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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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婚約しましょう

樹がミラにハグをし、ミラは懐かしい気持ちになっていた。


「昔はよくギュッてしてもらったよね。凄く幸せな気分になってさぁ。樹お兄様にしたら、挨拶だから大した事ないかもだけど、私はドキドキしてたよ。懐かしいなぁー♪」


「ははは。そうだね。ミラはジタバタしてたよね。」


樹は日本人顔だがクォーターで、海外生活も長い為、紳士的な振る舞いが身に付いている。フィジカルコミュニケーションも多く、昔のミラは困惑する事もあったが、慣れた今となっては、気にならなくなっていた。


「でも、日本ではハグやキスは違う意味を持つだろ?良いの?」


「樹お兄様の場合は挨拶なの分かってるしいいよ。」


(あの男が気にしてるのは気づいてないのか?)


「じゃぁお兄様お休みなさい!また明日ね。」


「待ってミラ。」


樹がミラの腕を引き、自分の向きにする。その勢いでミラと樹の唇が軽く触れ合った。ミラはびっくりして目を大きく見開いた。


「え、あ、ええ、あ」


ミラは壊れた人形のように激しく狼狽えるが、樹は余裕の笑み。


「ミラ、実はミラに婚約を申し込みに来たんだよ。」


突然の話に目を見開いてパチクリパチクリしているミラ。


「…………………………え」


「うちの会社と業務提携をするんだけど、その条件が君との結婚なんだよ。」


「……ごめん。話が見えないんだけど…。」


「だから、ミラのところの家業で、海外進出分野があるでしょ?そこの支援をうちでやるんだよ。で、その支援の条件が、君と僕の結婚。だからさっきしたハグもキスも君へのギフトなんだけど。」


「えー。」


「なんなら、もう少し大人なギフトを送ろうか?」


「えっ?」


樹はミラを妖艶な瞳で見つめ、髪にキスをする。そんな目で見つめられたのは初めてで、ミラはドキドキしてしまう。


固まったミラの腕が急に後ろに引かれて倒れそうになる。そして誰かにぶつかり受け止められる。そっと視線を後ろにやると、不機嫌なケイゴがミラをガッチリ後ろ抱きしていた。

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