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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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インターン3

今日は社内コンペのお手伝いで朝から駆り出されている。資料を綴じたり会議室設営、機材準備をしたりとやる事は意外に多く、バタバタしている。


「もうすぐ上役が来るから、ミラちゃんはお茶の準備お願い。」


「はい、分かりました。」


因みに代表取締役社長おじいちゃん・専務取締役・常務取締役はミラの正体を知っているが、部長以下へは明かされていない。総務部長も然りである。


上役達が入って来ると一斉に頭を下げる。ミラもそれに倣う。そして1人給湯室へ向かいお茶の準備をしていると、他部署の女性職員が声を掛けて来る。


「貴方…、新人?」


「先日より総務部でインターンをさせて頂いております、ハナミネと申します。」


ミラはキレイなお辞儀をする。その姿に女性社員は上から下まで舐める様に見る。


「へー。こんなちんちくりんの学生を秘書と兼務の総務にやっていいのかしら。まぁいいわ。上役のお茶なら私がやるから。」


「えっあ、でも…皆さんのお茶を出す様に頼まれまして…。」


「正職の私に口答えするわけ?」


「あ、あの…すみません。」


「なら社長達は私が出すから、部長やその他の人達へはアンタが出しなさい。」


「…はい、分かりました。」


「これ、持ってくから。」


そう言ってミラが入れた上役用のお茶をお盆にのせ持って行ってしまう。


「…。」


ミラはビックリして固まってしまったが、すぐにハッとして他の人達用にお茶を作り始める。


先程の女性社員が上役にお茶を配っている。


「社長どうぞ。」


女性社員が耳に髪を掛けながら色っぽくお茶を出すと、親分は一瞬ビックリする。が、顔には出さずに「あぁ、ありがとう。」と短く返事をする。他の上役達もにこやかに受け取るが、同じ様な反応だ。みんなミラにお茶を淹れてもらえると期待していたのに違う人物で少し残念に思ってしまう。


そんな事は知らず、笑顔でお礼を言われた事で良い印象を与えたと思っている女性社員。軽く上役と挨拶を交わすと、ケイゴが入って来るのが見えた。それに反応し再び給湯室へ向かう女性社員。


「ちょっとバイト!あんたがノロいから、どんどん人が来てるじゃない。アンタに任せてると日が暮れるわ。私が持ってくるから。」


そう言って再び持って行ってしまう。この茶葉は玉露な為、お湯の温度を冷ますのにどうしても少し時間が掛かってしまう。それをそんな風に指摘されると、少し悲しくなってしまうミラ。


「白石部長、お茶をどうぞ。ケイゴ君も久しぶりね。」


「ありがとう。」


「ありがとうございます、佐々木さん。」


「ケイゴ君、今日のコンペ期待してるわ❤︎」


「ありがとうございます。」


「ねぇ、どんな企画なの?」


「えーっと…それはプレゼンを聞いてからのお楽しみと言う事で。」


「えー気になるじゃない!」


ニコニコとケイゴと話をする佐々木と呼ばれた女性社員は、お茶配りそっちのけであるる。残りのお茶が出来たミラはワゴンでお茶を配り出す。そこへ大和が声を掛ける。


「ミラちゃん、沢山のお茶ありがとね。」


「はい。」


「それより、もしかしてあの人(佐々木)にお茶取られた?」


ミラは少し顔を傾けニッコリする。それを見て大和はため息を吐く。そしてミラにコソッと話す。


「あの人は経理のお局、佐々木玲子さん。男に媚びる女よ。美人で仕事もできるから、マドンナ的存在なのよ。でも裏では口が悪くてね、それでやめてく子もいるって聞くわ。」


「…そうなんですね。」


「虐められたら言うのよ!若い子には特に突っかかるの。」


「あはは。ありがとうございます。」


ミラが続きのお茶を配っていると、


「ありが!あー…どうも。はーどうせだったらオレも佐々木さんに配って貰いたかった…。」


ため息を吐きながらそんなあからさまな事を言われて、ミラは苦笑いするしかない。


「はぁ、すみません。」


今までも、失礼な事を言われ慣れているミラは全く気にしていないが、ケイゴはその言葉をスルー出来ず、コンペでコテンパンにしてやろうと、クールな顔の下人知れず闘士を燃やしていた。


「それでは企画会議を始めます。お願いします。」


「私達が立ち上げる新規事業は───」


それぞれの事業案が発表される。どの班もよく企画が練られており、甲乙つけ難い感じだった。


(さすが、今まで沢山企画してきた人達だわ。我が社の代表として、どこへ出しても恥ずかしくないわね。)


