修一編5
ケイゴはナオの家である写真を見つけた。修一が心理学の学会に教授と行った時の写真だ。それを親分の側近にメールした。
本物の修一とKAHO家にミラと一緒に来たガタイの良い悪人ヅラ、そしてもう1人、線の細い繊細そうな優男が映った写真。
ケイゴは確信する。今回はこの写真の人物達が関わっている。そして本命は修一でもガタイの良い男でも無く、人畜無害そうなこの男。何故そう思ったか分からない。ただ直感がそう告げる。
ミラは人に恨まれるタイプでは無い事を鑑みると、親分関連で間違いない。顔さえ分かれば後は簡単だ。7人当たれば本人に行き着けると言われる世の中だ。KAHO家にはその倍以上の人間がいる。
『修一と思っていた人物は修一じゃ有りませんでした。この写真の優男を知っていますか?』
そうメールを送った。顔と名前が分かったなら情報収集は容易い。そして案の定正体が判明した。生い立ちから現在の様子まで。そして邸宅も。
「見つけた。絶対に逃がさない。待っていろ。」
ケイゴはパソコンの画面を睨みながら呟くのだった。
***
「修一、もう帰って来たんだね。」
「はい、先生が望まれた調査報告を纏めて、急いで帰って来ました。」
「そうか。ご苦労様。ゆっくり休んでね。」
「ありがとうございます。せっかく帰って来たので、ミラちゃんに挨拶して来ます。」
「そうか。」
本物の修一は久しぶりにミラの滞在している部屋へ行った。
コンコンコン
ミラの「どうぞ」の声が聞こえる。そっと開けて入ると、儚げな笑顔をしたミラがベッドから体を起こしてくれる。
「どうしたの?体調悪いの?」
「大丈夫です。たまに頭が痛くなるだけです。しばらくしたら良くなるので。」
「そっか。痛みを取る暗示を掛けてあげるね。」
修一はいつもの様に暗示を掛けてくれる。スッと痛みが引く。
「さぁ、もう暫く寝るといいよ。」
その声に合わせて、睡眠に誘われる。
「修一…さん…ありが……。」
最後まで言い終わる前に睡眠に落ちるミラ。
「僕が助けるから。」
修一はミラの頭を撫でるのだった。




