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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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夜会3

綺麗なメロディが流れ出す。大勢の人々がダンスを始める。今日は公式では無いので、ファーストダンスから自由に誰とでも踊って良いし、身分関係無く踊って良い。


普段は家柄を気にして踊れないご令嬢も、紫苑や美琴、ケイゴとのダンスの機会を伺っている。ミラはその3第人気者に囲まれており、見目麗しいお嬢さま方の尖った視線が、心臓をおかしく拍動させている。


「私、ちょっと風にあたりにーーー」


ミラが言いかけると、美人がケイゴの後ろから話しかける。


「亜月様、どうか私と踊って頂けませんか!」


初めて見るご令嬢だが、ケイゴは知っている様だった。


「片浜嬢、お誘いありがとうございます。せっかくですがーーー」


「どうぞ!お引き止めして申し訳ありません!」


ミラはケイゴの背中を押す。ケイゴは「は(-᷅_-᷄๑)?」と怖い顔で見てくる。


「レストルームに行って参ります!」


ミラは逃げる様にその場から離れる。


「離れるなって言ったのに、また変な気を回して…。」


そう小さく呟く。ご令嬢に腕を掴まれているケイゴは、無碍にすることも出来ず、パーティーに紛れていたハリス家の護衛に目配せする。ミラのこういう時の逃げ足は相当速い。無駄な特技だ。


ミラはケイゴに捕まらない様に人混みに紛れながら進んだ。フッと振り返ると、ダンスの為に中央に歩くケイゴとご令嬢が見え、ミラはホッと息をつく。


目の前には煌びやかなケーキが飾り付けられており、ミラは目を奪われる。


(うわー!美味しそう❤︎今日もciel RoZeのケーキだ!コレは新作かなぁ!)


「すみません、コレとコレと…コレをお願いします。」


「かしこまりました。お飲み物も如何でしょうか?」


「では柚子ハニッシュ(ciel RoZeオリジナルの柚子のハチミツ漬けを炭酸で割ったもの)を。」


「畏まりました。」


ミラは席を探すが空いていない。


「うーん…。」


「良かったらご一緒しませんか?」


そこへ男性が声を掛けてくれる。外人風の顔付きで、目の色が薄い青だ。吸い込まれそうなその青に、ブロンズの髪が映える。紛れもなく美青年だ。


「私はフリーですので、良ければ。」


「ではお言葉に甘えて。ありがとうございます。」


「美味しそうなケーキですね。」


「良かったら一緒に如何ですか?ciel RoZeのケーキはとっても美味しくてオススメなんですよ!!」


「ciel RoZeのケーキなんですか!?今とても人気ですよね。」


「ご存知でしたか!」


「はい。ではお言葉に甘えて。」


「こちらはイチゴのムースです。イチゴは有機農法の契約農家のもので、このソースは特に濃厚で甘酸っぱくて美味しいんです。甘いの物が苦手な方でも、さっぱり食べられます。こちらのシフォンケーキも拘りがあって、フワフワの生地は卵の風味がとても豊かなんです!更にこの生クリームも甘さ控えめでーーー」


言いかけた時、相手のビックリした顔が目に入り、喋りすぎた事に気付き急に恥ずかしくなる。そんな様子に男性は綺麗に笑う。


「ハハハ!あっ失礼しました。あまりにも真剣で可愛らしく感じたものですから。」


ミラは頬を隠しながら謝罪を口にする。


「喋り過ぎてすみません…。」


「いえ、とてもお好きだと伝わって来ました!」


「えーっと…。」


「ではこちらをいただきます。…成程、コレは美味しいですね!」


ミラは笑顔を返すに留める。


「あっ!私ハナミネ ミラと申します。」


「申し遅れました、私はジーク・ラングルと申します。ジークとお呼び下さい。」


「ジーク様は踊られないのですか?」


「私はダンスが苦手でして(^◇^;)」


「そうなんですね。では私と一緒ですね!」


「ミラ嬢も苦手なんですね!」


「えぇ。お相手の足を踏み固めてしまいます。」


(踏み固めるって面白い表現だな。)


「それは被害者が出なくて良かったですね。」


「えぇ!本当に。」


そんな軽口を叩いていると、ジークがミラを見つめる。


「どうかされました?」


「口の端にクリームが付いてます。」


ナフキンで拭ってみる。


「取れましたか?」


「いえ?まだ付いてます。」


ミラはもう一度口を拭う。


「どうでしょう?」


するとジークはクスッと笑ってミラのナプキンを持って近づいてくる。そして…チュっと口の端に口付けられる。ミラは呆然としてしまう。そしてワンテンポ遅く反応する。


「っえっ?えっ?えっ?な、何…?」


当のジークはイタズラっぽくウィンクしている。


「クリーム、取れましたよ!」


「…あっ、ありがとうございます…。」


ジークがごっつい普通なので、ミラも他意は無かったのだと思った。

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