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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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過去遍4〜ミラとケイゴ〜

「お嬢様、最近食べる量が減ってますよ。みんなも心配してますから、食べて下さい。」


「…お腹が空かないの。ていうか、すくんだけど入らないの。」


「今日はお嬢様が食べやすい様にポタージュとニョッキにしてみました!頑張ってみましょう。」


「…うん。」


ミラは最近ご飯を食べない。食べても吐いてしまう。でも元気に彼氏の家に行く。しかし日に日に顔色が悪くなる。


「お嬢、しっかり食べて下さい。最近顔色が悪いですよ。」


「…。食べたら太っちゃうの。先輩、太った子は嫌いなんだって。」


「!!もしかして、ソイツの為にダイエットしてるんですか!?」


「ソイツなんて言わないで。ダイエットはしてないよ。維持してるだけ。」


「そんな事言って。そもそもお嬢は太りにくい体質だし痩せ気味なんだから、食べても大丈夫ですよ!」


「彼の為に綺麗になりたいの。」


「お嬢!」


俺はお嬢の腕を掴んだ。その腕は元々細かったが更に細くなっていた。


「細!!」


「細くない。普通よ。」


「いや、俺の周りの女子はもう少ししっかりしてますよ!」


「ケイゴの周りの女の人なんて知らない。私の周りはみんなこんなもんよ。」


「お嬢!」


ずっと一緒に居たのにいつの間にかこんなに痩せ細ってしまった。その事に気づかなかった自分に苛立ち、つい大きな声が出る。好きな女がこんなに辛い思いをしていたのに。


ミラはケイゴの手を振り解いて部屋を出ようと素早く立ち上がる。その瞬間、頭が揺れたかと思うと、フッと気を失い倒れそうになる。


ケイゴはビックリするが反射的にミラの手を引き寄せ受け止める。ミラの体はズルズルと膝から崩れた。


「「「お嬢!!!」」」


みんなが駆け寄って来る。ミラは完全に意識が無く、すぐに知り合いの医者に来てもらった。


「お嬢は栄養失調です。何かありましたか?タミさん、ケイゴ。」


「…最近食事をあまり取ら無くなって…。太りたくないみたいで。頑張って食べても吐いちゃうんです。」


「…心の問題かもしれないね。あまり無理に食べさせず、好きなものを罪悪感無く食べられる様になると良いんだけど。しばらくは点滴とジュースで様子をみよう。」


「はい。」


「ケイゴ、君の力で食べさせられないの?」


「どういう事ですか?」


「お嬢は君が好きだろう。一緒に外食するとか。」


「…お嬢はもう俺をどうも思ってないです。野球部のヤツと付き合ってるんで。」


「そっか。…その人の為に痩せようとしてるんだよね。なら、その人に頼め。このままだとやばいぞ。 」


「…はい、分かりました。」



***




暫くしてミラが目を覚ます。


「う、うーん…私…。」


「お嬢、お加減いかがですか?」


「大丈夫よ。」


「少し顔色も良くなりましたね。」


「えーっと…。」


「倒れたんですよ。栄養失調だそうです。最近ダイエットしてたんですか?」


「…してるつもりは無かったけど、でも先輩が細い方が好きって…。」


「ご飯の量が急激に減ってましたね。だから倒れたんですよ。彼氏とは連絡つきますか?」


「…着くけど…心配させたくない。」


その言葉に苛立つケイゴ。


「本当に好きなら、すぐに駆けつけるはずです!」


「でも先輩を困らせたくないの。」


「それでも連絡すべきです。」


ケイゴは体を起こしているミラの両手を掴む。


「知らせるべきです!彼氏にはちゃんと知ってもらうべきだ!」


「………。」


「なら俺から連絡します。」


「ケイゴ、辞めて!…お願い。」


「…ならこのジュースを一先ず飲んで下さい。」


ミラはジュースを受け取り口をつける。


「!!あっま!…無理…飲めない…。」


どうやら物凄く甘くどいらしい。


「…増えちゃいますけど、牛乳で割りますか?」


「…うん。少しずつ飲む。」


その日は何とか流動食を飲んだ。




***



次の日、ケイゴはミラの彼氏に会いに、部活の終わる時間に学校の門に来ている。帰りの中学生にジロジロ見られるが、そういう視線には慣れている。


「あ、あのー、誰かお探しですか?良かったら案内します。」


「野球部のキャプテン知ってる?」


「は、はい!」


「連れて来れる?」


「はい!すぐに!」


女の子は目をハートにして去っていく。少しして、男を連れたさっきの女の子が戻ってくる。


「お待たせしました!」


「えっと…?どちら様?知らないんだけど。」


「ミラの保護者だ。」


「!!あー?ミラの?何ですか?」


「…ミラとはどういう関係だ。」


「は?あんたこそミラの何なんだよ。」


「保護者と言っただろ。それに俺が質問をしている。答えろ。」


「あぁ?」


その態度にケイゴは冷たく睨む。凄く怖い顔で。


(な、なんだこのイケメンは。めっちゃこえー!)


「…付き合ってます。」


「ふーん。じゃぁミラに痩せろと言ったのか。」


「あー、女で45kg以上はデブって言っただけです。」


「お前…。身長が158cmあったら標準体重は54kgくらいだ。こんな知識もない奴の為にミラは倒れたのか。」


「は?倒れた?誰が?」


「ミラがお前の不用意な発言のせいで栄養失調で倒れた。」


「…は。自己管理能力の無さを俺のせいにされても。」


それを聞いてケイゴの怒りは限界を振り切りそうになるが、ミラの為ここは堪える。


「兎に角一緒に来てくれないか?」


「何で俺が?」


「………そうか。ならもう良い。その代わり二度とミラに近づくな。」


「は?あんたに何の権限かあるんだ!」


「俺はミラの親から委託されている。もう二度と会わせない。」


ケイゴはそういうと立ち去る。


(何なんだよ、あの男は。)

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