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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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夜会

ケイゴが頼んでくれた食事は、朝食とほぼ同じだった。


「時間が時間なので、ブランチにしてもらいました。」


「嬉しい!クロックムッシュにスープ、このサラダにはローストビーフも!嬉しすぎるー!豪華だね!!!ローストビーフ大好き❤︎」


「知ってます。何でもいいから早く食べて下さい。お話もありますし。」


「話って?食べながらでいい?」


「はい。先程のクッキーと紅茶からは、毒物は検出されませんでした。しかし捕らえたメイドを逃したと報告がありました。申し訳ありません。確実に暗殺者でしょう。」


「そっか。」


「毒物は証拠が残りますからね。その代わり暗器を持っていたでしょう。」

(一体狙われたのはミラと俺、どっちだ?)


「そっか。ありがとう。」


「…お嬢、ありがとうって、ちゃんと聞いてました?犯人取り逃してるんですよ!懲罰事案ですよ!」


「相手の方が上手だっただけのことでしょ?」


「お嬢!もっと危機感をもって下さい!貴方が狙われたんですよ!」


「そうかもしれないけど、大丈夫だったし。」


「貴方の危機感の無さに脱力します。こっちは戦々恐々としてるのに!もういいです。」


ケイゴは怒ったまま部屋を出て行く。


「あ…。怒らせちゃた。」





***




「おうケイゴ!ミラちゃんにご飯届いた?って怒ってるな。喧嘩でもした?」


美琴が疲れた様子のケイゴに声を掛けてくる。


「はー。お嬢の危機感が無さすぎて、慎重になってるこっちが馬鹿みたいで。」


「元々ポヤッとしたお嬢様でしょ?今更だよ。」


紫苑も続く。


「でも暗殺者だ!ミラが狙われたんだぞ!」


「狙われたのはお前かもしれないだろ?」


「それならその方がまだましだ。」


「さっきから何をイライラしてるの?ケイゴは。」


「ミラの危機感の無さに憤ってるだ。」


「違うでしょ?自分の代わりに狙われたのがミラちゃんだって自覚してるから苛立ってるんでしょ?自分じゃミラちゃんから離れられないから。」


「…。」


「いつもの冷静さはどうしたの?もっと落ち着け。そうじゃ無いと相手の思う壺だよ。それに今日は内輪だけの夜会もある。それまでに仲直りしないなら、またパートナーは僕が務める事になるけど、いいの?」


「……分かってる。」




***




ミラは部屋でぼーっとしている。


「はー。」


「溜息なんかどうされました?お嬢様。」


「タミさん…。ケイゴとケンカしちゃったの…。」


「例えケンカしても、ケイゴくんはいつもお嬢様の味方ですよ!」


「…。」


ミラは浮かない顔だ。


「じゃぁ、気分転換に外出しましょう!」


「…護衛無しで行ける?」


「別にケイゴくんじゃないといけない決まりはありませんし、ハリス家の他の方に護衛をお願いしましょう!」


「ご迷惑じゃらないかしら?」


「じゃぁジェスさんに言いましょう!」




***




「ここは賑わっていますね!」


「…そうね。」


「元気出してください。旦那様からお買い物代も預かっていますよ!気に入ったアクセサリーでも買いましょう!…さっき挨拶したケイゴ君は、普段通りでしたよ。怒ってる感じはありませんでした!」


「…。」


「もしかして、ミラ?」


ミラは声の方に向く。


「やっぱり!久しぶりだな!」


男は同伴している女性に声を掛けてこちらに来る。


「…えーっと…あっ!翔くん?」


「そう!ここで何してんの?」


「お買い物を。翔くんは…デート?」


ミラは向こうの女性に視線を送る。


「…そう、だけど違う。」


「???」


「コレ、名刺。」


(名刺?お坊ちゃんが?)


「「レンタル彼氏?」」


ミラとタミさんの声が揃う。


「そう!今仕事中だから、また連絡して!」


「あ、うん。お仕事頑張ってね!」


「ありがとう!じゃあね!」




***




「お嬢様、今日お会いした方にご連絡はされたんですか?」


ケイゴが雑務をしながら聞き耳を立てる。ミラは夜会の準備をしながらもチラッとケイゴを盗み見る。


「…してない。」


「してみたらいいじゃないですか!過去の男なんでしょ?」


ケイゴはケンカ中な為出来るだけ気にしていない素振りをしつつ会話に耳をそば立てる。


「か、過去の男って…。過去の男で間違ってないけど、転校していったクラスメイトね(^◇^;)」


タミさんはケイゴを意識しながら話す。


「あの方も連絡してって言ってましたし、交友関係は広めておいた方が懸命ですよ。」


「…彼ね、多分KAHOとはあまり仲良くない家柄の三男なの。それでも交友関係は広い方がいいのかな?」


「例えそうだとしても、わざわざ仕事中に声を掛けてくるくらいにはお嬢様と仲良くなりたいって事ですから!」


「そっか。じゃぁ連絡してみようかな。」


ミラは名刺を出す。ケイゴはその名刺に反応する。


「何ですか、それは。」


ケイゴはミラからスッと奪いじーっと見る。


「…。レンタル彼氏って何ですか。彼氏が欲しいんですか?婚約者がいるのに?」


ケイゴは不機嫌な顔だ。


「コレは、今日またまた会った方から頂いた名刺です。連絡してって。」


「する必要はありません。」


「ただの同級生よ?」


「だから何ですか?」


「交友関係も広げなきゃだし。」


「俺がおすすめをピックアップしてリストを作りますから、お待ちください。そんなことより、いつの間に外出したんですか?俺は知らされていませんでした。危ない時期だって警告しましたよね。説明を求めます。」


ケイゴは更に機嫌を悪くしミラに詰め寄る。


「えっと…。」


「ケイゴ君、お嬢様は今朝から落ち込んでいてね、気分転換に少し出させて貰ったの。外出はジェスさんにお話しして、護衛もお借りしたから問題無いはずよ。」


タミさんは暗に『喧嘩したせいだ』と訴える。ケイゴは気まずそうな顔をする。ミラはタミさんの行間は読んでおらず、慌てて謝る。


「ケイゴ、何も言わずにごめんなさい!今朝も怒らせてしまって…。タミさんを怒らないで!私のわがままなの!」


ミラは人の為なら直ぐに謝ってしまう。ミラが悪気なくても。そんなミラにケイゴはバツの悪そうな顔だ。


「お嬢ーーーー」


コンコンコン


ケイゴが言いかけた時、部屋がノックされる。「どうぞ」と声をかけると使用人が夜会の開始時間だと告げる。ケイゴもミラもちゃんと仲直りが出来ないまま、夜会に参加する事になってしまった。

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