二度と戻れない国
***現在
ケイゴと王妃はベッドでもつれ合う。その間ケイゴは王妃の全身に口付けをする。堪らなくなり自ら下着を脱ぐ王妃。しかしケイゴはなかなか王妃の触って欲しいところに口付けない。
『ねぇケイゴさん、いいのよ?貴方の好きにしても。』
『してますよ?王妃様の身体を堪能しています。』
『…ねぇ、もっと、、、して?』
王妃はとろけた目で見る。
『その前にカホウ ミラの解放を。』
『もー。私を満足させてくれたら解放するわ。』
『王妃様は与える存在です。ですから彼女にも慈悲をお与えください。』
『王族は貢献した者に褒美与えるのよ?』
『でもその貢献は、王族が平和をお与えになるからですよ。』
『…。』
王妃はベルを鳴らしてメイドを呼びつける。冷たい目で低く呟く。
『カホウ ミラを解放しなさい。』
『はい。』
メイドが出ていくのと同時に、一瞬低くなった声が再び女たる可愛らしい声色へ変わる。
『さぁ、これでいい?』
『はい、さすが俺の慈悲深い王妃様。』
ケイゴは王妃の二つの赤い果実を口に含む。それと同時に王妃は歓喜をあげる。王妃が悦び狂っている間に下半身を攻め、到達させる。グッタリとして動けない王妃は、目を瞑ったまま寝入ってしまう。
ケイゴはしずかに身体を起こと、メイドに後を任せて部屋を出る。そして突かれたように凄い勢いで走り出す。服の乱れも唇に着いた口紅さえ気にせずただ走る。まるで鬼神のような顔だ。
角を曲がる時、ある人物とぶつかりそうになり、間一髪でお互いに避け回避する。ケイゴはその人物を一切見ずに「ごめん!」とだけ後ろに投げた。
「ケイゴ様、何かあったんですか!?」
ぶつかりそうになった相手はケイゴを追いかけてそんな言葉を投げるがケイゴは無視する。
「もしかしてミラちゃんに何かあったとか!」
その言葉にやっと声の主であるアレクシスを見る。
「例えば王妃様に冤罪を作られて投獄されたとか。」
「何故そう思う。」
「君の慌て様と、行き先から考察したまでだ。この先は地下牢だろ?」
「王城の秘密を知っているのか。」
アレクシスはフッと笑う。
「何処の城も地下は大体貴人の牢屋だからな。」
「…。」
「君を手に入れる為にミラちゃんを捕らえたといったところか。」
ケイゴは一瞬苦い顔をする。
「…。」
「ここから逃げて、どこへ行くつもりだ?国に帰るのか?」
ケイゴはイライラする。
「それしか無いだろ!」
「そんなのはすぐに捕まるだけだ。」
「分かってるがそうするしか無い!」
「最悪外交問題に発展するぞ。…R国に来い。」
「…はぁ?」
アレクシスはニヤッと笑う。
「うちなら不可侵条約があるから、自国にいる者は引き渡さない。例え旅行者であってもだ。王妃が君に興味を無くすまで匿ってやれる。」
ケイゴはアレクシスを見つめる。不安そうな色が見え隠れする。その瞳に大丈夫だと笑顔を深めるアレクシス。
地下牢の手前の柱に隠れる2人。ミラはどうやら1番小さな牢にいるようだ。殆ど身動きが取れない狭くて低い牢に、手足に枷までつけられている。王妃のミラへの憎悪が伺える。
「王妃様はそうという君に執着している様だな。可哀想に。」
誰に可哀想と言ったのだろうか。
ミラが入れられている牢屋は拷問用だ。閉所で気を狂わせ、獣になったと口実を作り処理をする所だ。そんな所に手足の枷まで付けられて座っているミラ。ケイゴは怒りと胸の痛みでおかしくなりそうだった。
兵士達が動き出す。
『王妃様がこの女を解放しろだとよ。』
『えー!まじかぁー。久しぶりに楽しめると思ったのになぁ。』
『おい、おい。また囚人とヤるつまりだったのか。美人と言っても子供だぞ。』
『ここの楽しみなんて、嫌がる女を無理やりヤるしか無いだろ?あの怯えた顔が堪んねー!支配欲が満たされる!』
『変態か。』
『いや、俺だけじゃ無いから!』
その会話を聞いてケイゴが飛び出していきそうなのを、アレクシスが体で止める。
『仕方ない、出すか。…でもその前に少しぐらい楽しんでも許されるよな。』
卑げた笑みを浮かべる兵士に、もう1人は呆れた顔を向けると一つため息を吐く。ミラの牢の鍵を開けようと中を覗く。そこには人形の様に何の感情もない表情のミラが、チョコん可愛らしく座っており、あまりの無垢なその姿に息を呑む。
『…!』
『おい、どうした?』
『いや、なんでも…。』
『…もしかして、出してくださるんですか?』
ミラが声を掛ける。
『ああ、王妃様より許可が出た。』
『そうなんですね、ありがとうございます!』
その純粋そうな姿に2人は言葉をなくし固まる。が、すぐに解凍した方が鍵を開け手足の枷を外してくれた。
『ありがとうございます。』
ニッコリ笑うミラ。そんなミラの手を引いてゆっくり牢から引き出す。その様子を柱の陰から見ていたケイゴとアレクシスがゆっくりと出て行く。
『ご苦労。』
『ケ、ケイゴ様とアレクシス様!』
『彼女を迎えに来た。ありがとう。』
『ケイゴ!アレク様も!』
ミラは投獄されたとは思えない程の穏やかな笑みだ。
『行きましょう、ミラ様。』
ケイゴが差し出した手を取った瞬間引き寄せられ腰を抱かれる。そしてそのまま素早くエスコートされどんどん地下牢から離れて行く。
「ミラ、今から出国する。だから兎に角走って。」
「!?えっ?急に?」
「急でも何でも、もうこの国には居られない。話しは後。1秒でも早く今すぐR国へ向かう。」
ミラはチラッとアレクシスをると、目が合い微笑まれる。それに一つうなづき前を見据える。
「…分かった。」




