揺るがすもの2
誤字があったはずなのに見つけられなかった…。
自宅にて
ケイゴは帰宅するや否や、ミラの部屋に来て、ミラと正座で向かい合って座っている。
「ケイゴ、何かあったの?」
「…何かあったのはお嬢の方ではありませんか?」
「何も無いわ。」
「………。絶対役、降りた方が良いと思います。」
「私では力不足?」
「そうではありません!分かってるでしょ!」
「…なら、私は了承した以上やめられません。」
「本来、お嬢は来賓となるお立場です。接待される側ですよ!!」
「そんな事ない。まだ仕事も少ししかやってたいし。そんな事言ったらケイゴの方が本社でバリバリなんだから来賓になるべきでしょ?」
「俺の仕事は、お嬢の将来担う基盤を作る程度です。論点をずらさないで下さい。」
「接待をするかしないかの結論は、既に出ています。」
「そうではありません。今日、俺の授業で教科書が無かったでしょ?今朝カバンに入っているのを確認したので、忘れたなんてあり得ません!!それにバケツ並々にわざわざ水を張って、その中に落とすなんて、手口が汚すぎます!!」
「…ケイゴは女社会の渦中にいないから知らないかもしれないけど、もっとネチネチしてる人はたくさんいるよ。」
「ならば尚更です!何も策を講じなければ、エスカレートする一方です。接待役のせいでなっているんですから、早々にご辞退なさって下さい!」
「…一度した返事を覆すと、今後の信用にも関わってくるわ。五十嵐様とは対立する派閥なんでしょ?それなら、弱みを見るべきでは無い。」
「ミラ!」
「そもそも何でそうまでして接待役がやりたいの?」
「桜花学園は、KAHO家派の人間が多く出資していますが、他派閥も当然出資しています。学校行事では、なかなか来られない方もいらっしゃいます。その中でも来賓として招待される極一部の方は、国にも大きな影響力のある方々ばかりですから。その方々と間近で接する事ができるチャンスを逃したく無いご令嬢が、たくさんいるのです。」
「何故私に声が掛かったの?」
「…。理事長の意図を押し測るしかありませんが、社交に1番良いと考えられたのでは無いかと。お嬢は以前からパーティーにも殆ど出られません。でも、交流をもちたいと思っている方は多いはずです。そこでお嬢を接待役にすれば、お嬢目当てで来賓が来て、更なる出資に繋がるとお考えなのではないかと。理事長は他派閥にも顔が広くていらっしゃるので。」
「雅さんと言う方は?」
「あぁ、朝お嬢に突っかかったという件ですね(怒)」
「あーそれは…知ってた?」
「当たり前です!!あんな公衆の面前でバレない訳が無いでしょ!あいつらはこちらで処理しておきました。」
笑顔だか目がいっている。
「話の内容と表情が合ってないけど…。」
「村雨雅は大企業の1人娘です。一代で築いた会社なので、政財界と繋がりが欲しいのでしょう。見た目や仕草も綺麗なので、人々を虜にしています。」
「…ケイゴもただの男だったのね。」
「……え?何ですか?今まで俺を男として見てなかったと言いたいんですか(怒)しかも何の脈絡も無く!!」
ケイゴの何が琴線に触れたのか、急に怒り出す。瞳が実に怖い。でも…。
「…怒ってるのは私よ。」
「…へ?」
ケイゴはミラの発言に勢いを削られる。
「何に怒ってるのですか?」
「…だって、ケイゴが村雨様の顔も仕草も美しいって。私の前で他の女の子を褒めるんだもん(>人<;)」
ミラは今にも泣きそうな顔で訴える。
「ケイゴが他の女の人を褒めちゃいけない訳じゃ無いの!でも、せめて私の前では褒めないで!褒めるなら私のいないところで褒めてよ!」
ケイゴははっとし、咄嗟に抱きしめる。力を入れてギュッと。
「…ごめん。」
そう小さく呟くが、謝っているはずの顔はとっても嬉しそうな、恥ずかしそうなニヤニヤだった。




