修羅場の次は!!
ヒーローは、遅れた頃にやってくる
(もう朝?あー学校行きたくないなぁー。そんな事言ったら、みんなに心配かけちゃうかぁ。)
昨夜は一睡も出来なかった。これからを思うと、ずっと涙が止まらなかった。
「おはよう、たみさん!」
「おはよう…ございますお嬢様、目が少し腫れてますが何かありましたか?」
(えっ、いつも腫れないのに。)
「昨日遅くまで小説読んでてね、すごく感動してさぁー。その名残りかな?それより、私今日早く行きたいから、ご飯先に貰っていい?」
「そうですか。どうぞ。」
「たみさんのご飯はいつも美味しいなぁー!」
「ありがとうございます。」
そんな雑談をして、ケイゴに会わない様に学校へ行った。
***
いつも通りの食卓に、ミラの姿がないと気づいたケイゴは、たみに訊ねる。
「お嬢はどちらに?」
「今日は学校で何かしたいみたいで、もう出ましたよ。」
「えっこんなに早く!?」
「やっぱりあんたもそう思う?朝練でもあるのかしらねー。」
「………。」
(もしかして、避けられてる?)
***
まだ学園に入るには早すぎるため、ミラはカフェに来ている。少しでも昨日ボーッとしてしまった授業を取り戻さねばと教科書を出す。そこへ、朝帰りなのか酔っ払いが話しかけてくる。
「おう、ねぇーちゃん。こんな朝っぱらから、一人でカフェに来てんの?この時間は人が少ないから、危ないよ。おじさんが一緒にいてあげようか。」
「だ、大丈夫です。ありがとうございます。」
「ありがとうって?まだ何もやってないよ!いいよ!一緒にいてあげる!」
おじさんはミラの横にピッタリとくっついて座った。
「え、あ、えーえーっと、近いです…。」
「まぁ、まあ、いいじゃねーか、ねーちゃん。」
おじさんは更に近づき、手を太ももの上に置く。
ミラは怖くて声が出せない。その様子に何を勘違いしたのか、太ももを撫でていた手がスカートの中に入ってくる。
「やめて下さい。」
周りには聞こえない様に言いながら、手首を掴むが、力で勝てず、お腹や下着を撫で回される。
そこへ人の気配がした。その主は言い放つ。
「お客様、ここはそういったお店ではありません。お引き取り下さい。」
店員さんは睨みながらおじさんの手を締め上げ立たせる。そして床に放り投げた。その間にミラに膝掛けを掛けてくれる。
おじさんは立ち上がろうとするが、酔いが覚めていないためノロノロしている。他の店員もやってきて、痴漢を連れて行く。
「お客様、お怪我はありませんか?」
「はい、大丈夫です。助けていただき、ありがとうございました。」
「いえ、申し訳ありません。宜しければスタッフルームで少しお休みください。」
助けてくれたスタッフさんに連れられ、スタッフルームに入る。さっきまで飲んでいたモカチーノの新しい物をくれる。そこに店長さんが入って来る。
「私共のお店で、辛い思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。心ばかりですが、おもてなしをさせてください。」
「いえ、あの、みなさんのせいではありませんし、寧ろ助けていただきありがとうございました。」
「こいつ亮平って言うんですが、亮平が女子高生が痴漢にあってるかもなんて言うもんで。」
「亮平さん、本当にありがとうございました!私、華峯ミラと申します。今から学校なので、改めてお礼に伺います。連絡先を伺っても良いですか?」
「お礼なら要りません。でもまたここに来てください。」
また来る事を約束し、ミラは学校へ向かった。




