絆される
なかなか更新出来なかったので、長めに投稿します!
「そろそろ交代してよ。オレだって交友を深めたいんたから。」
そんな時スマホが振動する。ケイゴから電話だ。
「家から電話が来たので、少し出て来ます。」
サーっとミラが席を外す。
「ミラちゃんのID、まだ教えてもらって無いのに。」
「お前も?エイタもまだだって。ミラちゃん、ニコニコしながら最低限の話に付き合う感じで、他の子みたいにあんまり積極的じゃ無いもんね。本当は彼氏いるのじゃ無いの?」
「あーだからさっき人数合わせだって言ってたのか。ユウリの得意分野じゃん!」
「人聞きの悪い事言うな!オレのことを好きになる子が、彼氏持ちが多いってだけで、オレから誘ったことは一度もねぇよ。」
「ふーん。」
暫くしてミラが帰って来る。
「おう、ミラちゃんお帰り。」
ユウリが話しかける。
「あの、そろそろお暇してもいいですか?」
ミラはユウリの耳元で囁く。
「なんか、近くまで迎えに来てくれてるみたいで。」
「そうなんだ。じゃぁ、送るよ。」
「いえ、いえ、コンビニも寄りたいし、他の子と楽しんで下さい。」
「21時だし危ないから!」
「でも…。」
「いいから!いいから!」
ユウリはミラをクルッと回し、出入り口へと促す。
大通りに面した道のコンビニに、ミラは入る。ユウリは外で待っていると言う。ミラはサッとコーヒーと水を買って外へ出る。
「お待たせしました!」
「ううん。早かったね。」
「はい。」
ミラは水を手渡す。
「えっ?」
「お酒を呑まれてましたよね?後で必要になるかと思って。本当は皆さんにと思ったんですけど、重くなっちゃうから。」
ミラはユウリに顔を近づけて言う。
「ユウリさんだけに。秘密ですよ?」
耳元で囁き離れるミラ。その笑顔はイタズラっ子の様だ。そこへ黒塗りの左ハンドルがスーっと来て止まる。車から長身のイケメンが降りる。ケイゴはユウリを一瞥し、ミラを自分の方に抱き寄せながら声を掛ける。
「ごめん、待たせた?」
「ううん。ごめんね、遊んでたのにお迎えに来てもらって。全然電車で帰ったのに。」
「もう遅いから。それに酔っ払いは危ないからね。」
ケイゴはユウリを再び見る。ミラは飲み会で鼻がバカになっているので感じなかったが、ユウリからはお酒の匂いがするのだろう。
「貴方は飲まされて無い様だな。」
「ずっとご飯食べてたよ。」
ケイゴはフッと笑うと、ユウリに視線を向ける。それに気づいたミラは紹介する。
「こちらはユウリさん。危ないからって、ここまで送ってくれたんだよ。」
「そうですか。ミラがお世話になりました。後はこちらで引き取りますので、会場へお戻り下さい。」
言葉は丁寧だが、声色や目付きは追い払う系のものだと、ユウリは気づく。
(マジで彼氏いたのか。しかも独占欲丸出し。しかもかっこよー。)
「じゃぁ、ミラちゃんまたね。」
「あっ!待って!」
ミラが駆け寄って行き、ユウリのポケットに何かをギュッと入れながら、耳元に顔を寄せて何か言っている。ケイゴはその仲良さげに一瞬イライラしてしまう。すぐに小走りで戻って来たが、この数分の様子で今日はお仕置きが必要と判断した。
ミラのエスコートをしてから車に乗り発進させると、早速ミラが話しかけてくる。
「ケイゴ、お仕事終わりなのにお迎えに来てくれてありがと!」
ミラはさっきコンビニで買った、ケイゴの好きなコーヒーを渡す。こう言う気遣いが出来るところが、ミラの人気のあるところだろう。こんな事で絆されてしまいそうだが、今日はちゃんと俺の機嫌を取ってもらわないといけない。
「さっきの男は誰ですか?」
「あー…何か、合コンなるものに参加する事になりまして…。」
「……。」
チラッと盗み見ると、明らかに機嫌が悪い。
「知らなかったの!」
「……。」
「…怒ってる?」
するとケイゴはものっ凄くステキな笑顔で答える。
「コーヒーありがとうございます。でもコンビニのプチギフトで、俺は誤魔化されませんよ?」
(うっわ。もう、すごくニッコニコ…。)
ミラは苦笑いする。
「合コンなるものは、楽しかったですか?」
「そうですね、なるものは美味しかったですね。」
「何が美味しかったんですか?男ですか?」
冷めた目でケイゴは言う。急に車を路肩に停めた。
(え?)
ケイゴは迫りながら獲物を見る様な目でミラを見る。ミラは目を泳がせながら後ろに体を引くが、ケイゴの腕が逃さないと言わんばかりに肩を抑えられる。
「スモークサーモンとキッシュです。」
「貴方が美味しく召し上がった分、俺にも味見させて下さい。」
真剣な顔がさらに迫ってくる。
「もうお腹の中ですよ。」
「まぁそう仰らず。」
ミラは目をぎゅっと閉じる。キスされるかと思ったが、ちょっとして顔が離れるとケイゴは何かを思案する様に「うーん。」と考え込んでいる。
「どうしたの?」
「おかしいんですよねー。」
「えっ、何が?」
続きは考え中。ケイゴは何を考えていたんだ?、




