インターン8
「おい、俺だけ見ろよ。」
そこにカメラマンからポーズの指示が入る。
「ミラちゃんとゆづき君は寝転んだままお互いに向き合って、ミラちゃんの後ろから亜月君は抱きしめて目を隠す何て出来る?」
2人は言われた様に位置を変える。
「そう。で、亜月君はミラちゃんの腰くらいに手を置ける?で、ゆづき君はもっとミラちゃんにくっついて、脚を絡める感じで。」
目を塞がれたミラは、ゆづきが脚を絡めてくるとドキっとする。
「そう、いいね。それでちょっとミラちゃんの髪を弄ぼうか。」
ゆづきはミラの髪を梳いたり撫でたり、自分の口もとに持ってきてキスをしたりする。
その度に今まで感じた事の無い恥ずかしさがミラを襲う。その様にケイゴは耳に息を吹き掛けでイタズラしてくる。
「(小声)や、やめてよ//∇//)」
「(同じく小声)お嬢、さっきからゆづきに反応してますね、俺というものがありながら。俺以外にも感じるなんてとても残念です。」
「(小声)ち、ちが!」
「(小声)そうでしょうか?例え違ったとしても、俺はお嬢が他の男に脚を絡められている状況に嫉妬しています。帰ったらお仕置きが必要ですね。」
ミラはその言葉にまた真っ赤になる。
「では次のポーズいきます。まず亜月君はミラちゃんに膝枕。膝枕って言っても、崩した足にミラちゃんが頭のせるみたいな。出来る?」
「はい。」
ケイゴは起き上がり片足を立てもう片方の膝を曲げて倒す。そこにおずおずとミラは頭をのせて横になる。
「うん、いいね。で、ミラちゃんの脚、えーっと太ももかふくらはぎでも良いけど、ゆづき君はそこに頭をのせて?」
ゆづきはミラのふくらはぎに頭をのせて太ももに手を置く。
「あーそれいいね!ちょっとエロティックで良いじゃん!」
カメラマンさんはノリノリだ。それからも寝ているミラの顔を覗き込む様なポーズや衣装を変えて何ポーズも撮り、最後のカットとなる。
「ねぇ、最後にミラちゃんの胸元のセクシーなホクロを撮りたいんだけど。ちょっと下着をずらしてもらうかたちになるんだけど…いい?」
「あ、、、えーっと…。」
「華峯さん、無理なことはちゃんと断った方が良いと思いますよ?っていうか断って下さい。」
ケイゴが助け舟を出してくれる。
「…。」
ミラは微妙な表情である。
「これは学校としてもKAHOの人間としても、未成年にそんな事を要求するのは看過出来ません。」
ケイゴはミラをさり気なく背にかばう。
「俺もそう思う。エロ写真集じゃないんだからもう充分撮れ高はあると思う。それでもダメなら俺が女モンでもなんでも着てやるよ。」
ゆづきも援護射撃してくれる。
「ふーん♪言ったね!じゃぁ2人のメンズには下着を愛でてもらいましょう!」
「「え」」
「ん?(漢に二言はねぇよな?)」
「勿論大丈夫ですよ。でもゆづきはまだ高校生です。年齢的には問題ありませんが、社会的には成人扱いは出来ません。」
「そうだね、じゃぁケイゴ君だけで。」
「ちょっと待て!俺は自分の意思でやると言った。だからやる。」
「そう。じゃぁミラちゃんは先に着替えて来て。お疲れ様です。」
「はい、ありがとうございました…。」
ミラは後ろ髪を引かれながらもスタッフに促されてスタジオを出て行く。
「じゃぁまずはオトナな魅力を見せてもらおうか?ケイゴ君。」
「いいですよ。」
ケイゴは妖しく笑う。
「じゃぁ好きな下着を選んでもらおう。」
「す、好きな下着…(^◇^;)」
(コレを嬉々として選んでたらミラに引かれそうだな…。)
「僕は何でも…。」
「イヤ、ケイゴ君の好みの下着を知りたい娘さん方もいるから是非!」
(まじかよ…。面積が少ないのは…ミラが嫌がりそうだし派手なのも…。あんまりここに時間掛けるとそれも引かれそうだし…。)
ケイゴは「はー」とため息をついて黒の下着を選ぶ。
「はーケイゴ君はそういうのが趣味なんだぁー!」
揶揄う様にわざわざ言ってくるカメラマンにイラッとするが、妖艶な笑顔を作り反撃する。
「彼女は普段が清楚系なのでたまにはこんなのも良いかと。」
その言葉に周囲が騒つく。
「えっ!ケイゴ君彼女いたの!?」
