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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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市井体験学習1

続きます。

「今日からよろしくお願いします。」


ミラはこれからお世話になる人達に元気に挨拶する。


「こちらこそ、よろしくな!」


ここは海の家。今日から2週間ここでお世話になる。ミラ達高等部1年生は、2週間だけ『市井体験学習』というカリキュラムがある。桜華学園は良家の者が多い為、世界も視野も狭いことがある。そうなると色々な弊害が出てくる為この体験学習を取り入れている。


行き先は人それぞれで、校内のお手伝いや他生徒の屋敷、病院やカフェなど多種多様だ。クジによって場所が決定すると、今度は自分で電話を掛けて約束を取り付け(もちろん予め学校側からお願いされているが、自分でも電話を掛ける)、必要な知識や行き方を調べて通勤経路を予め確認する。そして授業の一環としてお世話になる所に有益になる様な『成果』を上げるとこが決められている。


ミラは偶々海の家が実習現場となり、お店のお手伝いと海の保全活動がメインだ。因みに成果は新メニューの提案と清掃活動を目標に掲げている。ついでに周囲の環境も調べる予定である。


因みにこの市井体験では、庶民の生活に適応出来ずにトラブルになる人がしばしば出る。しかしそれは自分で解決しなければならないルールがあり、必要なら教員が出向き一緒に解決する。それはそれで勉強になる。


しかしミラは元々庶民感覚の中で育っている為、そういったトラブルは無さそうだ。


「ミラちゃんは主に給仕とお会計をお願いする事になると思うけど、時々キッチンにも入ってもらうからよろしくね!」


「はい!宜しくお願いします!」


「それから先に送ってくれた新メニューだけど、アイディアもコストも良いから、採用させてもらったよ!プレゼン資料も論理的で良く纏まってたし、凄くわかりやすかった!さすが桜華だけあるなって思ったよ。」


「わー!オーナーに褒めて頂いてとても嬉しいです!(まぁ、しっかり纏まってるのはケイゴのおかげだけど。)」



***回想(1ヶ月前)



「お嬢、こんなプレゼンの資料出して来て商売を舐めてるんですか?」


「え!分からないなりに調べて書いてみたんだけど…。」


「全くダメです!新メニューの考案はとても良いと思いますが、もっと論理的にコストや人件費、作業効率、客単価などを考慮して書いてください。例えばーーー」



***



ミラは思い出して苦笑いしてしまうが、忌憚無いケイゴのリテイクのお陰で、何とか人様にプレゼン出来るだけの資料が出来上がった為とても感謝している。


「そろそろ仕込みを始めるよ!ミラちゃん、こっちのキャベツ、短冊に切ってくれる?」


「はい!こんな感じでいいですか?」


「うん!取り敢えずコレを10玉ね。」


「はい!」


「次はジャガイモ30コ剥いて全部細切りね。」


「はい!」


ここの海の家は男所帯で経営されており、オーナーの直己さん、社員の瑛太・万里・理玖、それから短期バイト数名がローテーションで来るのだが全て男性だ。その中にミラだけ紅一点となっている為、料理補助がミラに回ってくるのは必然だった。なんでもここの男性はオーナーと理玖以外、全く料理が出来ないそうで、それならとミラが名乗りをあげたのだ。


「ミラちゃんばっかり悪いね。でも今年はミラちゃんみたいな子が来てくれて良かったよ。」


「?去年はどんな方が来たんですか?」


「…。思い出したくも無いくらいお嬢様でね…。」


オーナーと従業員は揃って遠い目をする。


ミラはその表情を見て不思議に思ったが、それ以上深くは聞かなかった。


「てか、オーナーばっかりミラと話してズルい!オーナーはもうおじさんなんだから、若い俺らに会話権を譲ってよ!」


「うるさい!お前らみたいなハイエナの巣窟にミラちゃんを置いたら一瞬で食べられちゃうだろ!」


「俺らは紳士だから心配いらないっすよ!」


「フフフ!皆さんとっても仲がよろしいんですね!羨ましいです^_^」


「ミラちゃんも今日から仲間なんだから、これからもっと仲良くなろうね!」


「はい!お願いします!!」


そんな感じで和気藹々とお店の皆さんとのんびりやっていたのだが、昼時になる少し前から混み出してくる。


「焼きそば2つと唐揚げとたこ焼きと、しゃけおにぎり2個ください。」


「はい、かしこまりました!」


「生ビール5、唐揚げ2、カレーも5。」


「はいかしこまりました。」


こんな様子でどんどんお客さんが入り、注文を捌いていく。時々他の店員さんとぶつかりそうになりながら、オーダーを聞いたり給仕やお会計をしたりする。


「あれ?今年は女の子がいるね!」


「あぁ、2週間だけ手伝いに来てくれるミラちゃんだ。」


「へー。ミラちゃんがいるなら毎日通っちゃおうかな。」


「ありがたいけど、ミラちゃんに手を出したら困るから変態はお断りだな。」


「なら俺は変態じゃないからから大丈夫だな。」


「な、わけねーだろ!ガハハ!」


ミラがふと見ると表のゴミ箱がいっぱいになっている。それを縛って収集場に持っていく。


「ちょっとゴミを捨てて来ます。」


「重たいからヤローに任せな!」


周りを見渡すがそれぞれ忙しなく動いている為、重たいという理由で変わってもらうのも忍びない。


「いえ、大丈夫です!わたしムキムキなので!」


「…えっ!?」


ミラはゴミを抱き抱える。そうじゃ無いと運べないからだ。前が見にくいが出来るだけ人に当たらない場所を探しながら歩く。


(重い…ケド、抱えたらなんとか運べそう。)


何とかゴミを収集場に捨てる。


「フー。重かったぁ…。戻ろうっと。」




***その頃お店では…




「あれ?ミラは?」


社員リーダーの瑛太がミラの不在に気付く。


「へ?ゴミ捨ててこいって声かけられなかった?」


「ゴミ?」


すると毎年常連のお客さんが教えてくれる。


「さっき女の子が重そうに抱えて持ってったよ。オメーら忙しいのは分かるけど、あんな細っこい女の子にゴミ捨てさせるなんて、男の風上にも置けねーなぁ(笑)」


「「「「……。」」」」


オーナーと社員たちは顔を見合わせる。嫌な汗が流れる。


「俺見て来ます。」

ありがとうございます♪またいらして下さい^_^


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