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魔法野菜

「鍵をお渡しするので自由に内見してください。こちらが番地です」

 ということで鍵を渡された。薬師って信用あるのな。冒険者ならこうは行かないぜ。


「家を買うんですね!すごいです!」

「買うか借りるかわかんねぇけどな」

 さっさと見て回って今日中に決めてしまおう。ベッドで寝るなんて記憶にすら無いぜ、楽しみだ。

 ギルドの前で待ちぼうけしていたノアを回収してとりあえず飯にしよう。グダグダ言ってないでさっさと話をつけてこい。



「らっしゃい!」

「おっさん飯だ!美味いのをジャンジャン持ってきてくれ!」

「あいよぉ!」

 ここは何でも美味いからな。おまかせフルコースでOK。


「の、ノア!」

「アリサ、おかげで戻ってこれたよ」

「ノアー!よかった!」

 ひしと抱き合う2人。クソですわ、他所でやれ。飯が不味くなる。これだからイケメン様はよぉ!

「アリサ、また今度ゆっくり話をしよう。今は仕事中だろう?ね?」

「ノアー!んのあーー!」


「デイガン、お前あぁいうのどう思うよ」

「え?よかったなって思いますけど」

「カーっ!なんじゃそりゃ!ミミナはどうだ?」

「……じゃま」

「よし!よーしよし!ミミナはよく分かってるじゃないか!お小遣いを上げよう!」

 銅貨を1枚渡して頭を撫でてやった、非常に迷惑そうな顔をされた。金は金貨を崩してもらったんだ。


「ほら、また後でね!お客さん待ってるから」

「客なんてどうでもいいの」

「いやいや、大将さんも睨んでるから」

「あんなオヤジもどうでもいいの」

「それじゃみんなに迷惑かけちゃうからさ。そうだ、僕も手伝うから一緒にがんばろう!」

「うん……」

 なんか一緒に働きだしたぞ、もうそのままここで働いて独立しろよ。


「お待ちどう。君もありがとうね。本当にまたここでノアに会えるなんて思ってなかったの」

「いやいいんですよ。そのままお持ち帰りしてもらっていいですから」

「え?」

「待って!僕は彼に買われた奴隷だから!そういうわけには行かないんだ!」

 めんどくさいなこいつ、解放してやると言われて嫌がる奴隷がどこにいるんだよ。


「放っといて飯を食おう。お前らしっかり食べろよ、さっきは腹減って目を回してたんだから」

「ありがとうございます!」

「たべる」

 よしよし、ガキは腹いっぱい食ってりゃいいんだよ。

 兄弟はちゃんとカトラリーを使って行儀よく食べ始めた。


 獣人の奴隷ってさ、店に入るのを怖がったり床に座っちゃうのを説得して席に座らせて、「た、食べていいの?」ってやるもんじゃないの?一度やってみたかったんだが?

「おかわりしていいですか?」

「あぁ、腹いっぱい食ってしっかり働け」

「おかわりお願いします!」

 やっぱりもっとメンタルが弱った奴隷が欲しい。


「このお店の野菜はすごく美味しいです!」

「確かにみずみずしくて歯ごたえもしっかりしてるな。生でも美味いんじゃないか?」

(コクコクコクコク!)

「わかる?ここの野菜は魔法野菜を仕入れてるんだよ。ちょっとお高いんだけど、品質がよくて鮮度も保ちがいいんだ」

「魔法野菜?」

「魔法の土と水で育てるらしいよ。詳しいことは教えてくれないけど」

「ほう……」

 これはいいな。更に畑付きの家が欲しくなったぜ。



「さっさと食って家を見に行くぞ!」

「はい!」

「待って!僕まだ食べてない!」

 これだからイケメン様はよぉ!


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