裏:一難さって〜ケイゴ視点〜
前回のケイゴからの視点です。お楽しみください^_^
ケイゴは今までミラを見失った事は無かった。一緒に居なくても、どこにいるか必ず把握していた。しかし今回は見失った。しかも一時的にとは言え行方不明になった。その事が親分に知られ、ケイゴは大目玉を食らった。その日からミラの安全のために、GPSを導入することになった。
***
それから数日後…
「今日は早く帰れよ。」
結城はケイゴに声を掛ける。たまたま仕事が片付き、早く帰れそうだ。と言っても完全下校の鐘が鳴ったのは一時間前。それでも、かなり早い方だ。
家に着くと、ミラはまだ帰っていないと言う。早速GPSで位置を確認する。こちらに向かって帰って来ているのが分かる。完全下校の時間で帰ったのならば、とっくに着いているはず。
ケイゴは、GPSで数時間遡る。丁度下校時刻の少し後から、ミラの動きがとまる。校内のある場所からしばらく動いていない。勉強をしているなら良いが、場所が明らかにおかしい。進路指導室、そこには真綾しかいない。
完全下校の時間をしばらく過ぎてから、やっと動き出した。ケイゴは後悔した。一昨日もミラを見失ったばかりだ。学校だからと気を抜いた自分に腹が立つ。心配と怒りで体が熱くなる。
「ただいま。」
ミラはいつもの調子で言うが、目が合った時の一瞬の瞳の揺れをケイゴは見逃さなかった。
「お帰りなさい、お嬢。」
「ケイゴ!?早いね!」
「確かに今日は早く帰宅しましたが、お嬢は遅かったですね。」
「ちょっと勉強してたから。」
「……ふーん。」
「お腹空いちゃった!ご飯♪ご飯♪」
ミラは歌いながらケイゴの横をすり抜ける。かなり態度が怪しかった。やっぱり真綾と何かあったのだろうと踏む。
ミラは気づかなかったが、また彼女に頼ってもらえなかった自分を情けなく思い、ケイゴ自身の為に何も言わないミラに、ケイゴは険しい顔をした。




