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最強の俺は当然豪邸住まい

 まずはギルドの所有するという物件を見に行く。

 ギルドに義理立てするわけじゃないが、色々調べられると面倒なので出来ればここで決めてしまいたいところだ。


「なんで冒険者ギルドが物件を所有しているんだろう」

「さあな、依頼失敗とかで難癖つけて没収したんじゃねぇの」

「それ嫌味?」

「勿論そうだ。着いたぞ番地はここだ、ここなんだが……、まじか?」



 ギルドに紹介されたのは馬鹿みたいに豪華な家だった。後ろ盾が無い人間が住んでいるだけで色々と目を付けられそうな豪邸。ハリウッドセレブが暮らしていそう。

「まぁ、入ってみるか」

 周囲を石壁で囲われた鉄製の門を預かった鍵で開く。鍵は束になっていてそれぞれにタグがついているが、こんなもん扱いにくくて仕方ないぞ。

 門の先には石畳の道が続き、周囲には広い庭が広がっていた。


 主屋は3階建てで、白い石造りの外壁に赤や青のカラフルな屋根。豪華なステンドグラスの窓や、彫刻が施された柱まである。

 広いバルコニーやテラスがあり、そこから庭や周囲の景色を見渡せそうだ。


「これは貴族の邸宅だろう、なぜこんな物を見せたんだ」

「貴族に見えたんじゃない?偉そうだしね」

「イヤミか貴様ッッ!」


 中もやりすぎだ。吹き抜けのエントランスに豪華なシャンデリア、大きな暖炉のあるリビング、20人は並べそうなダイニング、10人で作業できそうなキッチン。

 絨毯やソファも備え付けられたままだ。

 庭には滑車付きの井戸や作業小屋、温室のような物も見える。

 浴室に倉庫に厩舎、とてもじゃないが使いこなせない。



「論外だな。先に値段を聞いてくるべきだった。何を考えてんだよ」

「いいじゃないか!ここにしようよ!」

「何言ってんだ。お貴族様にでもなりたいのか?」

「うっ、いや、それは別に、そういう意味じゃなくて」

「ギルドに戻るぞ。紹介状を貰ってまともな物件を探す」


 いやぁしかしすげぇ家だったな。いつかはあんな家で暮らしたいもんだ、いくらくらいするんだろうな。

 荷運びなんかの単純労働だと1日働いて大銅貨4枚も貰えたらいいとこだ、安い家を借りたら月に銀貨2枚くらいと聞いた。

 俺としては畑付きで大銀貨1枚くらいを考えてるんだけどな。買い取りだったら100倍くらい?もっとするのかな。



「という訳で豪華すぎるんですよ。他にないなら紹介状をお願いします」

「なるほど、気に入らなかったというわけではないんですね」

「まぁそりゃあ」

「あちらの物件は1年あたり金貨120枚となっています」

たっか!ぼったくりやんけ!


「ですが、あの薬草を毎月1束販売していただけるのであれば25枚までお値下げ可能です」

「25枚?」

 金貨2枚の品を12回で24枚、ちょいと追加して25枚ってか?


「畑とアトリエがついていますのでちょうどよろしいかと」

「そこまで値下げするのはおかしいでしょう。そんなにアレが欲しいんですか?」

「正直言いますとあれだけの物件を抱えているだけでコストがかかるんですよ。しかも誰も借りずに数年経っています。錬金ギルドへの交渉材料にもなりますし、気に入ったのであればお互いの利害が一致したと考えていただければ」


 ふぅむ。それでも高すぎる。が、このポール様が暮らす家としては妥当なのでは?

「いいじゃない!あそこにしようよ!ポールなら大丈夫だよ!」

 なんて適当な事を言うやつだ。そんなんだから奴隷落ちするんだよ。ノアの信頼度が5下がった!

「値下げは大きいですけど、いくらなんでも1年の賃料が金貨120枚は高すぎませんか?」

「あそこは高名なルーン魔術師が手をかけた特別製ですから。お値段以上の素晴らしい家だと思いますよ」

 高い。だがルーンとは奴隷紋のあれか、調べたいな。折角の機会だ、駄目だったら早々に手放せばいいか。どうせ俺はその日暮らしの男。


「わかりました。ただし、今後最低20回はあの花薬を金貨2枚で購入する契約書が欲しい」

「ありがとうございます!保証金が半年分かかりますが大丈夫ですか?」

「鍵と引き換えにお渡しします」




 最後までこちらを試してきやがった。俺のことを調べたら最近まで底辺ポーターだった事はすぐに分かるはずだ。

 奴隷商が襲撃された事は知られているんだろうか?奴隷商は頭がおかしくなっているはずなのであの後どうなったのか想像が難しい。金が奪われた事は知られているんだろうか?

 疑われても薬師としての稼ぎがあれば言い訳が立つし、ギルドに有用であれば見過ごされるだろう。つまり……、ガッツリ稼いでいくぜ!

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