修一編10〜ネタバレといこうか〜
実際の催眠術などの知識は作者には有りません。
現実とは関係有りません。
「ねぇ、何でケイゴがあの場所にいたの?」
あれから授業も終わり、皆んなが帰って来てから家族会議が始まった。
「順を追って話しますね。まずお嬢が居なくなって10日間は、本当に見つけられませんでした。KAHOの表の力を総動員しても無理でした。
誰とどこにいるかは時間を掛ければ見つかるでしょうが、短時間で見つけなければならなかったので、全く心当たりが無いとなると、本当にお手上げでした。
でもミラが一時帰宅して、ヒントを残してくれたお陰で、修一じゃ無い事が分かった為、すぐに面が割れました。顔さえわかれば、国内なんてあっという間でした。周防という人物が浮上し、その指示でアメリカまで飛んでいた修一に事情を話し即帰国させた。
そしてアジトに戻り、暗示を消してくれと頼んだんだ。でも修一は拒否した。」
***回想
「ケイゴさん、ボクじゃ周防さんが掛けた暗示は解けません。強い暗示は掛けられないんです。」
「…弱い暗示なら掛けられるんだろ?」
「はい、体の痛みを和らげる程度ですが。」
「うーん。何か、弱い暗示を強くする方法は無いのか?」
「…媒体…と、ミラちゃんの強い意志があれば可能かも…?」
「と言うと?」
「ミラちゃんは、暗示が掛かりにくいタイプなのか、もしかしたら抗っているのかもしれません。頻繁に解けかかるんです。頭痛はその為じゃ無いかと。だから頻回に周防さん自身が掛け直してるんです。もし掛かりやすい人なら、ボクが暗示を巡らすだけでまず解けません。だからミラちゃんの意志で抗ってるんだとしたら、何か媒体があれば暗示が深まらないかもしれません。」
ケイゴは難しい顔をする。
「媒体…になるような物とは何だ?」
「それを見たり触ったりして、心の拠り所に出来る物が有れば…。」
「つまり、偶像崇拝みたいな物だな。」
「はい。ミラちゃんが常に身につけてる物は有りますか?」
「…常に身につけてる物…?」
長い沈黙の後、修一が口を開く。
「ネックレスは…?」
「ネックレス?」
「はい、薔薇のネックレスをいつも付けてて、よく触ってるんです。周防さんに取られそうになった時も、あれだけは泣きながら嫌がってました!ご両親の肩身だって言ってました。」
「!!それは肩身じゃ無い。」
「え?」
「俺がプレゼント…\(//∇//)\」
言っている途中で真っ赤になるケイゴ、それを見て修一は驚いた。
(あぁ、この2人は相思相愛で、ボクの出る幕は無いんだな…。)
少し胸が痛むのは、気づかなかった事にした。
***
「修一、もう帰って来たんだね。」
周防の居るアジトに戻る。
(そりゃそうだ。KAHO家に手伝ってもらって資料を集めたんだからな。それよりミラちゃんは大丈夫か!?)
「はい、先生が望まれた調査報告を纏めて、急いで帰って来ました。」
「そうか。ご苦労様。ゆっくり休んでね。」
「ありがとうございます。せっかく帰って来たので、ミラちゃんに挨拶して来ます。」
ミラの部屋をノックする。
「どうぞ。」
部屋へ入ると、ミラがベッドにチョコンと座って首を垂れている。
「どうしたの?体調悪いの?」
「大丈夫です。たまに頭が痛くなるだけです。しばらくしたら良くなるので。」
「そっか。痛みを取る暗示を掛けてあげるね。」
修一が額に手をかざすと、スッと痛みが消えていく。
「ねぇ、ミラちゃん。忘れないで欲しいんだ。苦しくなったらこのネックレスをギュッと握って、大切な人の事を強く思うんだ。相手は分かるね?」
ミラは目を見開く。
「さぁ、もう暫く寝るといいよ。」
その声に合わせて、睡眠に誘われる。
「修一…さん…ありが……。」
ミラは最後まで言い終わる前に睡眠に落ちた。




