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誰かの命で稼いだ時間で、危険地帯に入る前の作戦会議。

投稿を1つ飛ばしておりましたm(__)m

入れ替えています!

ゾンビから離れるように足早に十字路を渡る。


数ブロック離れて、美咲がペースを落とした。



歩きながら考えていたことを話す。



「美咲、ゾンビなんだがな、あいつら食べ尽くしていないのに立ち上がっていたよな。喰うよりも殺すために襲っているんじゃないか」


「行動原理は分からないけど、骨になった死体を見ないことからすると、殺して、食べるけど、食べ尽くさない。まるで、ゾンビを増やすために最適化したみたいなバランスね」



彩葉も聞いている。



「人類滅亡ウイルス作りましたって感じっすね」



移動しながらでは立ち止まって観測することもできない。


実験することも無理だ。


俺たちにできるのは不確実な生態予測を重ねることだけ。



その予測で生存率が僅かでも上がるなら、止めることなどできなかった。



*



大通りから遠く悲鳴が響く。


クラクションがなった。



美咲が立ち止まり思案する。



「裏道にゾンビが少ないのは、大通りの人間がそれを引き付けているからよ。でも、あの車にいた人たちはどこに行ったのかしらね?」



その問いを考える。確かにどこにいったんだろう。


渋滞で車が詰まる。


ゾンビが来て車を捨てる。



車を捨てる決断ができなかった人がゾンビに囲まれて囮役になる。


この囮役は今も囲まれて死を待っている。



では、捨てた人はどこに行った?



「さっきの子どものように噛まれた人は近く死んでゾンビになるわよね?じゃあ、それ以外の人は?」


「まぁ、マップアプリで近くの学校とか、ショッピングセンターとかじゃないか」


「だとしたら、ショッピングセンターで籠城はやっぱり無理ね。大通りで感染した人間が入ってくる。コンビニは営業していたし、ショッピングセンターも同じ。なら封鎖する前に逃げ込んだ人でごった返す。感染者が発症したら集団パニックで籠城どころじゃないわよ。営業中の店長とスタッフが、入店を拒否して追い出せるかしら・・・」


「聞くまでもないだろ。無理だ。だから、結末は一つしかない。ショッピングセンターはゾンビの溜まり場になる。高密度なな」



美咲は答えない。さらに考えている。



「じゃあ、ショッピングセンターで籠城するゾンビ映画はどうやったら成立するんすか?」



彩葉に向き直り考える。



「美咲が店長なら成立するだろ。日本中にはそういう店長が数人くらいいるんじゃないか。そこだけはできるかもな」


「あー、くじ引きってことっすね。期待値うっす。あと、美咲パイセンみたいな店長なんて数人もいないっすよ」


「それもそうか」



美咲の声に振り返る。



「大通りから逃げた人は、駅に向かっているかもしれない。大山駅を通り過ぎる。駅周辺で人に会うかも。関わりたくないわね」


「駅か。車が動かないなら駅。そうなるか・・・」


「ここから先、悪いことに、大山駅、川越街道、アーケード街が収束していく。きっと人が集まっている。さらに悪いことに、その左右に病院がある。ゾンビが溢れる汚染源よ」


「危険度が高いエリアになるわ」



見つめた先、美咲の目が揺れている。


唇を固く引き結んでいる真剣な表情。



俺が思う以上に危険なんだろう。


駅、大通り、病院の三重点か。



だが、病院を避けて向かうとなると・・・難しいな。



左手は迂回した先にまた病院があるから右に行くしかない。


右に回ればいいが、線路を越えて次は中板橋駅前付近に至る。


山手通りまで戻って遠回りしなければならない。



「病院を避けて迂回すると距離が遠くなりすぎる。迂回してもまた駅に出る。リスクが大きく減らないなら、まっすぐ進むべきだと思うぞ」



「そうね。気を付けて直進。そうしましょう」と美咲の決断が降りる。



「異議なし」と彩葉も頷く。


「避けられないなら突破するだけっすよ。きっと大丈夫っしょ」


「ここまで来れてるし!」



俺たちがやるしかないと硬くなるところを、彩葉は解してくれる。


なんとかなるさとは思えんが、重苦しくなりすぎても身体が硬くなる。


チームとして最大効率で動けるのは彩葉の合いの手のおかげだ。



「できるだけ、大通りと線路から離れた位置を進む。いずれは交差するからそのつもりで!」



口々に了解を伝え、先導を再開した美咲の後を追う。


大通りからは散発的な悲鳴が響く。どっかの車が脱出を試みて失敗したのだろう。



しばらくは大通りからゾンビが来ないはずだ。



「悲鳴が途絶える前に距離を稼ごう」



俺の声に頷き進む美咲。



「ますます人間やめていくっすねぇ。先輩……でも、生き残れるならどこまでも付いていくっすよ!」



おどける彩葉を小突いて、先を急いだ。

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