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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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ケイゴ視点:ついに言われたら

さぁ、おたのしみの修羅場です!

今日から来た教育実習生のせいで、とても忙しい。何故なら、結城が指導係になってしまったからだ。結城の仕事の一部がケイゴに回ってきた。


(副担だから仕方ないか。それはいいけど…よりによって真綾が来るなんて…。しかもうちのクラスに。)


真綾とケイゴは、高校時代付き合っていた。真綾から告白してきたが、当時ミラとの恋愛が無いと知り自暴自棄になっていたケイゴは、たまたま告白してきた年上の優しさに甘えてしまった。


真綾はスタイルが良く胸も大きい。顔もキレイで有名だった。学園の有名人と付き合えるのも悪く無いと思った。そして、初めての相手としてもとても良かった。彼女は良く知っていたから。


でももう昔の話。今はミラと両思いのケイゴは、真綾とのことは正直忘れたい思い出なのだ。それより、ミラが真綾と接して嫌な思いをしないか、それだけが心配だった。


(早く話を聞かないと。そして真綾のことを話さなきゃいけない。)


やっとの思いで仕事を終えて帰宅した。階段を登る足が重い。


ミラの部屋をノックするが、なかなか返事がない。


(どうしたんだろう。早く会いたい。抱きしめたい。)


「お嬢?入りますよ?」


そう言いながら、俺は入った。何となく空気が思い気がした。


「?どうされました?扉の前で立ち尽くして。」


そう聞くと、ミラは一瞬表情を変えた。


「立ち尽くしてた訳じゃ無くて、開けようとしていたのよ。ケイゴお帰りなさい。」


「ただいま。」


いつも通り抱きしめた瞬間、ビクッとなり固まっている。そんなミラを見て確信した。やっぱり何かあったと。


(何だ?真綾に何か言われたのか?それとも他の男絡み?)


「いつもと違いますねぇ、何かありましたか?」


「別に?ちょっと太ったからギュッとされるのやだなと思っただけ。」


(太った?太り辛い体質なのに?誰かに言われてショックを受けたってこと?)


「そうですか?全然変わりませんけど。というか、もっと食べて下さい。細すぎます。俺はもっと太い方が好みですよ。とくに胸周りは。」


少しおちゃらけて言ってみる。しかし、返答におちゃらけの色はなかった。


「あはは。セクハラですよ、先生。」


(太った訳じゃなさそうだな。何だ?分からん。誰かに何かを言われたのは確かだろうな。)


「何ミラ?今日は先生と生徒ごっこなわけ?」


ケイゴは思いっきり誘う様に甘い笑顔でキスをしようとしたが、ミラは体を少し引き、顔もやや背ける。


(俺のペースには巻き込まれないか。つまりそんなメンタルじゃ無いと。)


「あー今日はもう眠たいんだ!だから、お休み!」


(わざとらしすぎだろ…。素直に聞くしかなさそうだな。)


「どうした?学校で何かあったの?俺には言えないこと?」


ミラが俺の胸を押して離れようとする。俺は左腕で強くミラを引きつけ、右手で顎をすくい目を合わせた。


(やっと瞳があった。)


しばらくの沈黙の後、静かに、しかし強い瞳でミラは言った。


「一人にさせて。」


ミラの瞳には拒絶の意思が宿っていた。これ以上話をする勇気が俺にはない。


こんな瞳は初めてだった。


(もしかしてミラは、俺を嫌いになったのかもしれない。)

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