期末テスト
上手く上がってませんでした(^◇^;)
「自習室も図書館もどこもいっぱいだね。」
「うーん。あっ!あそこ空いてるけどひと席かぁ。」
「奥ならまだ空いてるかもね。」
もう直ぐテストなので恒例の自習室争奪戦が繰り広げられてる。ミラ達は大人しく奥へ行き席を探す。
「あ!良かった、あったね!」
早速自習を始める。
「ナオ、分かんないとこあったら聞くから教えてよ!」
「ミラも私に教えてね!」
ミラは今日もケイゴの対策プリントを行おうと家から持ってきた。
「そんなプリント配られた?」
「あぁ、ケイゴが対策プリント作ってくれて。」
「え!!!」
ナオが驚きのあまり大声を出す。周りが凄い勢いでナオに殺気を含んだ視線を飛ばす。ナオは「しまった!」という顔をして小さくなる。
「驚かせちゃってごめん。」
「いい。それより、私もそのプリント欲しい!」
「え?」
「だってケイゴ先生、数学担当じゃん!」
「言っとくけど、テスト作成にはノータッチだからね。だからこのプリントやっても出ないかもだよ?」
「別に山張りして欲しい訳じゃないもん。あの優秀なケイゴ先生が作った資料なら、勉強もしやすそうだし!」
「…じゃぁ中見て良さそうならコピーする?」
「中を確認する時間すら勿体無い!すぐコピーする!」
(目がギラギラすぎる…(^◇^;))
ナオがコピーして戻ってくる。
「こんなお宝を今まで隠してたなんて、友情を疑うわ!これさえあれば、中間ももっといい点採れたのに!」
「いや、今回が特別。私だいぶ学校休んだから。」
「あー…ごめん。」
「いいよ!勉強しよ?」
それから2人で暫く勉強をしていると、ナオに帰還命令が下る。
「お兄様からだ!早く帰れって。」
「もうだいぶ他の人も帰ってるからね。心配してるんだよ!」
「うん。ミラは?」
「私はもう少しで切りがつくから、そこまでやってく。」
「そっか。じゃぁね!」
「うん!また明日ね^_^」
そうして暫く勉強を続けていると、フと声をかけられる。
「あ、あのー。」
ミラは気づかずノートを書いている。
「あの、すみません。」
無視しているのかと思うくらい無反応なミラに肩を叩く。
「すみません!!」
「キャ!」
ミラは驚いて悲鳴をあげてしまう。そして物凄く怯えた顔で振り向く。
「驚かせてすみません。閉館時間だそうです…。」
「…あ、ありがとうございます。」
(きゅ、急に触られたからビックリしちゃった…。)
「そのプリント、良く纏ってますね。」
「はい。頂き物ですが。」
「もしかして、山神から貰ったやつですか?」
「や、山神?」
「はい、山張りの神様!略して山神です!オレ兄がいるんですが、その友達が物凄く秀才で去年、山を張ってもらったんです!そしたら全て網羅されていて、メチャクチャ皆んな助かったんですよ!中間で赤点組みだったオレ達メンバーが高得点続出で、カンニングを疑われたレベルです!今年は兄が卒業したので口利きして貰えなかったんで残念に思ってて…。」
(何か何処かで聞いた様な話だな。たぶんケイゴのことだよね。)
「山神かは分かりませんが、確かにこの作成者は物凄く優秀な方です。ですが今は忙しくてお手伝い出来ないはずです。自分ばかり貰っておいて感じ悪いですが。」
その先輩は少しビックリした顔をした後気まずそうに笑う。
「…確かにあわゆくばと言う気持ちが少しあったのがバレてしまいましたね(^◇^;)でもそうでは無く、お礼が言いたくて。」
「君達。」
急に死角から声をかけられる。驚いて2人揃ってそちらへ顔を向けると、怪訝そうな表情のケイゴが立っている。
「もう完全下校時間が迫っていますよ。」
「すみません。すぐ帰ります。」
先輩が謝る。
「先輩、多分このレジュメを作った方は貴方の言う山神だと思います。今年分を作っていただく事は叶いませんが、お礼のお気持ちは私から伝えてさせて頂きます。何をお伝えすれば良いですか?」
ケイゴはポーカーフェイスだが、ミラには分かる。「何の話?」といった顔だ。だから一瞬視線を送り交合わせる。ミラは徐に歩いてケイゴの斜め後ろで足を留める。
「では、プリントのお陰で皆んな赤点を免れて楽しい夏休みが過ごせました。ありがとうございますとお伝え下さい。」
「分かりました。すぐに伝えさせて頂きます。それでは失礼します。」
ミラは一礼してその場を去る。
「オレも失礼します。さようなら!」
2人とも出て行った為ケイゴもしょう
後ろから先輩が慌てて追いかけてくる。
「ちょっと待って!」
ミラは足を止めて振り返る。
「どうかしましたか?」
「名前、聞いてもいい?」
「…山神様の名前は明かせません。」
「そうじゃ無くて、君の名前。一年生だよね?学年色からして。」
「…。」
「大変失礼致しました。私は畠山飛翔と申します。お手を触れても宜しいでしょうか。」
「はい。」
飛翔は手の甲に恭しくキスをする。紳士が淑女にする挨拶だ。この挨拶をされたら名乗らない訳にはいかない。
「ハナミネ ミラでございます。以後お見知り置きくだされば幸いでございます。」
ミラも淑女の挨拶で返す。
「ミラ…。もしかして、君がKAHOのお嬢様?」
「そうです。」
「成程。だから亜月先生が声を掛けに来たのか。亜月先生がKAHO家の方なのは有名な話だ。」
「テストの不正を疑っているのなら、冤罪です。亜月先生はテスト作成にはノータッチですので。」
「そんな事疑ってないよ!ごめんね!ただ…。」
「何でしょう?」
「…KAHO家と畠山は敵対する勢力だから、まさか兄と亜月先生に交流があったなんて思わなくて。」
「山神様が亜月先生だとは言っていません。」
「…そうだね。でも、少なくてもKAHO家縁の方とこちらの関係者が繋がっている事は間違いないはずだから、その関係にビックリしてるだけ。」
「校内では派閥は関係無いはずです。少なくても表向きは。先生方でも派閥はあるはずですが、関係無く接している様に感じますし。」
「そうだね。ちょっと他派閥に敏感になっていたみたいだ。また話してくれる?」
「ご用事があれば。」
「良かった!じゃぁね。」
先輩は去って行った。
「ミラ、もうその出入り口施錠されてるぞ…。」
後ろからケイゴに声を掛けられる。
「ゔ…。まだ靴あるのに…。」
「仕方ないだろ。もう完全下校時間が10分も過ぎてるからな。教員用出から出るぞ。」
「うん。」
***ケイゴの車中
スマホを確認するミラ。家やケイゴから何回も着信やメッセージが届いているのに気づく。
「ケイゴ、連絡くれた?」
ケイゴは運転しながら盛大なため息をつく。
「遅くなるならちゃんと連絡を入れろ。心配したタミさんやトラさん、親分からも俺に連絡があったよ。」
「そっか。ごめん。」
「図書館にいる事は分かってたから俺は心配してなかったけど、家の人達は違う。いくら俺が大丈夫と言っても心配はするから。」
「うん。今からでも電話する。」
「あぁ、そうしてくれ。」
おじいちゃんに電話すると、やっぱりとても心配されていた。




