウンスって、聞いたことありません?」


――ありますね! 通話品質向上のためみたいな


O氏「それです。録音はしているんですけど、一般オペレーターが聞き返すことはないんです」


――そうなんですか? 


O氏「はい。あと、お客さんの中に『これを言っただろ! 通話を録音しているなら、聞いて確かめてこい!』って言う人がいるんですけど……」


――証拠として使いたいという事ですか


O氏「そうです。ぶっちゃけ、そういった用途で使わないので断ってます。よほどのことがない限りはしません。録音を保存する期間もありますし、聞いて該当箇所を確認するのも時間がかかるし。面倒なんですよ」


――言った言わないの水掛け論の解決には、使わないと


O氏「そうです。だって、それだと面倒じゃないですか。言う言葉なんて『言ってました。すいません』か『言ってません』のどちらかなんですから。しかも、時間をかけても一言二言で終わり。時間の無駄だと、自分は思いますね」


――すごい厳しいですね(笑)


O氏「まぁ、意味がないんで。あ、話がそれましたね。ええと、あぁ、録音か。なんか、いつもは残すはずの通話記録と業務日誌なんですが、一部はすぐに破棄されているようで」


――破棄?


O氏「はい。業務マニュアルにもあったんですけど、特定のお客さんの記録はその場で破棄しろって」


――そんなことをして、大丈夫なんでしょうか


O氏「知らないです……。詳しく聞こうにも、その話だけ避けられたんで」


――Oさんは受けたことがありますか?


O氏「それっぽいのは。ただ、変な電話なんてコールセンターでは日常ですよ? 1日8時間で大体30~40件……かな、それくらいたくさんの電話が来ますから。変な電話が来ない事の方がおかしいです」



・編集後記

彼の話を総合すると「架空社員による破棄されなければならない業務日誌と通話記録」があったようだ。

I・G社では現在、主要拠点の閉鎖や人員整理が行われている。

いったい、同社で何が起こっているのか。


【参考資料】

以下に当取材班が確認した行方不明者の一覧を掲載する。

いずれの人物も同じ拠点に所属していたことが判明している。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

行方不明者リスト(10/9現在)

【一般窓口】

佐藤いお

田中浩司

高橋ゆり

大久保勇

上田幹太

内藤由紀

河合圭吾

相原亮

川原学

中田亜紀


上村愛

中間慶

市川蘭

中口雄太


【情報システム部】

加藤栄太

伊東博信


【総務部】

江田マイカ

武謙信

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

彼らの名前は、会社のデータベースからも消去されていることが独自取材で判明した。


今なお沈黙を続ける上層部に対して、株主や従業員の家族は説明責任があるものとして非難が殺到している。

取材班はこれからもI・G社を追っていく。


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