10/7 トウラ
日付:10/7
担当:中田
内容:なし
備考欄:「トウラ」から連絡。
何か話していましたが、切断。クローズします。
通話記録
中田「はい、イロージョンガードの中田が担当いたします」
――なかだ……なかだ……あ、中田さん
中田「? はい、中田です」
――こんにちは。えっと、そちらの二階について、のことで
中田「二階、でしょうか」
――はい。
中田「私どもの働いている社屋には、二階はありませんが……」(激しいノイズ)
――いえ、あの、中田さんの家のことで
中田「私?」(切断ボタンを押した形跡アリ)
――はい。騒がしいらしくて。……何かありましたか?
中田(短く息を呑む音が聞こえる)「……っい、いえ。何でもありません。今日は、どういった用事でしょうか」
――…っ……、あれ(ノイズが激しく聞き取り不可)
中田「お客様?」
――ちょっと……まってください……。えっと……。あーあー(小さく聞こえる)
中田「はい」
――あー、よし。いえ、あの、中田さんの二階なんですけど。夜中、一定の回数で物音が聞こえません? 大きいものを落とす……感じ」
(通話中、ドンと音がする)
中田「え……」
(数秒、無音)
――多分してますよね。何とかしたほうがいいです(数度、ドンと音がする)
中田「あの……お客様は……今、どこから……」(右クリックのカチカチ音が聞こえる。切断ボタンを連打している)
――大丈夫です。何とかできますから。それだけです。じゃ、トウラでした
(切断する数秒前に、ドンという音と悲鳴)




