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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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揺るがすもの3

次の日の学校


「ミラー!ちょっと来て!」


「おはよ!」


「うん、おはよう。ちょっと来て!」


昇降口でミラを待っていたナオは、挨拶もそうそうにミラを教室とは別の方へ引っ張って行く。


「何?どうしたの?」


「説明は後、ひとまず急いで!!」


職員室近くの階段の陰に押し込まれる。


「何?」


「シー!」


「???」


ナオが声を絞って話そうとすると、後ろから誰かに声を掛けられる。


「君達、どうしたんですか?」


「!!」


ナオはミラを隠しながら、ギコギコ言いそうなくらいぎこちなくゆっくり振り返ると、ケイゴか不思議なそうな顔で見ている。


「?どうしたんですか?」


ナオは一度逡巡するが、思い切って聞いてみようと思う。


「…ケイゴ先生は、誰の味方ですか?」


唐突な質問が来る。後ろにはガッツリ隠された、多分ミラ。


「うーん。教員としては、皆さんの味方です。」


ナオはそんな事を聞いてるんじゃ無いという表情をしている。


「派閥はKAHO家です。」


「なら、私の親友も守ってくれますか?」


「!!…勿論です。」


ケイゴは優しい笑顔を深める。


「教室に3年生が来ています。ミラを待って。多分危害を加えようとしています。だから、朝礼の時間になるまで隠れた方がいいと思って。」


ケイゴは後ろのミラに視線をやる。


「華峯さんを守ってくれたんですね。」


「そうです。」


「ここは見つかり難いですが、風が当たります。まだ朝礼まであるので体を冷やしてはいけません。理事長室に行きましょう。きっと力になってくれます。」


「…。」


ナオは答えない。


「…そんな事をすると、ミラが逆恨みされるかもしれません。」


「僕がさせません。ひとまずいきますよ。」


不安気なナオは仕方なくミラと一緒に理事長室へ行く。



******



コンコンコン


「どうぞ。」


「理事長、失礼します。」


「どうしたの?ケイゴ君。…ナオコにミラちゃん?」


「理事長が華峯さんを接待役にお選びになったから、華峯さんが嫌がらせに遭っています。」


ケイゴは厳しい非難の目を不躾にも理事長に向ける。それを見て理事長は冷や汗をかいている。


「お祖父様、ミラは私の親友なんです!ミラを助けて下さい!」


(お祖父様?)


ミラは頭を捻る。その様を見てナオは自分の身分を明かしていない事に気がついた。


「私、理事長の親戚筋なの。だから桜華学園に入ったの。」


(だから外部生なのに学園に詳しかったのね。)


「ミラちゃん、嫌がらせに遭ってるの?」


その問いにナオが答える。


「昨日はミラの教科書が水の張ったバケツに投げ込まれてたし、今日は朝から3年が教室に来てミラを探してた。きっともっとエスカレートするわ。」


「…そんな!ミラちゃんごめんよ!そんなつもりはなかったんだ。私の考えが浅くてすまない。」


ケイゴはずっと理事長を睨み続けている。ナオは助けてくれといった表情だ。


「理事長先生、私は接待役に選んで頂いてとっても嬉しく思っております。ですから、このまま接待役を続けさせてはくれませんか?」


ナオとケイゴは物言いたげな顔で、理事長は申し訳なさと安堵が混じった複雑な表情だ。


「理事長、華峯さんがやりたいと思っている以上、無理に下すのは良くないと思います。その代わり、熱りが冷めるまで授業はリモートで受けさせるのはどうでしょうか。学園祭の準備は大学部ですから、彼らに守ってもらいましょう。」


「成程。そううよう。早速今日からリモートにしよう。ケイゴ君、対応してくれますか?」


「はい、承知ました。」


ナオは心から安心した顔をしました。

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