デートしたい
「デートしませんか?」
「今までだって、学校外で見られたらいけないってデート出来なかったじゃん。」
「そうですけど…。親分のもってるホテルならどうでしょう。お嬢が好きなフレンチが美味しいですし、ショーもやってますよ。好きですよね?」
「…好き。行きたい。」
親分はホテルやバーも経営しているが、富裕層向けな為行ったことがなかった。
「じゃあ行きましょう!予約取っておきますね!人気だからすぐは無理かもしれませんが。」
「楽しみにしてるね!」
***
「おかえりなさいませ、お嬢。」
「ただいま。お客さん?」
玄関の靴を見てテツに聞く。
「そうです。今親分と話してます。」
そこにタミさんが呼びに来る。
「お嬢様お帰りなさいませ。旦那様がお呼びです。」
「ただいま。分かった、ありがとう。」
ミラは荷物をタミに渡すと、そのまま客間へ行き襖に声を掛ける。
「失礼します、ミラでございます。」
ミラは美しい所作で襖を開ける。そこには懐かしい顔があった。
「樹お兄様!?」
「ミラ、久しぶりだね。すっかり大人になったな。キレイになった。」
樹は昔住んでいた家のお隣さんで、良く遊んでもらった。樹はミラが親分に引き取られる少し前に海外へ家族で引っ越してしまったのだ。
「覚えてくれていて嬉しいよ。」
樹は優しく笑う。ミラもつられて笑顔になる。
「お兄様との写真が、いつも私を励ましてくれましたから。」
「あ…おじさんとおばさんのこと残念だよ。ミラを支えてあげたかった…。」
「十分支えられてたよ!それに私は一人じゃ無かったから、大丈夫だよ!」
「そっか、良かった。でもやっぱり僕が支えてあげたかったな。」
悲しいような痛みを感じているかのような顔でミラを見る。
「少し二人で話せないか?」
「もちろん!じゃぁ私の部屋で。」
「ミラ、私はもう行くからここで話しなさい。食事を運ばせるから、夕食を食べてい もらいなさい。泊まってくれても構わないよ。」
親分が提案してくれる。
「いえ、そんな。お食事時に被ってしまい申し訳ありません。日を改めさせて頂きます。」
「気にしなくて良い。ミラの帰りを待ってもらったんだし、ミラの大切なお客様だ。おもてなしさせて下さい。」
「おじいちゃんありがとう!樹お兄様が嫌で無ければ、一緒にご飯を食べませんか?」
「ではお言葉に甘えさせて下さい。」
「嬉しいです!」
***
晩御飯が運ばれてくる。出前を取ってくれたようで、美味しそうなお寿司だ。ミラと樹は客間で食事を摂りつつ、昔の話で盛り上がる。
「樹お兄様と行ったキャンプも楽しかったですね!!魚を取るのが上手で!!」
「はは。そんなこともあったね!あー。ミラと居ると本当楽しいよ!」
「私もです、お兄様。」
ミラが樹にお酒を注ぐ。樹も上機嫌で呑んでいる。
沢山呑んだため、そのまま泊まることにした樹。ミラは寝所を整える。
「樹お兄様、ゆっくりお休み下さいね!」
「ありがとう、お休み。」
樹はミラに優しく抱擁した。客間の扉が開いており外の男と目が合った。優しく微笑んでアイコンタクトをしていた事に、ミラは気づかない。
新たな刺客か!?




