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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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事件のオープニングはいつも良い事があった後

その頃KAHO家ではちょっとした事件が起きていた。それは、ミラ宛に届いた手紙だ。差出人はJoelと書いてある。家人達は親分に相談し、ミラへの私信ではあるが断る事なく開封する。


それはパーティーの招待状だった。


「えっ!」


差出人が「Joel」としか書いていない事も不審だが、日付を見て驚く。


「1週間後⁉︎」


「どう言う事だ…?」


「もしかしてお嬢、誰かと口約束でもしてるとか?」


「そんな話聞いてないわよ?」


皆んな口々に言うがミラが帰ってこない事には分からない。


「…お嬢は今日ハリス家に泊まるんだろ?1週間後なら早く教えた方が…。」


「ケイゴが行ってるから伝言を頼もう。」



***



ケイゴのスマホが鳴る。ミラは目で電話に出る事を促す。


『はい、ケイゴです。えぇ、そうです。どうぞ────────えっ!はい、はい、…わかりました。』


電話が終わったケイゴは明らかに動揺し辛そうな顔をしている。どうやら不測の事態が起きたそうだ。


「…どうかしたの?」


絞り出すかの様に話す。その後に覇気はない。


「…ミラ宛に…手紙が届いてる…。」


ミラもその空気を受け取り、どこか固い表情だ。


「…うん。」


「パーティーの招待状。」


「うん。」


「…1週間後だ。」


「!!1週間後!?」


「あぁ。しかもJoelという人物から。」


「Joel?A国の要人にそう言う名前の方いたかな?」


「いや、居ない。Joelは匿名希望という意味だ。」


「そうなんだ。イタズラなんじゃない?私A国に関係無いし。」


「…紫苑の婚約者だと思われてるだろ。」


「あー。でもそれなら1週間前に招待状が届くなんて変じゃ無い?お茶会なのかな?」


「…いや、1週間後と言えばA国主催の舞踏会だ。」


「…何で急遽私を?」


「…。」


ケイゴは答え無い。しかし始終辛そうな顔は消えない。


「まぁいっか!分かった。急いで帰って準備しよ!」


「え?」


「ほら早く!」


ポカンとするケイゴを引っ張りハリス邸を出たミラ達は、急いで帰宅した。ケイゴが招待状を調べた結果、本物だと判明し急いで準備に取り掛かる。


衣装とメイク合わせ、ダンスレッスン、マナー講座、A国の授業。これらは普段から習っている(タミさんやトラさん)が、一つミラを悩ませたのはコレ。


『手作りのお菓子を何か一つお持ち下さい。』


と言うもの。


「お菓子作りは得意じゃ無いんだよね…。」


「手の込んだ物じゃなくて良いと思いますよ?」


「うーん…。」


「 ciel RoZeに頼んでみましょうか?」


「あっ!ナイスアイディア!」


ケイゴはciel RoZeのパティシエを呼んでくれるが、その後はA国の公爵令嬢のおもてなしで、日中はいつも居なかった。


そしてあっという間に当日となる。

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