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酒!飲まなくてもいられる!

「らっしゃい!」

「酒だ!酒を持って来い!」

「あ?ガキが何言ってんだ!酒が飲みてぇなら他に行け!」

「じゃあ豪勢なたっぷりの飯を頼むぜ!」

 ちょっとイキりすぎてしまったな。でも俺12歳くらいだと思うし、酒飲んでもおかしくはないんだけど。


「は~いお待ち!猪肉のシチュー、豆粥、チーズと干し肉だよ。酒の代わりにハーブティーで我慢してね。大銅貨2枚だけど大丈夫?」

「もちろんっすよ!はい大銅貨、旨そうですね」

「まいどあり~!ゆっくり味わっていってね」

 ウェイトレスのお姉さんがバチリとウィンクを決めて去っていく。すごくいいです。

 お姉さん相手だと何故か敬語になってしまう俺です。


 まずはお待ちかねメインディッシュの肉を頬張った。うみゃ~い!肉なんていつ食ったか覚えてないぜ!やはり金!金は全てを解決する!

 あのサンピン冒険者から頂戴した金は合計で銀貨8枚と大銅貨5枚と少々だった。大体銅貨1枚でパンと交換出来て、銅貨×100=大銅貨×10=銀貨1となる。

 つまりこの飯はパン20個と交換出来る価格で、普段の俺の食事20回分の豪勢な飯というわけよ。うま~。


 チーズも豆もウマイ。この町ではダンジョン産の肉が取れるから肉より豆やチーズの方が高かったりもするんだよ。この値段も納得だね。店名は小熊のアトリエか、変わってるし覚えやすい。旨い飯と綺麗なお姉さんを眺めるためにまた来よう。

 ぐぁつぐぁつと食べ尽くし、息を吐いてハーブティをいただく。あぁ素晴らしいぜ。


 でもちょっとお茶が熱いな。放っておけば冷めるけど俺は今飲みたいんだよ。

 熱い、熱ね。ちょっと君出てこれんか?

 コロリと転がる【熱】の珠。コップ一杯のお茶から2つの【熱】が生み出された。

 やったぜ、これは使える。熱なら直接的な攻撃手段になるぞ。本当は【火】が欲しいんだが、火に手を入れるのはちょっとな……。


 残ったお茶は温い、熱が抜けたからある意味当然。

 でもこれっておかしくね?熱さは無くなったがまだ熱量は残ってるはずだ。絶対零度に至るまで引き出せてもおかしくない。

 だがいくらやっても抜けない。俺はこのお茶に「熱い」というイメージが持てないんだ。

 この能力にはイメージが重要だ。イメージすれば石槍も出せるし奴隷紋も解除できた。もっと自由に能力を使いこなせ。

 まだまだ能力を把握していく必要がある。



「ごちそうさまでした!美味かったです!」

「は~いありがとね。また来てね坊や」

 バチィン!と音が鳴りそうなウィンクをかましてくれるお姉さん。だが坊やは余計だぜ、俺はもう大人の男なのさ。でも絶対リピートする事を誓います。

 膨れた腹にはもう紋は無かった。【縛】を抜き出した時点で勝手に消えてしまったんだ。



 店を出て我が家へ戻る。温かい宿に泊まろうか迷ったが自宅に戻ることした。色々考えたいしな。

 少し冷えてポケットに手を入れたら魔石が残っている事に気づいた。スライムから取り出した小さな魔石だ。

 今の俺はまだこんな魔石を集めている。そしてあんな底辺冒険者に襲われてピンチになってしまった。もっともっと強くならなくちゃな、この力を使って成長するんだ。


 ぐっと拳を握って成長を誓ったその瞬間、手の中の魔石の感触が消えてしまった。

「ほあ!?」

 慌てて手を開くがそこには何も無い。合成したわけでもない?じゃあどこに?

「んん!?な、なんじゃあこりゃあ!」

 俺の右手の甲に紋が浮き上がっている!いや紋じゃなくて文字だな、漢字で【文珠】と書いてある。

 これが俺の力?そういえば右手で触れた物から珠を出していた。前から宿っていたものが成長したのかも。


 試しにポケットをまさぐって残っていた魔石を手に取り、吸収するように念じてみる。すると魔石は沈み込むように解けて消えてしまった。



 この力にはまだまだ奥がある。俺はもっともっと強くなれるんだ。

 パンパンになっていた別のポケットから圧力が無くなったのに気づいてまさぐると、20個ほどあった【縛】の灰珠が2個の青い珠に変化していた。

 君たち勝手に吸収したり合成するんじゃあ無いよ。

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