揺るがすもの4
「そもそも、何でそんなに接待が人気なの?」
取り敢えず午前は理事長室でリモート授業を受ける事になったミラは、準備をしてくれているケイゴに話しかける。
「…今年が何の年かお嬢は知っていますか?」
「えー?閏年?」
「はい、それはそうですが全く関係ありません。今年はとても注目されている行事があるんですよ。」
「えー?うーん…?」
全く心当たりが無いミラに、ケイゴは苦笑いするしか無い。
「お嬢が16歳を迎えられます、もうすぐ。」
「うん。だから?」
「…つまり、今まで主だって前に出なかったKAHOのお嬢様が、社交デビューするんですよ。」
「はい。それが?」
ケイゴはまだ分からんか!みたいな顔でため息をつき、続ける。
「政財界を牛耳る勢いのKAHOのお嬢様とお近づきになりたい方がいっぱいいるんですよ。」
「それと学園祭に何の繋がりがあるの?」
「…お嬢の誕生日以降、今年の主役はお嬢一択です。ですから、その前に少しでも注目を浴びなければならないんですよ、他家は。先日も話しましたよね、接待役は人脈を広げるのに打ってつけだと。」
「うん。」
「ここで目立っておかなければ、今年はもう、自分の家の地位を上げる機会が無いんですよ。」
「そんな事無いと思うーーー」
「そ・う・な・ん・で・す!接待役で人脈を広げれば、より良い家との縁談などの繋がりもできますし、何より優秀だというアピールに最適なんです。結構格上の家と結婚された方は、実は接待がきっかけで知り合ったなんて話はよく聞きます。」
「だから3年生が焦ってたのね。」
「そうですね。そろそろ結婚適齢期に差し掛かりますから、今から知り合えば結婚までには丁度いい頃合いになるという事です。」
「成程。婚活だったと。」
「まぁ、平たく言うとそう言うことですね。」
ミラは黙って暫く考える。
「…私、婚活は必要ないのに。どうしたら良いのかなぁ。」
ケイゴはミラの表情を読んで行間を理解し呆れた様に笑う。
「お嬢はいつも言葉が足りませんね。結婚は俺とするから、他の人に接待変わった方がいいかもって考えてるだろ?」
「うん。」
「端折りすぎ。他のヤツが聞いたら、かなり心象悪いから、ちゃんと言いましょうね。」
有無を言わさぬ笑顔だ。それを見てミラも苦笑いを返す。
「そうね。」
******
ケイゴのリモート授業だ。画面越しのケイゴは、何だかいつもと角度が違って不思議な感じだ。
「はい、次の問題は華峯、答えて。」
『はい、x=25です。』
「正解だ。」
ケイゴは不意にカメラの近くでフワッと笑う。それを見てミラは紅くなってしまう。ミラがニヤニヤしていると、急に画面に手のひらを見せる。そこには『グラタン』と書いてある。
ミラはメモに⭕️を書いて画面に見せる。するとケイゴはチラッと見てちっさくガッツポーズする。
(ケイゴ可愛すぎる!!)




