市井体験学習5
ミラは観念した様に息を吐き、ラッシュガードのファスナーに手を掛ける。
(えっ?)
ケイゴは目を見開く。ミラはファスナーを下ろす。艶めかしい首筋、艶やかな鎖骨、小ぶりだが魅力的な胸元。子供じゃない、でも大人でもない。そんな複雑な時季の甘やかな香りが湧き立つ。
少しずつ露わになる瞬間、スローモーションにみえた。パレオに手を掛けるミラ。結びを解き外されるパレオから、普段は隠れている肉感のある大腿が見える。
ケイゴは思わず凝視してしまった所から慌てて顔を背け、手で口を覆う。心なしか紅くなっている様だ。
「お嬢、早く着て下さい!風邪をひきますよ。」
(まさか色仕掛けで来るとは!)
「でもお願いするのに他の人から受け取ったもの着てたら良くないから…。」
(え…色仕掛けのつもりじゃないの?)
ミラがケイゴの胸に飛び込みケイゴを見上げると、自然と上目遣いになる。
「ケイゴ!黙っててごめんなさい。」
「………。」
「でもやっぱり半分は自分の不注意のせいだし。でも心配掛けてごめんなさい。 帰ったらケイゴの為に何でもするからお仕置きはそれでチャラにして?」
ミラは尚も体を密着させケイゴを見上げている。
(こんな時ばっかりミラから触れてくるなぁ。しかもほぼ裸で。まさか俺の理性を試してるのか!?)
ケイゴはミラの腰をグッと引き寄せ、今にも唇が触れそうな距離で話す。
「こんな格好で迫って来て、俺の理性を試してるんですか?それともミラが俺に何かされたいのか?」
ケイゴはミラのお尻を撫でる。
「キャ!」
慌てて離れようとするミラを、更に強い力で抱き寄せる。
「分かってる?普段俺がどれだけ我慢してると思ってんの?それなのに他の男に触らせるなんて。しかも2人も。」
「ふ、2人?」
「痴漢と瑛太。」
「瑛太さんはおんぶしてくれただけだよ!」
「でも肌が触れたね?貴方に触れていいのは俺だけの筈なんだけど。それともミラは色んな男に触られる方が嬉しいのかなぁ。破廉恥だね。」
ケイゴの手は背中からお尻、太ももまで撫でてている。
「ケイゴ、だけ。ケイゴにだから触られるの嬉しいの。でも…。」
「でも?」
ミラは真っ赤になりながらケイゴを見つめ瞳が揺れる。
「…えっちな、気分になっちゃう…。」
「ゔ。」
その言葉と反応で、ケイゴは完全にノックアウトされる。さっきから自分の体が反応し、無意識に下半身を押し付けているのを、たった今自覚する。
(今すぐミラを俺のものにしてしまいたい!)
そんな衝動に駆られ、ミラを解放し少し離れる。
「悪い、イタズラが過ぎた。」
ケイゴは顔を隠している。
「服を着てくれ。」
ミラは懇願する様なその言葉に、落ちていたラッシュガードとパレオを拾い急いで着る。
「ごめん!見苦しい物をお見せました!もう大丈夫です!!」
「見苦しくなんかない。貴方はいつもキレイで。俺が汚してしまうのが怖い。…でも貴方を俺のものにしたい。」
「…うん、して?」
「ゔ…もう少し。もう少し待って。俺が大学を卒業して、自分の事業がもう少し成長したら…。」
「…うん。」
こういう時のケイゴは、決してミラのせいにしない。本当ならミラが「未成年だから」という気持ちがある筈だ。しかし、絶対に自分の未熟故の結果だと言ってくれるケイゴは、本当に良い男だと思う。




