パーティーの後始末〜暗躍2〜
ミラは今学校に行っている。ケイゴはルカの屋敷へ来た。
「ケイゴ様、今日はどうされました?」
「ルカ嬢に聞きたい事があります。」
「ミラお姉様なら、私がお似合いです。」
「寝言は寝て言ってください。」
ケイゴは今まで敬意を表し話していたが、今はそう言う気持ちが微塵も感じられない。一先ず丁寧語を話しているレべるだ。それはルカを恋敵と見ているからかもしれない。
「ルカ嬢、中村アヤトを知っていますか?」
「はい。うちの会社の重役の息子です。先日のパーティーの招待客の1人です。」
「そいつの取り巻きは?」
「重役の子息達ですね。」
「そいつらを呼べ。」
話をしている間に、ケイゴを包む空気が怒気を含んでいく。敬語も、無くなっている。ルカはその空気に嫌な汗をかく。
「ルカ嬢、呼べ無いのか。」
ルカは、我に返って言う。
「かしこまりました。ケイゴ様。」
ルカは召使を呼んだ。
***
暫くすると、子犬のようなキュルンキュルンの男と2人の取り巻きが部屋に入ってくる。
「ルカお嬢様、今日は何のご用でしょうか?」
人畜無害そうな笑顔で来るが、ケイゴに気づくと険しい顔になる。
「お前は…ミラちゃんを苦しめた男…。やっぱりルカお嬢様と出来てたんだね。」
冷たい顔で吐く。
「なにを勘違いしているのか分からないが、俺はミラと愛し合ってる。」
「は?でもこうやって他の女とも会ってるんだ。ミラちゃんかわいそう。こんな事なら、連絡先聞いておけば良かった。」
「アヤトさん、親会社の関係者よ。」
「え?…だからって引かない。ミラちゃんを傷つけるやつは、ボクが赦さない!」
「はっ。お前に何ができるわけ?」
「ミラちゃんを抱きしめて大切にする!」
「お前は以前から、その人畜無害そうな容姿を利用して女に近づき、落としたらそこの取り巻きたちに襲わせてたんだろ?言えるか?ミラに。」
グッとアヤトは歯を食いしばる。その生い立ちから「女」を弄ぶ対照にしていた過去に悔やむ。しかし、あの日ミラに恋をしてから、初めて自分がした間違いに気付いていた。
「…ミラちゃんならきっと間違いを犯したボクを、聖母の様に包んでくれるはずだ。」
「それはどうかな。ミラは聖母では無い。すぐ拗ねるし、勘違いで怒ってくるし、他の男は無意識にたらし込むし、ヤキモチ焼きだし、我慢してんのに煽ってくるし、すぐもの欲しそうな顔するし、寂しがりやで抱きしめてあげないと不安がるし、それでいて俺が忙しくて構ってあげられない時は文句も言わず大人しくしてくれるし、たまに手紙とプレゼントをくれるところがーーー」
これを聞いているルカは、両頬な手を当てて「まぁ、可愛らしい❤︎」と自分との事を妄想しているし、取り巻き2人は「そんな彼女、いたらいいなー」なんて羨ましそうにしている。アヤトは自分のミラが他の男と幸せそうに過ごしているのを想像し、イライラする。
「ミラちゃんをいい様に使ってるだけだろ!?」
「俺らはラブラブだ。だから君の入る余地は無い。諦めろ。」
「貴方に言われる筋合いは無い!初めてこんな気持ちになったんだ!諦められない!」
「まぁそこは自由か。それより、俺はミラに酒を飲ませた事と、ミラにキスをした事、痕をつけた事を怒ってる。」
「あれは合意の元だよ。ミラちゃんがボクを好きになった証拠だ。」
「そんな訳ないだろ。」
「ただ、ボクも最初はミラちゃんにやましい心で近づいた。そこはミラちゃんに謝りたい。」
「謝りたい?はぁ?(最低なヤツなら断罪出来るのに!)」
「お願いです。ミラちゃんに謝る機会をください!ミラちゃんの望む罰も受ける。」
アヤトはケイゴに深く頭を下げる。
「二度と顔を見せるなと言われても?」
「…うん。悲しいけど、言われた通りにするよ…。」
その悲しそうな顔にケイゴの気持ちも冷めてしまった。ケイゴはミラを苦しめる相手には容赦が無い。持てる力を全て使い潰した事もある。しかし、ミラの優しさの果汁をたくさん味わったケイゴは、『感情』に心を揺らす様になった。
「今から君は俺のコマだ。呼び出しには応じろよ。」
「はい。ところで、貴方はあの亜月様ですよね?ミラちゃんに仕えているんですか?」
「そうだが。」
「ミラちゃんは、どこの家のお嬢様ですか?」
「………。知ら無いなら教えん。」
「え!何で意地悪するんですか!」
側から見ると、2人がじゃれあっている様に見える。この状況をミラが見たら、クスクス笑って「仲良しなんだからぁ!」と嬉しそうにするだろう。
ナルい話になってしまった…




