修一お兄様と
次の日、ミラは体の怠さを感じて目が覚める。
(何だろう、体が重い。昨日の夜更かしのせいかなぁ。枕投げ白熱しちゃったし。)
コンコンコン
そこへナオがやってくる。
「おはようー。」
「おはよう。」
「昨日夜更かししちゃったからか、体が怠いんだよねーミラは寝れた?」
「あー実は私も眠れなくて変な体調で…。」
「だよねー。そんな時はアレに限るな。」
「何?アレって。」
「昨日、お兄様が催眠術の話をしてたでしょ?ウチでは、大事な日とか軽い体調不良の日は催眠術を掛けてもらうの。」
「へー。」
「よし、お兄様を突撃しよう。」
***
「ナオ、お前は妹だからいいけど、ミラちゃんはお客様だ。お客様の着替えの時間も考慮してから部屋来いよ。そしてオレにも着替えの時間を与えてくれ。」
「あっ!私パジャマのままで\(//∇//)\着替えて来ます!」
ミラは自分がパジャマのままで男性の部屋を訪室した事に真っ赤になり、慌てて着替えにいのうとする。
「待って、待って!パジャマ可愛くて良いと思うよ!でも風邪ひいちゃうといけないから、コレ羽織ってて^_^」
「ありがとうございます!優しいですね。修一さんも色っぽいですね。」
「ミラちゃん誘ってる?」
修一はイタズラっぽく言うので、ミラもフフフっと笑って返す。
「お兄様、私には?」
「お前は少しくらい風邪ひいた方が静かでいい。」
「何でよー!もうコレ使うもん!」
ナオは自分で毛布を羽織る。それを見てミラはクスクス笑う。修一はやれやれといった顔をして、はーとため息をつく。
「じゃぁミラちゃん、こっちの椅子に座ってくれる?」
「はい。」
「じゃぁ目をつぶって、呼吸は楽にしてね。息を吐く毎に、体の力が抜けていくよ。」
修一の穏やかで低い声が頭にこだまする。とても心地よいリズムだ。修一に言われるがまま微睡んでいると、突然パチンッと指を鳴らす音が聞こえる。
「さぁ目を開けて。どう?頭はスッキリした?」
「はー凄く気持ち良かったです。頭も体もスッキリした感じします!」
「そっか!良かった。でもコレはあくまで一時凌ぎだから、ちゃんと休息は取るんだよ?」
「はい、ありがとうございます♪」
続いてナオがやってもらって、皆んなで朝ごはんに向かった。
***
「ねぇミラ、どこかお出かけしない?」
「いいよー!どこに行きたいの?」
「うーん…。特に行きたい所無いけど…。」
「そうだ!なら、最近出来た可愛いカフェがあるの!行って見ない?」
「いいね!何てお店?」
「『ciel RoZe』って知ってる?」
「もしかして、学生街に出来たって言う、
ciel RoZeのカフェのこと?」
「そう!よく知ってるね!」
「気になってたの!行きたい!…でもまだ、一般向けにオープンしてないでしょ?」
「そうなの?お店に電話してみようか?」
「うん!!」
ミラは電話を掛ける。
プルルルル、、、ガチャ
[お電話ありがとうございます。カフェciel RoZeでございます。]
[あの、そちらのお店に伺いたいのですが…。]
[お問い合わせ、ありがとうございます。大変申し訳ありませんが、現在プレオープン中でございまして、招待状がある方のみとなっております。]
[…そうですかぁ。先日伺った時、とても素敵なカフェだったので、また伺いたいと思ったのですが、オープンしてから伺います。ありがとうございましーーー]
そう言いかけると、電話口で慌てた様にバタバタし出す。
[お電話代わりました。私マネージャーの浅野でございます。プレオープンにお越しくださりありがとうございます。失礼ですが、お名前をお伺いしても宜しいでしょうか?]
[ハナミネと申します。]
(ハ、ハナミネ様!と言う事はオーナーのお連れ様!)
[大変失礼をいたしました!是非お越し下さい!]
[あの、無理には大丈夫です。]
[いえ、そんな事ございません!是非お越しください!!]
[では、2〜3人で伺いますので、よろしくお願いします。]
[かしこまりました。お待ちしております!]
「OKだったよ!!!」
「やった!ミラありがとう!」
「ううん。私も行きたかったから!」
***
カフェはまだプレオープン中で、招待客しか来ていない。その為人は多いがゆとりがあり、ゆっくり寛げる空間だった。
「いらっしゃいませ、ハナミネ様、お連れ様。どうぞごゆっくりお過ごしください。」
この間のマネージャーが自ら出迎えてくれ、席も前回ミラ達が通されたお庭が見える特等席だ。
(凄く気を使わせてしまったかも…(^^;;)
ミラは申し訳無さを募らせていた。そんなミラを、ちゃっかりついてきた修一がエスコートしてくれる。流石は曲がりなりにも良いとこの子息である。振る舞いは完璧。
「お兄様、私のエスコートは?」
「お前はいらんだろ!」
「いるもん!」
「いらん!」
「いるー!」
そんな風に言い合っていると、ナオのスマホが鳴る。
[なによ?今良い所なんだから!]
[お嬢様、至急お戻り下さい!旦那様が呼んでおります。]
[何で?]
[例の話だと思われます。]
[分かった…。]
「どうしたの?」
「ミラ、私どうしても帰らないといけなくなっっちゃった…。」
「そう…。ならケーキを買って帰ろうか。」
「ううん!折角電話までして入れていただいたんだから、いま帰るのは失礼よ。だから、ミラはお兄様と2人でこのままカフェを楽しんで!」
「でも…。」
「ミラちゃん、僕も今帰るのは失礼だと思うよ。また正式にオープンしたら来ればいいんだから、今日は2人でたべよう?」
「…はい。お土産楽しみにしててね!」
「ありがとう、ミラ!楽しんでね!」
ナオは帰って行った。
「さぁ、メニューを決めようか。」




