翌日は?
翌日、ケイゴはいつもの様に皆んなと一緒に朝のお勤めをしている。そこへ樹がやって来て声を掛けてくる。
「おはよう、ケイゴくん!昨日はどーもね。」
「おはようございます、樹様。お早いですね。もうすぐ朝食ですから、お部屋でお待ちください。」
ケイゴは営業スマイル100パーセントだ。
「その笑顔、何かあったなー。」
「樹様にお話する様な事はなにも?強いて言うなら、お嬢は俺のってことくらいです。」
「そうか。じゃあしばらくは様子見かぁー。」
樹は髪をかき上げながら戻って行く。
(何なんだ一体?)
***
ケイゴはミラを起こす為部屋に来た。軽くノックをしても返事が無い。少し早い時間なので、ミラの部屋に静かに入り様子を伺う。
(かわいいな。)
ケイゴはほっこりして髪を撫でる。それからおでこにキスを落とす。少し身じろぐミラ。充分寝顔を堪能してから声を掛ける。
「お嬢おはようございます。」
ミラはその声に反応して目を覚まし欠伸をする。
「おはよ〜ケイゴ(p_-)」
ふと見ると、ケイゴの顔が間近で目が合う。昨夜のことが頭をよぎり、思わず紅くなる。
「あ、え、あ、あ、え、あー。」
ケイゴは思わずクスクスと笑ってしまった。
「お嬢、壊れた人形みたいですよ。」
そう言って、いつもの余裕の笑顔だ。
ミラは恥ずかしがりながら怒る。
「着替えるから、そしたら行きます!」
と、ケイゴの背中を押し廊下へ追いやった。
***
下に降りるとタミさんが声を掛けてくる。
「お嬢様おはようございます。朝餉は客間に用意してありますので、そちらにお願いします。お客様もそちらにおられますよ。」
「タミさんおはよう!分かりました。」
***
(何コレ?)
客間に行ってミラはびっくりせざるを得なかった。
(何故3人分の食事なの?そして何故樹お兄様とケイゴが隣同士に座っているの?)
ナゾな配置とメンバーにしばし混乱するミラ。そして目の前ではケイゴと樹がミラのお膳を左右に引っ張り合っている。
「えぇっとーおはようございます…。これはどう言う状況ですか?」
ミラが苦笑いで聞く。
二人は尚もお膳を引っ張り合いながら、無理やり笑顔を向ける。
「おはようミラ。今日も可愛いね!ミラは僕の前で食べたいよね?こんな無表情を見ながら食べても美味しくないよね!?」
「いや、お嬢は俺のなんですから、もちろんいつも通り俺の正面で食べますよね!?」
二人とも圧が強い。笑顔ではあるがギリギリと音が聞こえそうなくらい二人は張り合っている。
「えっぇー。せっかくだし、真ん中で食べようかなぁ?」
ミラは二人に負けないくらいの笑顔を作り、平和的解決を目指した。どうやら何とか勝てた様子だった。
食事の途中、二人からミラに「あ〜ん」の試練があったが、何とか両方をスルーしながら食事摂取した。