「あれだけイケメンで金持ちで頭もいいなら、いない方がおかしいでしょ。」
「狙ってたのにぃー!」
「そんなぁ!」
「イケメンコノヤロー!」
そんな声がスタッフから漏れる。
「わー亜月ケイゴってモテるんですねー。」
ゆづきは近くのスタッフにボソッと呟く。
「そりゃそうよ。この中で唯一KAHOの家に住んでる、社長の孫みたいな人で、将来が約束されてる人物よ。本当ならこの中で1番権力があると思うわ。」
「へーじゃぁ将来は社長っすか。」
「うーん?本物のお孫さんがいるから、その人より優れてたらなんじゃない?」
「へー。亜月ケイゴは優秀なんですか?」
「桜華学園のトップよ。」
「あー…ヤバ。それより上なんて事なかなかないでしょ。」
「今のうちにコネ作ると良いかもね。」
「…あの男に頭下げんの、何か癪に障る。あっちから頼まれる様になろう。」
「ふふふ。今も充分人気だと思うけど、頑張ってね。」
「ありがとうございます。」
そんな会話の中、ケイゴのポーズが決まる。
「じゃぁケイゴ君、下着を頭から被って。」
「…。」
ケイゴは片膝を立てて座り、その上から大量の下着を掛けられる。そして好みのパンツを手に持って見上げるという、意味不明なポーズだ。
(こんなのが需要あるのか…?)
正直このショットに疑問だが、ミラが下着をずらしたり、面積の狭い下着を着せられるより遥かに良い為感情はOFFにする。
(仕事柄慣れてて良かった。)
「チクショー!何でもえいなりやがって!」
カメラマンの嫉妬が聞こえる。
(こんな情けない姿が絵になってるとか嘘だろ…。)
「はい、いーでーす(投げやり)」
つぎはゆづきの番。
「ゆづき君は下着嗅いで。変態チックに!」
(嫌がらせか!)
そう思ったが自分でやると言った手前、手にした派手な下着を鼻に近づける。
「な、何故だ!全く変態感がない!そんなぁー!!」
カメラマンは絶望しているが、写真は撮っている。
「あーもーいいよ。分かったよ。イケメンは何やってもイケメンだ。俺の負けだよ。ハイハイ。」
(何か1人で盛り上がって1人で負け惜しみ言い出したぞ…。)
そこにミラがトラさんと戻ってくる。
「3人ともお疲れ様でした!KAHO家からの差し入れがあります。こちらにお越しください。」
トラさんに着いて行くと、接待用の部屋に連れて行かれる。そしてそこにはアフタヌーンティーセットが用意されている。勿論カフェciel RoZeの物だ。
「私。紅茶淹れますね。」
「いえ、俺が。」
ケイゴが脊髄反射で動こうとするが、ミラは優しく制す。
「お2人は服を着て下さいね。」
するとトラさんが服をハンガーラックで持ってくる。
「好きなのをどうぞ。」
「えっ!コレってciel RoZeの服!?」
「そうだ。新作だから良かったらどうぞ。」
ケイゴは何食わぬ顔でサッと選んで黒系のパーカーを着る。ゆづきはその小慣れた姿にイラッとし、白地にピンク系のマーブル模様の服にした。
「ねぇ、ミラはどこのお嬢様なの?。」
「桜華学園にも一般生はいますよ?」
「そんなはずないだろ?振る舞いが普通と違う。」
ミラは紅茶を飲みながらゆづきを見てフフフと笑う。
「ありがとうございます。」
ゆづきは怪訝そうだ。
「…アンタもだ。普通のお茶ならまだしも、男が紅茶を入れようとするなんて、習ってなきゃ出来ない。」
「ご存知の通り俺はKAHOの人間だ。女性にお茶汲みをさせる趣味はないのでやろうとしたまで。」
「ふーん…。アンタがKAHOの跡取りなのか?」
「君に言う必要があるか?」
「本当に2人はただの生徒と教師なのか?もっと親密そうに見える。」
「…鋭いですね。私達はただの生徒と先生ではありません。幼馴染なんです。バレちゃいましたね!」
ミラがわざとおちゃらける。
「…本当にそれだけですか?もっと違う親密さを感じたんだけど。」
「鋭い洞察力だな。…ミラは嘘がヘタだね。そんなんじゃすぐバレちゃうよ。」
ケイゴは参ったという顔をしてミラに微笑みかける。そして近づいたかと思うと、軽く唇に触れるキスをする。
「こう言う事だから、お前ちょっかい掛けるなよ。」
ケイゴはチラッと一瞥するがすぐに視線をミラに戻した。




