接待1.5(2の前の与太話)
購買部から大荷物を持ったミラが帰ってくると、すかさず李子が話しかけてくる。
「カホウ様、急にどうされたのですか!?」
「私の見通しが悪く、茶葉とお菓子が足りなくなりました。」
「そんな!まだ中盤ですよ!!」
ここで「なんでもっとちゃんと個数を発注しなかったか」なんて聞く程、李子もバカではない。嫌がらせで隠された事は明らかだった。
「盗まれたのですね。」
「私の甘さが招いた結果です。では準備が有りますのでこれで。」
ミラはふっと微笑み黙礼してバックヤードに向かう。
「あちらのご令嬢がKAHO様だった訳ですね。一年生で接待に任命される程の方ですから、只者ではないと思っておりましたが、KAHO家なら納得です。家柄採用だったのですね。」
李子の従者はミラをチラチラ見ながら言う。
「そんな言い方は良くありませんよ。実際、接客はとても上手に行なっておいででしょ。話の回し方も、知らないところは笑顔で過ごして、要所で良い質問をしているわ。話の途中での退席の挨拶も素晴らしいし。」
「そうですね。申し訳ありません。」
「人のことばかり見ていないで、私達は私達の事をしましょう。」
李子はミラが表に戻って来てから、再び声をかける。
「KAHO家には息子様が1人おられたと存じますが、かなり前に亡くなってますよね。ですから跡取りは居ないと聞いておりますが。」
ミラは準備した物をチェックしながら話す。
「はい、父はずいぶん前に亡くなりました。私や母の存在は隠されていました。父は家を捨てましたので。ただお祖父様や側近たちは私達の場所を常に把握していたそうです。両親が事故に遭った時駆けつけてくれて、その時初めて父がKAHOの人間だと知りました。」
「そうですか。…ケイゴ先生が今年から赴任されたのにも関係していますよね。」
「…。」
「ケイゴ先生はKAHO家本社のお仕事もさせているのは周知の事実です。重役の息子と噂させていました。実はKAHO家の婚外子や隠し子ではないかという噂もありました。しかしハナミネさんが直系だとすると、貴方様を補佐する為に学生にも関わらず教員として来たと考えるのが普通でしょう。」
「…。私とケイゴの関係は秘密にして下さいね。ケイゴに教員でいて欲しいなら。つまらぬ噂の為にクビになる教師も多いと聞きますから。」
「それは私としても良い事では無いので。お約束します、KAHO様。」
(「私としても良い事では無い」か。つまり少なからずケイゴに学園にいて欲しいということかしら。親族ではないものの、KAHOの中枢である事には変わりないし、ケイゴに取り入ろうとしてる?)
(KAHOと明かした瞬間から、雰囲気や視線の使い方が明らかに変わったわ。まるで別人ね。)




