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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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揺るがすもの

※イジメのシーンがあります。苦手な方はご注意ください。

朝、いつも通りケイゴがミラを起こしに来る。


コンコンコン


「お嬢、入りますよ。」


「おはよう、ケイゴ。」


ミラはまだ少し恥ずかしいのか、少し紅くなりながら挨拶する。ケイゴはその空気感に安心し、笑顔で挨拶を返す。下に降りると、他のみんなとも笑顔で挨拶を交わし、やっと平穏な空気が戻った。




******



問題は学園祭の準備だ。例の衣装は、満場一致で却下されており、ミラの衣装のみ決まっていない状態だ。


「この間はごめんない。」


「気にしないでください、九条先輩。私もあんな衣装が着れたし、楽しかったです!」


「ミラちゃ〜ん!大好き❤︎」


レナはミラに抱きつこうとするが、すぐにケイゴが間に入ってくる。


「もー、ケイゴ君のせいでミラちゃんとイチャイチャ出来ないじゃぁーん!」


ケイゴは華麗にスルーする。


「お嬢、俺が3着見繕っておきましたから、それから選んで下さいね。」


「あっ!そうなんだ!ありがとう。ケイゴチョイスなら間違いないもんね。」


「ありがとうございます。」


よく見ると❤︎が飛んでいるようか気がして、皆んなは苦笑いである。


皆んなでほのぼのしていると、突然扉が開いて誰かが入ってくる。


「失礼します。」


そこには松本修一がいた。他チームの出現に、リーダーのレナが対応し、ミラに声を掛ける。


「ミラちゃん、なんか学祭でミラちゃんの知り合いが貴賓としてくるらしいの。それで話したいから学園長室に来て欲しいって。」


松本以外はミラの素性を知っている。だから誰も驚かなかった。


「俺も行く。」


「亜月先輩は呼ばれていませんが。」


「副担だからな。ハナミネは理事長室の場所が分からないだろう?」


「…(前に呼び出されているから知ってるけど^^;)はい、分かりません。先生、お願いします。」


「いや、僕がこのまま案内しますから。」


「…なら、3人で行こう。」


ケイゴは有無を言わさぬ笑顔で修一に言い、ミラを促した。




******



「修一お兄様、ありがとうございます。ここで大丈夫です。」


「うん。そうだ!元気の出るおまじないしてあげる。」


そう言って修一はミラのおでこにキスをする。ミラはハハッと笑うが、ケイゴは目を釣り上げる。


「松本、俺はハナミネの副担だよ。未成年にそういうのはしてはいけない。」

「亜月さん、ただのおまじないですよ!ミラちゃんも嫌がってないし。」


「ハナミネさん、嫌な時はちゃんと断りましょう。」


笑顔だ…しかし恐ろしく眉間に皺を寄せて、口元もピクピクしている。目がマジで怖すぎる笑顔だ。


「(^◇^;)はい。」


「松本、案内ありがとう。行ってくれ。」


「はい。じゃぁまたね!ミラちゃん^_^」


修一が去るのを確認してすぐ、ケイゴが不満げな顔で振り返り、ミラの腕を引っ張りノックも無しに理事長室へ入る。


「え、ちょっ、ケイゴーーー」


入ってもいいの?と聞く前に中の人物と瞳が合う。


「おじ様、ごきげんよう。」


「ミラちゃん、急に呼んで済まないね。ここに座りなさい。」


何故か1番広いソファーを勧められ、そこに座りケイゴはミラの後ろに立つ。


「大丈夫です。ご用はなんでしょう?」


「学園祭の事なんだけどね、来賓がたくさん来るんだ。その接待を頼みたくてね。ミラちゃんともう1人呼んであるんだがーーー」


コンコンコン


タイミング良くノックがされ、入って来たのはびっくりする程の美人さん。


「失礼します。お呼びでしょうか。」


「あぁ、準備中に済まないね。さぁ、ハナミネさんの隣に座りさない。」


理事長はその子にミラの隣を勧め、言われるがままに座る。座る前に一瞬、ケイゴを見て驚いた様に見えた。


「2人に来賓をもてなしてもらいたい。」




******家にて




「今日あった五十嵐季子は、対立する五十嵐財閥のご令嬢です。お嬢の2学年上ですね。今日の感じだと、俺がお嬢と関係していると初めて知った様ですね。」


「先生をやっている以上、個人的な繋がりは知られるとマズいよね。」


「俺は構いませんが。」


ケイゴは身バレしても気にしていない様子。


「贔屓とか良からぬ憶測を生むでしょ?」


「お嬢が文句のない結果を出せば良いだけですから。」


ケイゴはイタズラっぽい顔をする。


「ゔ…善処します(~_~;)」


「それよりも、お嬢はお気をつけ下さい。」


「何を?」


「色々です。それに五十嵐が何をして来るかわかりませんから。」


「?綺麗でいい人そうだったけど。」


「用心するに越した事はありません。」


「…分かった。」




******




翌日学校へ行くと、変な空気が漂っている。私を見てコソコソ話している様な。


「ミラ!ちょっと大丈夫!?」


「?ナオおはよう!何?私って大丈夫じゃないの?」


「どう見たってヤバいでしょ!」


「?何が?」


「ちょっと、あんたがハナミネ ミラね。」


そこに知らない人達が声をかけてくる。バッジの色から、3年の先輩だと分かる。美女軍団。クラスの1軍女子だろう。


「何でしょうか?」


「あ?何でしょうかじゃねーだろ?何で1年のそれもお前みたいなブスが接待なんだよ!」


「私は頼まれただけなので、分かりません。」


「あ?分かりませんだと?お前が狡い手を使ったせいで、雅様が外されたんだろーがー!」


そう言いながら、公衆の面前でミラの髪を掴み引っ張る。


「痛っっっ。」


ミラの顔が引き攣る。そこへ天使の様に綺麗な声が降りかかる。


「あなた、やめてください。」


声の主はとても美しく、朗らかに微笑んでいる。


「!!雅様!」


髪を引っ張っていた手を離し、雅に頭を下げる3年。雅はニッコリしてからミラを見る。


「すみません、大丈夫ですか?私のお友達が貴方に酷い事を。」


「はい、大丈夫です…。」


実際は大丈夫では無い。髪が20本くらい抜けた。痛い。怪我はしなかったし、ケイゴに見られなかっただけましだ。


「私が言って聞かせますから、許してちょうだいね。」


そう言って雅と取り巻きは去って行った。それを見てナオが駆け寄ってくる。


「ミラ、大丈夫だった!?」


「うん。大丈夫。」




******



ケイゴの授業の時、少し困った事があった。それはミラの教科書が無くなった。


「ハナミネさん、教科書はどうしましたか?」


「すみません、忘れました。」


「…そうですか、ではコレを使って下さい。」


ケイゴが自分の教科書を貸してくれたから助かった。授業が終わり掃除の時間に、ミラの数学の教科書が水のたっぷり入ったバケツに突っ込まれているのがみつかった。

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