ケイゴの本当〜過去編2〜
昨日女から取った情報をみんなに共有する。
「なるほどな。黒幕はあの家だったか。」
「ケイゴは凄い情報をいつも掴んでくるな。」
「大したことありませんよ。」
「…情報が凄いのは本当にありがたいが…正直体を売る必要はねぇよ。ケイゴ。」
「!…気づいてたんですか…?」
「あぁ。俺等は前から気づいてたけど…最近はお嬢も気づいたっぽいんだ。」
「えっ!?」
トラさんや周りは気まずそうに伏目がちだ。
「お前、お嬢が好きなんだろ?だったら潮時だ。」
「…お嬢の事は別に…。」
ケイゴはチラッと親分を盗み見るが、親分は特に無反応で、ケイゴとトラの話を聞いている。つまり既に確信を持っていると言う事だ。
親分はトラに話せと目で伝える。
「お嬢の事を大切に思ってるのなら良い。その気持ちを大切にしてくれ。だからお嬢を悲しませたく無いなら、やめろ。お前なら他にも出来るだろ?」
「…。」
親分が柔らかい表情になる。
「ケイゴ、例えお前が小さい頃から性的な事で搾取されてきたとしても、そんな親達は既に潰した。だからお前の意思に反する事を強要する人間は、ここには居ない。言っただろ?お前は私の孫の様なもんだ。それは役に立つ立たないは関係無い。そこに居るだけでいいんだ。」
「…。」
その暖かな強い眼に、ある日のミラが重なる。
***ミラの両親が亡くなって親分に引き取られてきたすぐの頃
ミラを遊んでやっていると突然泣き出す。どうやらケイゴの体の痣や傷跡が見えたらしい。
「わー(大泣)」
「急にどうしたんですか!お嬢?」
「け、ケイゴ、が、痛い、だよー(大泣)」
「お、俺は何もしてません(゜o゜;;」
「ちがっ!傷跡痛いだよー(泣)」
「あー見えちゃったんですね、すみません。泣かないで下さい。痛く無いですから。」
ケイゴは困った様に笑いミラの背中をさする。するとぐすんぐすんと泣いていたが少し落ち着く。
「でもお怪我した時は痛かったでしょ?悪い人は私がやっつけてあげるから、ちゃんと言ってね!今度は守ってあげるから。」
その言葉はどこか強い後悔を孕んだ言葉の様に感じて胸が詰まる。
「人の嫌がる事はしちゃいけないんだよ!それがパパやママからの言いつけでも!だから、ちゃんと嫌って言って良いんだよ!」
いつの間にか泣き止んだミラは、強い眼差しで俺を見上げた。
***
ミラは知っていたのだろうか、俺が両親から言われて幼い頃から性的な搾取を受けていた事を。上手くいかなかったら蹴られ叩かれ、ネグレクトを受けていた事を。
両親を亡くして間もない小さな女の子に、こんな事を言われるくらい弱々しくなっていたのだろうか。
「ケイゴ?」
親分が心配そうに顔を覗く。
どうやら考え込んでいた様だ。
「す、すみません。分かりました。他の方法を考えます。」
「ああ、そうしてくれ。その方が安心だ。」
(あぁ、この人は本当にミラのお爺さんなんだなぁ。ミラと一緒で、いつも暖かさをくれる。)




