ミラ、秘書やります!2
今日は土曜日だが、ゼミに参加するというケイゴに付いて、秘書をやる気満々のミラが意気込んでいる。
「大学部入るの初めて!こんな感じなんだね!」
「ここは学部棟だから基本的には学生しか入れないんですが、向こうの建物はカフェや図書館、他にもコンビニや生協もあるので、一般の方も入れますよ。お嬢も高校生になりましたし、毎年学園祭は合同でやるので、その時に何回か来る事になると思いますよ。」
「へー!楽しみ♪」
「俺はあまり嬉しくありませんね。」
「何でよ!?」
「人が多いとすぐ逸れたり迷子になるお姫様がいますかね。」
「あー。すぐ子供扱いするんだからぁ。」
「知らない人について行ってはいけませんよ。ちょっと知ってる人もダメです。」
「もー!!」
ミラは横を歩くケイゴの腕に「えーい」とパンチをするふりをする。
「そんなんじゃぁ、全然ダメですねー。」
わざとらしく「やれやれ」とお手上げポーズをするケイゴ。
「お!ケイゴ!こんなところで何してんの?早くゼミ来いよ。皆待ってるんだぜ。あー女の子はごめんね。入れないんだ。」
「この子は俺の秘書。」
「は?秘書?いつものじゃ無くて?」
「違う。俺が連れて来た。」
「なーんだ!じゃぁどうぞ!」
ミラは教室の前で立ち止まり、何かを考えている。
「あのぉ、本当にいいんでしょうか?やっぱり帰ります。お邪魔したら悪いんで。」
ギロリとケイゴはゼミ仲間をにらむ。ゼミ仲間は正直とばっちりだ。普段は煩わしい女子を追い払ってくれるヤツだが、今日は負に働いてしまった。
「いや!本当に大丈夫!!いつも亜月が煩わしそうだからそう言ってるだけで、どんな子でも入って良いところだから!さぁさぁ!」
グイグイ背中を押してくる。
「では、お邪魔しない様に隅っこで大人しくしてますので、宜しくお願いします。」
中に入ると、早速女生徒がやってくる。
「わー!ケイゴくん!今日は来てくれんだぁ。会えて嬉しいよー!」
可愛らしい女の子が抱きつこうとするが、ケイゴは腕を突っ張り距離を取る。
「いつもなら腕に抱きつくの許してくれるじゃん!!」
ケイゴの眉間がピクっと動き、ミラをチラッと見る。ミラは苦笑いをしている。
「で、貴方は誰?ケイゴくんは1人のものにはならないのよ。勘違いしないで。」
「あー私は彼の秘書です。ですが、こんな所まで押しかけて申し訳ありません。隅っこで大人しくしていますので、ご容赦ください。」
そう言ってケイゴの背中を押し出し、女の子に差し出す。するとケイゴの腕に巻き付く女性。ケイゴはその手を外させている。
「秘書じゃない。俺の彼女。無礼は働くなよ。」
ケイゴはミラの腰に腕を回し抱き寄せながら言い放つ。
「「「………。」」」
そこにいた全員が言葉を失う。いち早く解凍した男子生徒が言う。
「え?マジ?」
「マジ。だから、変な気起こすなよ。」
「あぁ、うん。」
変な空気が流れる。
「こっちの椅子、座りなよ!どうぞどうぞ!」
男子学生がミラに椅子をすすめる。
「あ、はい。どうも。」
座ろうとした瞬間、女学生が声を上げる。
「あー!!」
「な、何ですか!?」
ミラは驚いてよろめく、その肩をケイゴが支える。
不機嫌そうに、大声を出した女学生をケイゴは睨む。
「だってciel RoZeの最新作!しかもネックレスもリンクしてるんだもん!マジで彼女なの!?」
「そうだって言ってるだろ。」
ケイゴは女生徒を一瞥しなが、ミラを1番端の席に座らせ、その隣に座った。




