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奴隷紋は希望の光を編集

【癒】、これは土とか光とは別格じゃね?回復魔法だろこんなの。「癒やしを!」とか言って回復してやればさぁ、それだけで結構稼げるんじゃね?

 ただこれって薬草から出たんだよな、という事は薬草が持っていた癒やしの力って事だから、効果はあまり期待できないかも?


 とりあえず辺りに生えていた薬草から【癒】を抜き出して灰珠3個を確保した。

 薬草を抜かずに取り出せたので、また効果が復活して増えてくれるといいな。一応場所を覚えておこう。

 そうだ、折角なら成長を期待してプレゼントをしておくか。

「栄養たっぷりで柔らかい『つち』」

 黒くてふかふかした土が出てきた。この土ならきっと今年も豊作だ!薬草の周りに撒いてやり丈夫に育てよと声をかけておいた。



 さて。今日の所は帰るかな。収穫は極小魔石が30個、【酸】灰珠×10、【癒】灰珠×3、ついでにダンジョンの石壁から【石】も少しだけ回収しておいた。

 使った石槍は【石】に戻せるので大変エコである。

「今日は久しぶりにまともな飯が食えるなぁ、肉食いてぇ!」

 肉だ肉!先にナイフとかを集める?そんな事は余裕のあるやつが考えることだ。俺は腹が減ってんだよ、まずは飯!絶対飯だ!


 しかしダンジョンを出た俺を出迎えたのは食欲を失わせる暇なクソC級冒険者3人組だった。

「ガキぃ!やっと出てきたな!」

「待ってたのかよ、暇すぎるだろ」

「お前のせいで荷物持ちが雇えなくなったんだよ!責任をとって俺達の奴隷になってもらうぜ」

「自業自得だろアホが!」

 なんてアホなんだ、あんな所で声をかけやがって俺がびびって何も言えねぇとでも思ったか?見くびるんじゃねぇぞ!


「今は手加減が出来ねぇからよぉ、やめといた方がいいぜぇ」

「あぁ?もう笑う気も起きねぇよ、まずはたっぷり体に教えてやる」

 うーん、攻撃手段が石槍か酸しかない。というかこの状態なら酸をぶっかけるしかないだろう。死んじゃわないか?そこまで行かなくても大怪我確定だろう。流石にそこまでやるのは……別にいいな!よし、やってやるぜ!


「かかってこいオラァ!」

「馬鹿が。おい」

 突然後ろから口元を縛られる!猿轡!?攫う気か!

「ん゙も゙お!」

「へへへ、ここでは目立ち過ぎるからなぁ」

 周囲に人はいるがみんな荒くれか荷物持ちだ、こちらをチラリと見るだけで誰も動かない。

 何とか珠を使って抵抗しようとするが、喋れないから何も発動しない。無詠唱!頼むよ珠さん、俺の意思を汲んでくれ!石だけに!

「暴れるんじゃねぇぞ…」

 嫌んごぉ!助けてクレメンス!

「鬱陶しい!これでもくらいな!」

 腹にドスリと重たいのを食らって意識が遠のいた。奴隷?こんなやつらの?冗談じゃねぇ、冗談じゃねぇぞ……。




 ぼて。何かに投げ出される感覚で覚醒した。ここは?

「起きたか。へへへ、今から奴隷になるんだぜ?気分はどうだ?」

「ぅ゙んも゙ぉ!」

「んー?そうかそうか、借金を返せて嬉しいか。よかったなぁ!ギャハハハハハ」

 クソッタレがよぉ!自由になったら足先から少しずつ酸で溶かしてやるからなぁ!


「おい、こいつ本当に借金の返済なんだろうな?」

 ん?見たことのないやつがいる。身なりは悪くないな、商人に見えるが。

「あぁ、ちゃんと証文もあるぜ。こいつが奴隷になる事でチャラだ」

 んなもんあるわけねぇだろダボがぁ!

「分かった。では奴隷紋を刻むぞ」

 奴隷紋?知らねぇが物騒な感じだぞ!おいぃぃぃやめろぉ!!アナタは騙されてまぁぁす!


 台の上に乗せられて服を剥かれた。こいつらやべぇ!やめろ!俺に乱暴する気でしょう?BL本みたいに!BL本みたいに!

「汝の意思は崩れ、汝の力は主の為に」

 男が何かを唱えて俺の腹に触れる。焼け付くような痛みが走って暴れるが、C級のクズ冒険者共に押さえつけられて藻掻く事しか出来なかった。


「終わりだ。さっさと帰れ」

 男が手をどかすと俺の腹には紋章が刻まれていた。これが奴隷紋?

「へへ、ごくろうさん。おら立て!お前は奴隷になったんだよ!」

 は?誰がお前らの言う事なんか聞くか!なめんじゃねぇぞコラァ!


 ドジュッゥゥゥゥ!


「うんごぉぉ!!」

 痛い!熱い!腹に刻まれた紋が焼けるようだ!

「へへへ、効いてるようだなぁ。猿轡も外してやろう、舐めたことを抜かしたらどうなるか試してもいいぜぇ?『喋らずについてこい』」

 このゲス野郎!ハゲ散らかして凍え死ね!

「…!……っ!」

 言葉が出ない!?なんだこりゃあ!

「ギャハハハハ!てめぇはもう終わりなんだよ!ついてこい!」


 命令に逆らえば痛みが走り、言葉を発しようとしても言葉が出ない。すげぇ効果だ、これが奴隷紋!

 腹には2つの文字が刻まれている。【ᛇ】と【ᚾ】、見たことの無い文字だが、照明に使う魔石に似たような物が刻まれているのを見たことがある。ルーン魔法というやつだろうか?俺と似た能力かもしれない。


 俺が動けないこれは呪い?縛り?契約?何でもいい、俺を縛るものよ出てこい。


 ぽこぽこ、ぽこぽこぽこ。


 次々に生まれる【縛】の珠。落として音がしないように合成してポケットに詰めていく。

「おい!さっさと歩きやがれ!」

 合計20個ほどの灰珠をポケットに詰め込んでようやく体が止まった。縛りが溶けたんだ。

「知るかこのケジラミ共が!これでも食らいやがれ!」


【酸】を取り出してぶん投げる。

「砕けて散らばれ!全てを溶かせ!さん!」


 バシャ!


 溜め込んだ酸がばらまかれる!

「うぎゃぁぁぁ!」

 酸を被った冒険者たちが悲鳴を上げた。体から煙を上げて既に骨まで見えている部分もある。

「うげぇ、グッロ」

 あまりの痛みに気を失ってピクピク震える冒険者共。こいつらがどうなろうと知った事じゃないが、ちょうど実験したい事があったんだ。


「火傷を治せるだけ治してくれ、いやし」

 ちょっと勿体ないが【癒】を使った。まぁこれは実験だ、効果を知らないと使えないからな。ちょっとグロすぎたし。

 発動した【癒】は霧のように解け、傷口に纏わりつくと癒やして消えた。                                                                                                                                                                                                                                                                                                      

 骨が見えていた部分も肉が盛り上がっているのが見える。完全には治っていないが充分だろう。


 素晴らしい効果だ。また薬草を探して溜め込もう、土を被せたやつが復活してたらいいな。




 倒れている雑魚達はこのままでいいだろう。怪我が残っている方が他人に迷惑をかけなくていい。

 落とし前をしっかり懐からいただいて、これでケジメだ。

 今日の飯は豪華に行くぜ!俺の門出への祝いだ!

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