「では今から検討に入らせて頂きます。」


上役達が一旦席を外す。トラさんが隅に立っていた大和とミラの前に来る。


「今回のコンセプトは、学生向けのものです。折角ですのでハナミネさんに少し意見を伺いたいので、お越しいただけますか?」


「はい。」


「では少しハナミネさんをお借りします。」


トラさんはミラを伴い部屋を出ていく。部屋を出てから、トラが小声で話しかけて来る。


「お嬢大丈夫?慣れないヒールでずっと立ってるけど。」


「うん、平気よ。心配してくれてありがとう。」


「取り敢えず座って下さい。」


そう言って上役達のいる部屋の扉を開ける。


「おお!ミラちゃん久しぶりだね。」


「ご無沙汰しております。」


「ほら、ここに座りなさい。」

「いや、ここにどうぞ。」

「ここも空いてるよ。」


常務、専務、取締役がそれぞれ椅子を薦めてくれるが、おじいちゃんから無言の圧を感じる。ミラは苦笑いしおじいちゃんの隣に腰を下ろした。常務たちは残念そうだが仕方ない。


「ミラはどの企画が良いと感じたかな?」


「うーん。私はケイゴの味方だから、やっぱり1番良く感じちゃうんだけど…。」


「まぁ、そりゃそうだろうな。アイツはミラの好みをそのままいつも企画して来るから。ciel RoZeの2号店としてアニバーサリー向けのお店を作るのは私も賛成だ。普段は若者向けにケーキバイキングなんてアイディアも良い。ただ、他の2つの企画も捨て難いからな。KAHOの屋外お祭り会場の有効利用は、やっぱり魅力的だ。ただ、あの場に建物を立てるのはなぁ…。」


「あの場所はそのまま残しておきたいよね。やっぱりお祭りとか七夕イベントとか花火大会は外じゃなきゃ雰囲気出ないし。」


「もう一つの下着部門参入は?」


「可愛いランジェリーとかベビードールがお手頃価格で買えるのは良いよね。あと、胸の大きい方の可愛いランジェリーは少ないって言うし。医療用って言うか、病気で胸をなくされた方用の、そういうセミオーダー的なのもあるといいよね。」


「成程ね。そうだ、ケイゴの案はさっさとケイゴに任せるとして、ミラは下着部門の手伝いをするのはどうだ?」


「おじいちゃん、何言うのよ…。」


「それはいい!若い子向けの企画なんだから、高校生の瑞々しい感覚を反映したら、良い消費者を得られるんじゃないか?」


常務達も賛成する。


「勿論、まだ顔は伏せてもらうからアドバイザーとして、意見を言う感じにはなるが。」


ミラは「それなら」と了承する。


「よし、じゃぁ今回は二つの企画を採用しよう!」


「お、おじいちゃん、そんな、二つもなんて簡単に言って大丈夫なの?」


「あぁ。良い企画はすぐにやらないとな。祭り場の利用は良い案ではあるが…再考してもらおう。」




***



「と言う事で、今回はこの2案で行くこととなった。それぞれより企画を深めて計画してくれ。」


「ケイゴ君、さすがね!若くて優秀なんて、本当に凄いわ!!!」


「ありがとうございます。佐々木さん。では企画会議がありますので。」


ケイゴは他のメンバーと共に引き上げて行った。そんな後ろ姿を、片付けをしながら見送るミラに、ある人物が声を掛けてくる。


「あの、ハナミネ ミラさんですか?」


「はい。そうです。」


「あの、私さっきランジェリーのプレゼンしてた宮代です。貴方にランジェリーモデルをお願いしたいの!」


「え!!!」


「コンセプトが″初々しく瑞々しい私″なんです!高校生の貴方は正に未完成な初々しいさがピッタリ!!プロのモデルさんには出せないピュアな感じ!どうかお願いします!」


宮代は盛大に頭を下げる。その真剣な姿にミラは気圧されて思わず返事をしてしまう。


「は、はい…。」


「本当に!?ありがとう!」


「あーははぁ(苦笑)」




***その日の夜




「はぁ!?下着のモデル!?何でそんなのOKしちゃうんですか!貴方はモデルじゃ無いんですよ!」


「分かってるよ。でもKAHOの新規事業だし…顔も出ないって言ってたし…。宮代さんがすっごく真剣に頭下げてきて、断れなかったんだもん!しょうがないでしょ!」


「信じられません。俺は認めませんよ!断って下さい!」


「…。計画が進むに連れて、きっと私じゃ力不足だって事に宮代さんも気づくよきっと。」


「どうですかねー。」


ケイゴは冷たい目でミラを一瞥すると部屋へ戻ってしまう。


「…怒らせちゃった。」


「大丈夫だ。ただのヤキモチだよ。お年頃だからね。」


トラさんがミラの肩をポンポン叩きながら慰めてくれる。

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