修一編9〜翌朝〜
カーテンの隙間から、柔らかな朝の光が差し込む。ミラは眩しさに目を覚ます。目を開けてボーっとする。体を起こそうとすると、太ももや腹筋が痛い。足の裏も心なしかジンジンしている気がする。
コンコンコン
扉がノックされる。
「お嬢、起きてますか?」
「どうぞ。」
そう言うとゆっくりドアを開けてケイゴが入ってくる。
「起きられそうですか?」
「…全身が痛くて…。」
「お嬢は運動不足ですからね。昨日はずっとヒールで立ってましたし、相当走らされてましたからね。そうだと思いました。少しマッサージさせて下さい。」
ケイゴは優しく揉んだりさすったりしてくれる。
「あっ、あぁぁ、気持ちい!上手いね^_^」
「そう言う声、出さないでもらえます?」
ジト目で見るケイゴ。
「素直な感想なのに。」
「俺も若い男ですからね、エッチなイタズラしちゃうかも知れませんよ。」
ケイゴはいつもの調子でイジワルを言ってくる。
(昨日は落ち込んでたみたいだから良かった!)
「はい、終わりです!お嬢起きれそうですか?」
ケイゴは背中を支えて抱き起こしてくれる。さっきよりかなり体が楽になっている。
「スゴイ!痛く無い!」
「…昨日すべきだったんですけど…すみません。」
「ううん。ありがとう。休息を優先させてくれたんでしょ?楽になったわ。」
「じゃぁ俺は下がりますから、着替えて朝食に来てください。今日はリモート申請してありますので、もう少しゆっくり出来ますよ。」
「…ケイゴは出勤しちゃうんだよね…?」
「えぇ、まぁそうですね。」
ミラはケイゴの袖口をちょいとつまんでシュンと俯く。
「………寂しい。」
ケイゴは一瞬ビックリして珍しく紅くなる。ちょっと慌てつつミラに言う。
「大丈夫ですよ!すぐに帰って来ます!それに、授業だって1番近くで聞けますよ^_^」
「…そうかもだけど。」
(恋人として今日くらいは一緒にいてあげたいが…。)
ミラはパッと顔を上げて、急に明るく振る舞う。
「なーんてね!冗談冗談!心配した?」
「しましたよ、もちろん。」
「ごめん^_^大丈夫だよー!ここにはおじいちゃんもタミさんも、みんなもいるから。」
(空元気だな。)
ケイゴはミラを抱きしめて口付けをする。その行動にミラは一瞬瞳を見開くが、すぐにとろ〜んとしてしまう。
(慰めてくれてるのね。)
唇が離れ抱き合いながら暫く見つめ合っている。
ドンドンドン!
けたたましいノック音がして、外からタミさんか声をかける。
「お嬢様!起きて下さい!ケイゴも遅刻しますよ!」
2人はどちらとも無く吹き出してしまった。




