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ワルい男に誘惑されてます。〜天然系お嬢はイケメン893?に護られて、ドキドキな青春を過ごします。  作者: 華峯ミラ


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誕生会の準備4

終わりのあたりを加筆修正しました。


「…大人になったら…かぁ。」


「どうしたの?ミラちゃん?」


ミラは夕涼みに庭園のベンチに座って月を見ている。


「紫苑さん。」


紫苑はゆっくり近づいてくる。


「隣、座っていい?」


「はい、どうぞ。」


ミラは少し横にズレて場所を広げる。


「うちのメイド達が君達に意地悪をしていたみたいで、申し訳ありませんでした。」


「!ちょっと待って下さい!何の事ですか?」


「ケイゴになかなか会えなかったのは、メイド達がケイゴに横恋慕してね、君を遠ざけてたんだ。」


「…ケイゴはモテますからね。いつ飽きられるかって、いつも不安で…。」


「そんな心配はしなくて良いと思うけどな。」


「そうでしょうか。ケイゴ、私には手を出さないし…。」


後半は恥ずかしくて消えそうな声だ。


「フフ。手を出して欲しいんだ?」


「…。」


ミラは耳まで真っ赤にして俯く。


「大切にされてる証拠ではあるけど。女の子からしたら不安要素になるのかな?プラトニックでステキだと思うけどね。」


「分かってるんですけど…。そう言う事が出来ないと、他を見てしまうんじゃ無いかって…。美人でも無いし、ムネも無いし…。」


紅いままの顔で告白するミラは、とてもいじらしくて可愛い。


(こんな可愛い事言われたら、誰だって我慢出来ないだろ。よく耐えてるな。ケイゴは悟りでも開いてるんじゃないかってくらい禁欲的だな。お坊さんか?)


「…女の子を不安にさせる男はダメだね。」


「ケイゴはイイ男です!ちゃんと気持ちもいつも伝えてくれて、安心させようとしてくれます!だからコレは私の心の問題なんです。」


「うーん。ケイゴは大人だから、その辺のミラちゃんの複雑な感情を察して何とかしてあげるべきじゃない?」


「……オトナって何だろう。」


「哲学的な質問だね(苦笑)。ねぇ、抱きしめていい?」


「えっ?」


紫苑はミラを抱きしめる。


「紫苑さん!?ちょ!」


「どうしたの?」


「どうしたはこっちのセリフですよ!びっくりしました!」


紫苑はそのまま話す。


「今回の事で、ミラちゃんは少なからず傷ついたんじゃない?ケイゴを愛してるから。だからケイゴからもらえる愛がいつかなくなるんじゃないかって不安を覚えて、怖くなる。」


紫苑は手を緩めてミラと見つめ合う。そして美しい顔で微笑む。それはまるで天使のようた。


「でもそれはケイゴも一緒だよ。寧ろミラちゃんよりも不安に思ってるかもね。」


「え?」


「おい、離れろ。」


そこへ凄く低く響く声が掛かる。凄く睨んでいる。ミラを…と言うより紫苑を。


「ひっ!ケイゴ!」


ミラは慌てて離れる。機嫌激悪なケイゴがズカズカと近づき、ミラを力強く抱き寄せ紫苑を睨んでいる。


「お姫様は返すよ。」


「触るな。」


「ごめんね。ミラちゃんに謝りに来たんだよ。」


「お前を信用してるから、これ以上裏切るなよ。」


「あぁ、そうだね。もう寝るよ。ミラちゃんお休み。」


「はい、おやすみなさい。あっ!あの、メイドさん達を罰しないで下さい。」


「ミラ!それは貴方が介入できる問題じゃ無い。」


「そうかもしれないけど、でもケイゴを手厚く看病してくれたのは本当です。メイドさん達は少し私を羨ましく思ってくれただけなんです。私は怒ってません。だから…。」


「確かにそうかもしれないけど、僕の大切なお客様達を不快にした事は事実だ。…でも

広い心でミラちゃんが許してくれるなら、善処するよ。」


そう言ってスッと消えて行く後ろ姿の紫苑を、ミラは目で見送る。


「ミラ、風邪引くぞ。早く部屋へ行こう。」


いつの間にかケイゴの上着を掛けられている。その暖かさとケイゴの匂いについ安心てしまう。そして、「幸せ」を感じでしまうのだ。


「ねぇケイゴ、私ね、ここ数日不安だったの。」


「毎日あんなに練習してるんだから、ちゃんと出来る。心配はいらない。」


「それも不安だけど、ケイゴの事の方が不安だったんだ。」


「俺?ただの疲れだ。心配かけたな。」


「そうじゃ無くて…。ケイゴはいつも私を優先してくれて、気持ちも伝えてくれるけど、その気持ちに答えられてるか不安で。私達はまだ…して…ないから…。」


ケイゴがミラの手を引き抱きしめる。ケイゴの体の熱を感じる。暑いくらいに。そして優しいキスが降る。


「不安にさせてごめん。でも俺はちゃんと結婚して、ミラの気持ちが追いつくまで待つつもりだから。焦るな。俺たちはゆっくりでいいんだよ。」


「…こんなに真面目なケイゴ、初めて見たかも。」


「…好きな女が自分のせいで不安がってるのに、真剣に対応しない男がどこにいるんだ。」


「うん。もう少しこうしてていい?」


ケイゴはミラの体が冷えない様に上着の上から強く抱きしめた。ミラもそれに応えてギュッと抱きしめ返す。


その二人のシルエットはとても美しくうっとりする光景だ。その二人を紫苑は部屋から眺めるのだった。

少しはほっこり出来ます様に。

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