ナオの家にて
3
「オレは大学部で心理学を専攻してて、今は催眠療法を研究してる。」
「トラウマを軽くする事に効果を期待するみたいなのをニュースで聞いた事あります!催眠療法ってすごいですね!修一さんは催眠術が出来るんですか?」
「少し習ってるけど、大した事ないよ。何ならちょっと掛けてあげようか?」
「ちょっと、変な事言わないでくれる?( *`ω´)ミラは私に会いに来てくれたんだから!」
「仲いいんだね!羨ましい。」
「こんな兄貴と仲良くても意味ないわ!」
「酷い言い草だなぁー。中間テスト教えないぞ!」
「おにぃさまーごめんなさい!」
そんな2人のやり取りを見て、何だか元気が出て来て笑ってしまった。
「ミラちゃんってカワイイね!」
「え!」
「ちょっとー!妹の前で親友を口説かないでよ!」
「おーそれはごめん。後で部屋に行くね!」
冗談めかしながらそう言ってウィンクミラに送った後、その場を立ち去る修一。
「変な兄貴でしょ?」
「ううん、優しいお兄さんで羨ましいよ。で、相談ってなぁに?」
「学祭の前夜祭と後夜祭をさぁ、生徒会と自治会でやるみたいで、それをうちの部活が手伝う事になったの。で、その企画を皆んなで考える事になって、一緒に考えて欲しくて!」
「あー難しいけど、楽しそうじゃん!」
食後は2人で企画の案を出し合った。
***
ミラはお風呂を借りて少し外へ涼みに来ている。ナオはお嬢様お嬢様していないが、立派なお屋敷に住んでいる。だから中庭も広くて美しい。綺麗な花々が月光に照らされて艶やかだ。
(あれ?あそこに修一さんがいる?)
修一は中庭のベンチで座っている。それもすごく寂しそうに見える。月光に照らされた修一は美しくて話かけ辛いが、寂しそうな背中が誰かと重なって、こちらまで寂しくなってくる。意を決して声をかける。
「修一さん?」
「あれ?ミラちゃんお風呂入ったの?顔が赤いね。」
「はい、すごく気持ち良過ぎて、長湯しちゃいました。だから火照りを覚ましに少しお散歩をしてました。」
「そっか。でも体を冷やしちゃいけないから、もう戻りな。」
「はい、ありがとうございます…。でも、寂しそうな修一さんを見ていられなくて…。あっ!でも邪魔ですよね。退散します!」
「ははは!そんなに慌てなくていいよ。心配してくれたんだね。ありがとう。大した事無いよ。夜は感傷的になり易くてね。親の仕事を手伝ってるんだけど、なかなか難しくて。ちょっと黄昏たかっただけなんだ。」
「そうなだったんですね。私はまだ家業の仕事は全然やっていないので、辛さを察することは出来ないのですが、修一さんが回す会社は、きっと良い会社になるでしょうね。」
「え?」
「だって、こんなに悩むくらい会社の事を考えていらっしゃるんだから!良い会社にならない筈がないじゃないですか。ステキだと思います。」
「そっか、ありがとう。何か元気出た^_^」
「それなら良かったです!じゃぁ、私先に戻りますね。」
「ミラちゃん、コレ掛けて行きなよ。風邪引くといけない。」
「でも…。」
「励ましてくれたお礼!」
「じゃぁ遠慮なく。修一さんも冷えない様に早くお部屋に行って下さいね。」
(あの暖かで裏表のなさそうな笑顔、ミラちゃんっていいな。)




