手紙3
A国に来て3日目、その日の夜もケイゴは深夜に帰って来る。王の補佐として初日から忙殺され、既に疲れ果てている。
「はー、疲れたー。」
ケイゴはそのままベッドに寝転がった。少し休憩してからシャワーを浴びようかと考えながら。
フワッ
(ん?)
ビックリして体を起こして部屋を見渡すが変哲もない。
もう一度寝転がるとまたフワッと香る。
(ミラのバラの香りに似てる…。)
そんな事を考えながらゴロゴロしていてうっかり寝てしまった。朝になり急いでシャワーを帯びてスッキリしたところでノックが鳴る。
『ケイゴ様、お食事の準備が出来ました。』
『あぁ、ありがとう。』
(わ!湯上がり❤︎)
部屋の担当メイドはポーっと見つめてしまう。
『もしかして昨日部屋を整えて下さったのは貴方ですか?』
『はい。』
専属メイドなので、基本的な部屋の管理をおこなった。
『バラのアロマで焚きつけたてくれましたか?ありがとうございます。お陰でスッキリ眠れました。』
メイドはニコッと微笑む。
(バラのアロマ?そんなの知らないけど。)
『ごゆっくり出来たなら良かったです。お好きなんですか?バラ?』
『ええ。私の好きな香りでした。』
(ミラの香りだった。)
ミラの香水は好きなバラの匂いを何種類かブレンドした特注品だ。ケイゴの香水の匂いと混ざってもイヤにならない様に絶妙な配合がなされている。
『今日は午後には戻る予定です。』
『承知いたしました。』
ケイゴは食事をして当庁して行った。
***
午後、ケイゴは宣言通り帰って来て部屋で仕事の整理を始める。
『ケイゴ様、お帰りなさいませ。お茶をお持ち致しました。』
『ありがとうございます。』
ケイゴの前に紅茶が出される。フワッと香りをかいだ瞬間、ケイゴは勢いよく顔を上げてメイドを見る。
『何か?』
『いえ…。頂きます。』
(熱い…。)
カップに口を付ける。昨日とは違って熱めの紅茶だ。
『この紅茶、貴方が?』
『はい。』
『美味しいです。ありがとうございます。』
ニッコリ微笑む。
この紅茶は普段飲んでいる特別なブレンド、バルデュスだ。これは紅茶好きなミラが好きなブレンド。ケイゴとミラで何回も試飲し、丁度良い香りと味、水の色を試行錯誤した。
(アレと同じ物を出せるなんて!)
『A国では…いえ何でもありません。この紅茶を飲んだら仕事が捗りそうです。貴方のお名前をお教え願えますか?』
『えっ❤︎アデルと申します。』
『アデルさん、ありがとうございます。』
それからケイゴはよくアデルに声を掛けるようになる。
(えっ!えっ!もしかしてケイゴ様って…私を…?)




