身バレ事件
2話目の続きです。
お楽しみくださると嬉しいです!
「お嬢さま!」
その言葉にイヤな汗をかく。
私の実家を知っている人はいないハズ。
でも聞いたことのある声。
一回深呼吸をしてから、ゆっくり振り返る。
何も知らない顔をして。
「何ですか?それ?」
苦笑いで言いながら相手を見る。
(えっ!?結城先生!!親しみを込めたのかな?)
「結城先生、さようなら。」
ミラは爽やかにその場をさろうした。
が、失敗した。
「何シレーっと帰ろうとしてるの?」
結城がニコニコしながら腕を掴んだ。
「お嬢様だろ?ケイゴの。知ってるよ。
あいつのヒミツも、君のご実家の事情も。」
ミラは身構える。
「ケイゴ、ここの卒業生だろ。あいつが高一のとき、
俺が副担だったんだ。俺は新卒だったから年も近くて、
良く構ってやったよ。」
結城は懐かしそうに笑う。
(いくら仲が良かったにしても、
ウチの家業がばれるヘマをケイゴがするとは思ない。)
「あんなことが起きるなんてな。」
「何かあったんですか?」
「あれだよ。ストーカー事件。」
(えっ!?何それ!!)
「マジで知らないの⁉︎」
「…知りません。」
「あー。あいつ昔からミラちゃんに対しては
カッコつけだったからなぁ。」
結城は妙に納得した顔で話す。
「高一の半ばくらいだったかな。
ケイゴは入学当初からモテモテでさぁ、
クラスの女子からも大人気で。
でもその中にヤバい女がいたんだ。
最初は物が無くなったり、
壊されたりするだけだった。
でもだんだんエスカレートして、
ストーキングされるようになって。
撒くように注意してたみたいだけど、
何回かストーキングされるうちに家がバレて。
その家に出入るする人が強面だったから
噂が立ったんだ。」
ミラは何かを考えるような表情で聞いている。
「ねぇ、ケイゴが大怪我して帰ってきた日無かった?」
「……いえ、記憶にありません。」
「そう。…ストーカーに切り付けられたんだよ。」
ミラの目が見開かれる。
「本当に知らないのか。
まぁミラちゃんは小学生だったから、
心配かけたく無かったのかもね。
包丁で刺されたんだ。」
(何かドラマの話みたい。現実味が無い。)
「まぁ犯人は女であいつは男だからな。
傷口も浅くて、力の差でねじ伏せて捕まえたんだけどね。」
あんな傷を負って犯人逮捕とか、どんだけだよー
そんなことを呟きながら、結城は続ける。
「その事件でケイゴの家のことが調査されて
家業が分かったんだ。」
(ミラはマズいというような顔を一瞬する。)
「でも、あいつの人間性と家業は関係無いからな。
まぁ、何が言いたいかと言うと、俺は味方だよと。」
ミラは少しびっくりした様子だ。
「君のじゃなく、ケイゴのね。」
(ケイゴの味方かぁ)
ミラは微笑む。
「先生、ケイゴを宜しくお願いします。
ケイゴを分かってくれる人は少ないから、とっても嬉しいです!」
ミラは精一杯頭を下げてお願いした。
結城も満足そうに笑っている。
「じゃ、また明日な!」
「はい。さようなら。」