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少年の帰宅
ルイスの母は部屋を出た。よろめき、召使いに支えられながら屋敷の外に出た。
死んだも同然と思っていた息子が戻った。そう聞いては、病み上がりの体を押してでも会いたかった。
人々は彼女を見て驚き、そして居場所を示す。
テオという少年の家の前に息子はいた。
ちょうど、背負っていた少年を家族に引き渡したところだった。
不思議な光景だった。
加害者と被害者だったはずの息子と少年は、微笑み合っていた。
息子は少し背が伸びていて、精悍な顔つきになっていた。
何より驚いたのは、こちらに気づいたその目が、夫に似ていたことだった。底知れぬ暗い光を湛えながらも、同時に深い慈愛に満ちた眼差し。
「ただいま戻りました、お母様」
そしてルイスは微笑んだ。
春の風が、街の中を吹き抜けて行った。