前夜祭
学園祭は前夜祭・本祭・後夜祭を3日に分けて行われる。前夜祭は学生のみの参加、客を入れての本祭が二日あり、二日目の夜に後夜祭となっている。
学園祭で集まったお金は、経費を除いて全額寄付する事になっており、寄付先はそれぞれのチームに委ねられている。
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「レディース&ジェントルメーン!皆さん、グラスはお手元にあるでしょうか。理事長挨拶の後乾杯の音頭となりますので、まだの方はご準備下さい。理事長より桜華学園祭開催のお言葉を頂きたいと思います。」
「皆さん、忙しい学生生活の中で、一ヶ月前より準備してきた学園祭がいよいよ始まります。サークルや部活によっては、もっと前から準備なさった方々もいるでしょう。学園祭が初めての方、今年で最後の方、色々な思いを抱えながら今日まで頑張って来られたと思います。その頑張りが、楽しい学園祭となって皆さんに返って来るかたでしょう。最後になりますが、安全に楽しく、そして皆さんの心に残る最高の学園祭となる事を祈り、ここに開催を宣言致します。それでは皆さま、グラスをお待ち下さい。乾杯!」
『カンパーイ!!!!』
全方向から楽しそうな乾杯の声が聞こえる。その瞬間、打ち上げ花火がドーンと暗くなり出した空を彩る。それも何発も!これが執行部が用意していた学生達へのサプライズ。そう、ナオがミラに相談していた前夜祭の出し物だ。
「わー!凄い!!こんなの初めてじゃない!?」
「うん!毎年もっと地味だもんね。すぐステージ始まるし。」
「今年の執行部、高大合同にしたり花火したり、新しい事ばっかりだけど、メッチャアイディアが良いね!有能!」
そんな絶賛の声が周りから聞こえ、準備したナオとアイディアを出したミラは感動する。
「ねぇ、ナオの頑張りが褒められてるよ^_^」
「ミラのアイディアのおかげだよー!」
「いやいや、私は見たいものを見たいって言っただけよ。来年は音楽とも合わせたり、レーザーとの共演とかもいいよね。するジェクションマッピングとかさぁ。」
「まさか発展まで考えてくれるとは。」
2人は見合わせて笑う。
「わーーー」
再び会場が湧き上がる。花火が導火線に伝いカーテン状に火花を散らす。まるで火花の滝である。その滝画割れたのと同時に、真ん中から3人のパフォーマーが現れる。
パフォーマーは花火のカーテンにトーチをかざし火をつける。トーチからステッキの両端に火を分けていく。それぞれのパフォーマーに火が行き渡ると、激しくファイアダンスが始まる。
闇夜に浮かぶ火の玉が、まるで遊んでいるかの様に音楽に合わせて舞い踊る。人間離れしたその演技に学生達は釘付けとなる。曲の終わりと同時にポーズを決めると、割らればかりの拍手がコダマした。
一瞬の静寂の後に会場は一気に湧き上がる!それを皮切りに有志のステージが始まる。バンドや演舞、ダンスなど10組が日頃の練習の成果を発揮していった。




