パーティーの後始末〜暗躍1〜
帰ってきた次の日の朝
「あーダルい。凄くダルい。起きれない。」
独り言を呟く。現在朝の8時。いつもなら6時には起きて炊事場で働いているが、今日は起きれなかった。ケイゴもタミさんも他の部屋住みたちも、全く呼びに来ない。と言うか部屋に近づいて来ず、家全体も心無しか静かだった。
それもそのはず。昨日の報告がしっかりなされており、ミラはお酒を飲まされた事が全体に伝わっている為である。
親分からの「今日はミラをゆっくりさせてやりなさい」の命令は、決して起こすなと同意味をもっているのだ。
ミラは重たい体を起こしてリビングへ降りる。そこにはケイゴとタミさんしか居ない。
ミラに気づいたケイゴは水を、タミさんはおかゆを温めに行った。戻ってきたケイゴからお水をもらう。
「ケイゴおはよう。起きれたんだね。」
「ええ、僕はお酒は飲んでいませんので。それより、体調はいかがですか?」
「だるくてねー。体起こすのがしんどいよ。」
「なら、タミさんのお粥を食べたらまた寝てくださいね。」
「うーん…。」
「どうされました?」
「ケイゴと2人きりになりたいな。」
「甘えん坊さんですね、お嬢。後ほど一緒に戻りましょうか。」
「うん。」
タミさん特製お粥をたべ、栄養剤を飲んだミラは、ケイゴに支えられて自室に入る。
「ねぇ、一緒に寝ない?」
「素敵なお誘いですが、今は遠慮しておきます。早く元気になって下さい。」
「チェー、ケイゴが横にいてくれた眠れそうだったのになあー。」
「そんな顔なさらないでください(^_^;)寝るまで一緒にますから。」
(ミラの『寝る』はリアルに寝るからなー。それもぐっすりと。他の男だったら勘違いする言葉だ。まぁ、他の男には言わせないけどね。)
***
ミラが休んでいる間に、ケイゴも動き出す。情報を集めるためにLiseを訪れる。
「悪いな、呼び出して。」
ケイゴは美琴をお店に呼び出していた。
「いいよ。で、用事って何?」
「前にミラを痴漢から助けたヤツに会いたい。何とか平とか言う。」
「あー…亮平ね(^_^;)どんな覚え方だよ…。うちの店員、あんまいじめないでね。」
「…事と次第によるな。」
真顔で言うケイゴに、少し慄きながらも亮平を呼ぶ。
「亜月様、昨日はお世話になりました。」
「そんな挨拶はいい。単刀直入に聞く。ミラに酒をのせたのはお前か。」
「ち、ちがいますよ(~_~;)ご飯を食べられてている所をたまたま兄がお声を掛けまして、一緒にいただいていたそうです。そこに主催者がご入場された時…そのー…。」
「気にせずに言え。」
「ケイゴ様を見てショックを受けれた様で、体調が悪いと休憩室へお一人で行かれまして…。」
ケイゴは睨んで真偽を見極めるが、嘘はなさそうだ。
(つまり俺を見て体調が悪くなったと。、)
「それで?」
「私が存じ上げているのは、それだけです。」
「だからどうした。」
脈絡の無いケイゴの言葉に、亮平は「?」となりながらも勘づいた。
「かしこまりました。」
「あぁ、行け。」
「失礼致します。」
亮平が去る。ケイゴは視線を美琴に戻す。
「察しはイマイチだな。」
「いや、言葉が足りないのに気付いてくれた亮平は凄いと思うよ。誰が調査しろって言われたと思うの?あの言い方で。」
美琴は呆れた様に言う。
「調査結果が楽しみだな。」
「こいつのどこが優しい王子様だよ。腹黒だろ。お嬢様方の目は危機に瀕しているな。」
満足そうなケイゴと、困り顔の美琴は対照的だった。




