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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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市井体験学習4

ちょっと短めです。

休憩時間の間に海岸のゴミ拾いと生物の調査をしていると、後ろから声を掛けられる。


「お嬢。」


振り返るとケイゴだ。


「帰ったんじゃなかったの?」


「少し時間を貰いました。どうですか?実習は。」


「皆んな凄く親切で優しい方ばかりだし、忙しいけどとっても充実してるよ♪」


「そうですか。それなら良かったです。」


「お怪我の方は…。たくさん出血したと聞きました。」


「ちゃんと救護室で見てもらったし大丈夫。ちょっと縦に長いキズだったから血がダラダラしてたけど、深い傷じゃなかったみたい。」


「…そうですか。」


「あっそうだ。ラッシュガードとパレオ、折角くれたのに汚しちゃったの。ごめんね。今洗ってるから、明日には着れると思う。」


「…そうですか。」


「さっきからどうしたの?元気ないじゃん?」


「…反対すべきでした。」


「?反対って?」


「海の家での実習です。」


「行き先は選べないし、私は楽しんでるよ!」


「でもお怪我をされました。」


「コレはたまたま滑っただけよ。大した事無いし。寧ろ私は賛成してくれたみんなに感謝してるくらいよ。」


「ですがーーー」


「うわ!さっきのクサ女だ。お兄さん、よくこんな臭いやつとおれますね。やめた方が良いっすよ?」


さっきミラを突き飛ばした男がノコノコやって来てケイゴに声を掛ける。ケイゴの先程の憂いを帯びた顔はどこへやら、その顔は絶対零度だ。


「ヒィ!」


男は馬みたいな鳴き声を出しながらケイゴをもう一度見る。するとケイゴは物っ凄く笑顔だ。菩薩の様な。


「もう一回言って下さい。」


その顔に安心したのか、その男は調子良く話し始める。


「だから、この女は臭いからやめた方が良いっすよ!お兄さんイケメンなんだから、もっと良い女を紹介しましょうか?てか、クサ女のクセにイケメン狙って、顔見て出直して来いってマジで。それに何その足。まさか、さっきので?ダッセー。」


「さっきの?」


「そうなんすよー。」


男はケイゴの醸し出す空気を全く読まないで続ける。ミラとしては怒った顔よりも怖い。


「言わないで下さい!!」


ミラの願いも虚しく、男は自供してしまう。


「この女、肩を抱いたらあまりにも臭すぎて、思わず押したんすよ。そしたら尻からコケて。マジでウケるー!」


ケイゴのは黙ってその男に近づく。


「ケイゴ、私の不注意だから!」


「ミラ!こんな男庇うな!おい、お前殺されたいのか。」


ドスの効いた声で男の手を捻りあげる。


「いててて!!」


「傷害罪の現行犯で警察へ突き出す。」


「は?何でだよ!」


「お前、お嬢を押して怪我をさせたんだろ?明らかな傷害を自供したよな。」


「そんな!ちょっと押しただけだろ!怪我は勝手にしたんだよ!事故だ、事故!」


「なら問題ないだろ、警察に行っても。」


尚もケイゴはギリギリと締め上げ続ける。左手でどこかへ電話すると、少しして海の家の瑛太が来る。


「どうかされましたか?」


「コイツがミラの怪我の原因だ。警察に突き出せ。」


瑛太は一瞬「ヤバッ」という顔をする。


「はい。」


「状況は、」


瑛太は諦めたように言う。


「知ってます。見ていましたので。報告せず申し訳ありません。」


「瑛太さんがおぶって救護室まで連れてってくれたの!それに本当に事故だから。」


「なら少なくても過失傷害だ。いいから早く連れてけ!」


「はい。」


男が逃げようと暴れる。瑛太は手刀で気絶させる。ミラはドラマでも見ているかの様な気分になる。


「「…。」」


辺りが静まり返る。ケイゴの前に1人残されたミラは気が遠くなる。


「海の家に戻らなきゃ!」


ミラは忙しいフリをするが、それをケイゴは許すはずもなく腕を掴まれる。


「お嬢、分かってますよね?」


「…お説教ですか?」


「そうです。嫌ですか?」


「そうですね。お説教は好きではありません。」


ケイゴは逡巡する。


「でしたら、俺のご機嫌を取って下さい。」


「…え?」


「俺がお説教をする気が無くなる様に、ご機嫌を取って下さい。」


「えー!?…例えば?」


「女の武器を使ったらいいんじゃないですか?」


(女の武器…?ケイゴにそんなのが通用する訳ないじゃん。今まで泣いてる女の子を放置する話、何人かから聞いてるんだゾ!)


ケイゴは物凄く笑顔だ。


(何を期待しているんだ?)


ミラは観念した様に息を吐き、ラッシュガードのファスナーに手を掛ける。


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