夜会6
お待たせしました。
夜会最終回です!
「王様のお言いつけ通り、ミラ嬢と接触しました。」
ジークは王の元へ戻り、ミラと接触した報告をしている。王は豪華なソファーに足を組み右手をこめかみ辺りに当て頬杖をついている。
「ほう。ミラはお前になびきそうか?」
「はい、私がキスをしたら照れ喜んでいる様子でした。」
「そうか。ケイゴと恋仲と言われていたが実際は脆い物だな。」
「ミラ嬢は男にチヤホヤされるのが好きな様です。」
「そうか。なら簡単そうだな。」
「はい、今後もお任せください。」
******
先に部屋に戻ったミラは、そこに来た美琴や紫苑に「ケイゴの大切な人を守る為に今から海外にオオカミ狩りに行かなきゃならなくなった」と突飛な発言をし周囲を驚かせた。美琴か慌てて状況を聞き、『オオカミ=ジーク』だと察し、「取り敢えずケイゴを待って詳しく聞こう」とミラを納得させ、ケイゴを待った。
コンコンコン
「どうぞ。」
「お嬢、お待たせしました。」
「ケイゴ!オオカミ狩りの話をみんなにしてあげて!」
「…その話はこちらで処理しますので、お嬢の手は煩わせません。」
「でもーーー」
「それよりお嬢にお話があります。」
ケイゴはミラの言葉を敢えて遮る。そして周りに視線をやると空気を察して美琴や紫苑、それから使用人までサーっと部屋から出て行ってしまった。
「話って何?」
ミラは純真無垢な顔でケイゴを見上げる。たちあがっていたミラの手を引き、ソファーに座らせる。
「貴方はあの男と何をしていたんですか?」
顔はポーカーフェイスだが声に怒気が含まれているのがミラには分かる。
「あの男って、ジーク様のこと?」
「あぁ。」
「ジーク様ね、ケーキについて知りたがっていたから、コレは営業しなきゃと思ってケーキや紅茶について話したんだよ!海外の顧客ゲット!」
ミラは良いことしたとばかりのキラキラ笑顔だ。それを見てケイゴは怪訝な表情だ。
「キスされてましたよね…。」
ケイゴはいつもより更に低い声で問う。
「???誰に?」
ミラは本当に心当たりが無いといったキョトン顔だ。
「あの男に口にされてたよな。」
「…あっ!アレはクリームを取ってくれたんだよ。」
ミラは本気でそれを信じているらしく、キスには含まれていない様だ。だがケイゴの表情は厳しくなる。
「そうか、分かった。ミラ、まだ口にクリームが付いてるぞ。」
「え!もーやだぁ!」
ミラは口周りを指で触る。
「そこじゃ無い、ココだ。」
そう真剣な顔で良い、口付けをする。
「ん!ん…んん…。」
口付けはどんどん深まる。
「う、ふ…ん、、、」
長い口付け。ケイゴはミラの口内を激しく責め立てる。怒っているのだ。簡単にキスを許したこの唇を。そして嫉妬をぶつけているのだ。
その優しさのない口付けにミラは抵抗を無くしている。いつもの包み込む様な甘美な口付けはすぐに身体が溶けてしまうが、この欲望のままの口付けには、ケイゴに支配され全てをケイゴに捧げている気分になる。
(もっと強く私を求めて。もっと深くまで。)
真っ白な頭でそれだけが駆け巡る。
(私はケイゴを深く求めてる…。)
そう自覚せずにはいられなかった。
不意に唇が離される。
「そんな顔をしてはいけない。無理矢理されてるんだぞ。もっと激しく抵抗しなきゃ。」
ミラはまだ余韻に浸っているのか、ぼんやりしている。
「クリームついてたんでしょ?」
「…口実に決まってるだろ?」
「…それはケイゴが?それともジーク?」
「…どっちもだ。」
「…ケイゴは口実なんて要らないじゃん。」
反応がジークの時とは明らかに違う。もちろんキスの内容も違うが。それでも他の男には見せない顔がここにあった。
「お仕置きしようと思ってたのに、そんな顔されたら許してしまうだろ?」
「…お仕置き、、、して?」
その虚な眼がやけに淫靡で、ケイゴは欲望の全てをミラに押し付けたくなる衝動にかられる。ミラをソファーの上に押し倒し、首やデコルテに激しいキスを繰り返し落とす。ミラもケイゴの首に腕を回し、このままケイゴのものになっても良い気分になっていた。
ドレスの胸元を少し下げられて、左胸の上の方にピリっとした痛みが走る。身体を離したケイゴがそこに優しく触れる。
「ごめん。痛かった?」
どうやら顔を顰めていたらしい。
「ううん。平気。…あの、、、もっと」
真っ赤な顔して言いかけたミラの言葉は、ケイゴの口付けによって遮られてしまう。
「う、あ、ん、、ん…」
今度は包み込む様な口付けだった。
「ミラ、卑怯な俺を許して。勇気を出して言ってくれたのはすごく嬉しい。…でも、周りにちゃんと認められてからじゃ無いと君を抱けない。俺がちゃんと自立して、KAHOの力が無くても一人で立てる様になるまでは。」
「私が望んでも?」
「…君はまだ心の準備が出来てないだろ?」
「そんなこと!…ちょっと怖いけど、ケイゴなら優しく教えてくれるでしょ?」
ケイゴはミラの髪を撫でながら答える。
「もちろん優しくするけど。でもちゃんと責任が取れる状態になってからしたいんだ。まだ俺は大学生だし、ミラも高校生。もし今ミラが妊娠したとしたら、君から大事な時期を奪ってしまう。それは本意じゃ無いんだ。」
「…避妊…したら良いじゃん。」
まさかミラからそんな言葉が出るとは思わず、目をまるくする。そして苦笑いしながら答える。
「避妊しても100%じゃ無いしね。でも貴方がそこまで俺としたいと思ってくれてるのは純粋に嬉しいし、勇気を出してくれたことにも感謝してる。俺の面倒なポリシーのせいで貴方を傷つけてごめんね。でもコレが俺の精一
杯の愛し方であり大切にする方法だから。俺が全面的に悪い。」
(分かってる。ケイゴは正しい。最大限に私の人生を考えてくれてる。イジワルな事言ってても、いつも私の為な事も。彼の色々な助言が、これまで何回も私の身を守ってくれた。彼が居ないところでさえも。私を守ってくれるケイゴの言う事だから、正しい。多分私の心はまだ追いついてないのも事実なんだろう。だから傷つくのはおかしい。悲しいと思うのはおかしい。)
ケイゴが一瞬目を開き、「ごめん」と呟きながら私の目尻に唇を落とす。…無意識に涙が溢れていたらしい。
ありがとうございます♪またいらして下さい^_^
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