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9/20

黒シャツと白コート(ファー付き)

【熱】を埋め込んだボロ布がやられたようだな。

 フフフ…奴は金策四天王の中でも最弱…。

 一夜如きで駄目になるとは文珠の面汚しよ…。


 ボロ布は朝起きたら冷たくなっていた。いやまぁ元に戻っただけなんだけど。

 考えてみりゃ熱いお湯から移し替えた熱がずっと保たれる方が変な話だな。【光】と同じで【熱】もエネルギーを消費して熱を発しているんだ。何かに埋め込んだとしても同じこと、熱は消費されて無くなってしまう。


「ファイアーソードとアイスブランド二刀流の夢が……」

 剣なんて使ったことは無いんだがかっこいいよな。だが銃は剣よりも強し、自分の武器を磨いていくことにしよう。ンッンー。



 さて午前中に装備品を探しに行こうか。

 充分に金を持って品を見て回るなんて初めてだ。まずは着て歩く物から適当に買っていくかな。


 買い物と言っても前世の様に陳列された品を見て回るわけじゃなく、基本的に古着屋で見立ててもらうか仕立て屋の二択となる。当然後者はお高いわけだ。

 古着屋といってもしっかり修繕が施された物だし悪い物ではない。

 後は市が開かれて完成品が並べられる機会がある。この時なら色々見て回る事が出来る。




 というわけで古着屋へ。

「超イカしてる俺の為のイケイケな服あるかな?一式欲しいんだけど」

「あるよ~ちょいとまちなよ~」

 出てきたのは黒いシャツと白いコート、袖と襟に白いファーが付いた超イカスやつだ。

「攻めてんなぁ、おばちゃん今ってこういうの流行ってんの?」

「勿論さ、アンタみたいなイケてる男にぴったりだよ」

「そうか!よし、他のにしてくれ」

 そんなもん着て歩けるか!


「いやそれよりさ、俺冒険者なんだけど丈夫な生地でポケットが大量についてる服とかある?斥候が着てるようなやつ」

「あぁ、そういうのは仕立てるしか無いよ。みんなボロボロになるまで使うからね。作って売りに出しても着る人が少ないし」

 それもそうか、しゃーないので適当に普段着を揃えて貰った。シャツが数枚とサイドポケットがある丈夫なレザーパンツ、皮の丈夫そうな靴、上着だけちょいとオサレなクロークコートだ。冒険者が着るような服じゃないがフードが付いてるのと手元が隠しやすいのが気に入った。


「大銀貨2枚と銀貨6枚ね、後はまけとくよ」

「なにぃぃぃ!?たけぇよ!古着だろ!?」

「何言ってんだ、新品で仕立てたら倍じゃすまないよ」

「ま、まじかよ……」

 チラリと値札が付いている小物や帽子を見ると全部それなりの価格だ。俺、全然金持ちじゃなかったみたいです。

「わかった……そこのハンカチをオマケにつけてくれ」

「仕方ないね」

 これから奴隷を見に行くと言うのにいきなり手持ちの金が半分になってしまった。


 まぁどうせ足りないんだしいいか!気にせずに行こう!

 この後は更に小物を見て回り、目的だった腰に巻くモジュラーベルトと胸に巻くナイフベルトを手に入れた。残った金で背負い袋と生活雑貨を購入して終了、残金は銀貨5枚ほど。

 いいんだよ、また稼げば。ちゃんと稼ぐ手段は見つけてある。




 色々回って腹が減った所で小熊のアトリエへ向かった。店に入った俺に小さく手を振るお姉さんの笑顔が今は辛いぜ。すまねぇ、オイラに甲斐性がなくってよ。

 昼飯を食って昼食時が終わってからアリサ姉ちゃんと奴隷商館へ向かう。


「この店だよ、まだいるといいけど」

 中々立派な店じゃないか。町の大通りからは一本外れているが他に見ないほど綺羅びやかな構え、店の前には屈強なガードマンまでいやがる。

「6日前に奴隷になったノアって子を見に来たんだけど」

「ここは遊びに来る場所じゃない、帰れ」

「この子が奴隷を購入するんだ、それで紹介したいのさ」

「……少し待て」

 ガードマンが中に合図をしている。午前中に服を買っておいて正解だったな、ボロを着ていたら追い返されてただろう。それでもギリギリOKラインって感じかな。


 やってきたのは小太りの商人だが、支配人てわけでも無さそうだな。店構えの割に雰囲気が普通すぎるわ。

「お待たせしました。そちらの坊っちゃんがお買い上げになるとか?」

「坊っちゃん?お前舐めてんのか?ちっ、ポールと呼べ」

「失礼いたしました。それではポール様こちらへどうぞ」

 ふっふっふっ、一発かましてやった。どうせ金持ってねぇからなぁ!今日は思いっきりふかしていくぜぇ!


 廊下も無駄に絨毯が敷かれていて、そこら中に絵画やら壺が置いてある。こりゃあ貴族気取りか?ここの主は相当な見栄張りだぜこりゃあ。

「それではお望みの奴隷を呼んでまいります。既に名は捨てさせておりますのでご注意下さい」

「あぁ」

 案内された部屋も立派なもんだ。奴隷商ってそんなに儲かるの?俺も冒険者じゃなく奴隷商に……いやいや駄目だろ、でも副業として……。


「ねぇポール、あんた凄いじゃない。やっぱりお金持ちなんだね」

「本当は冒険者としての自分の力でやっていきたいんですけど。今回は力を借りるつもりです」

 嘘である。孤児ソロ極めてる俺に後ろ盾などあるわけがない。でもこういう時って大体盗み聞きされてるもんなんだよ、前世の映画で見た。

「お茶とお菓子をお持ちしました」

 下っ端の小僧みたいなのが運んできた。これも試験か?アホらしいさっさと来い。

「アリサさんだけどうぞ。俺はさっきいただいたので」

「悪いね、お菓子なんて珍しくって」

「残ったら包んでもらうといいですよ」

 後で食べるから俺の分も残しておいてクレメンス。



 ここでたっぷり20分ほど待たされた。どこかから見らえてると考え、俺は茶にも手を付けなかった。

 だって作法とか知らないんだもん。




「お待たせしました。お連れいたしました」

 そこには両手を鎖で繋がれ、言葉を発さず無表情で立つ線の細いイケメンがいた?

「ん?」

「ノア!」


 あぁノアさんね、この人がね……。男じゃねぇかァァァ!!!!!娼館とか変態親父ってそっち!?


「ノア!ノア!この子がきっとあなたを買ってくれるから!そうしたらまた一緒に!」




 ……帰っていいっすか?

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