家の交換……
少しだけど読んでもらえて嬉しいです。
異世界ものというかタイムリープものです。
ゆっくり更新ですが、気になる方はブックマーク入れてお待ち下さい。
ついに、家を交換します!!
俺の家は、さっき話した場所から歩いて5分だった。
「コーポ山崎?!アパートってやつだよね?友達も戸建てだからアパートって初めて見た。すごーーい」
「ああ。そうだな。このアパートは、2年後に取り壊しが決まってて今住んでるのは、1階の右端の原口さんと左端の真山さんだけなんだよ」
「きちむーーは、2階にいるの?」
「そう。俺は、2階に住んでる。2階は、もう誰もいないし。俺の下の住人もいない」
「へぇーー。でも、何できちむーーは引っ越さないの?」
「俺?俺は……。父さんが契約してくれた所だから……だよ」
「父さん?死んじゃったの?」
「死んでねーーよ。俺が、ここに越してきて暫くしてから離婚したんだ。それっきり、会ってねーーよ」
俺は、アパートの鍵を開ける。
「へぇーー。意外に綺麗にしてるじゃん」
「掃除しなきゃ、ハニーレモンちゃんに悪いからな!!あっ、あの、ハニーレモンちゃんには触らないで欲しいです」
俺は、リビングのこたつの前にある棚を指差した。
一生懸命働いたお金で買って集めてきたハニーレモンコレクションだ。
「触らないから大丈夫。だけど、これは別だ」
「そ、それはわかってますよ。ただ、わがままなのはわかっているのですが……。出来れば、その台座に置いていただけると有難いのですが……」
俺は、台を指差した。
ハニーレモンちゃんを入れて眺める為に、わざわざ木製のガラスタワーを購入したのだ。
時計とか入れて眺めたりするやつだ。
「この台にか?」
「はい。そちらにハニーレモンちゃんを……」
「構わない。ただ、ここの鍵は私が持っている。いいかな?」
「あ、ありがとうございます。それは構わないです」
「そうか。じゃあ、君が入れなさい」
おっさんは、ハニーレモンちゃんの入った紙袋を俺に渡してくれる。
「いいんすか?」
「どうぞ、どうぞ」
「では、失礼します」
俺は、おっさんの言葉を聞いてハニーレモンちゃんを箱から丁寧に取り出し、ケースに入れた。
用意したケースにハニーレモンちゃんが入っている。
何て神々しいんだ……。
「鍵を渡してもらおうか」
「あっ、はい。どうぞ」
「ありがとう」
おっさんは、ポケットに鍵をしまう。
「じゃあ、準備をして私の家に行こう。ここからは、距離があるからタクシーを呼ぶよ。あっ、それと荷物を詰めながらで構わないから話を聞いて欲しい」
「わかりました」
俺は、クローゼットから長らく使用していなかったスーツケースを取り出した。
必要な服を詰めていく。
季節は、まだ夏が終わったばかりだから服がかさばらずに助かる。
おっさんは、俺にタイムリープの話をしてくる。
おっさんの話しによると、俺が殺害された後に必ず戻ってくる場所はおっさん達家族の元だという。
おっさんの隣にいる隣人、宇賀田一家を殺害するまで俺は自由になれない事を告げられた。
もしも、10年殺せないとしたら……。
ハニーレモンちゃんは、10年人質で。俺の10年もないって事だ。
いや、それは御免だ。
サクッと殺せば終わる。
いや、殺さない選択肢もあるのだ。
「殺すか殺さないかは、君が最終的な判断をしてくれていい。しかし、君が殺さないという判断をした場合。我々、家族は平穏な日々が送れるまでここに住む」
「えっ?どういう事ですか?」
「殺さない場合は、騒音問題を解決してもらいたい。そうじゃなきゃ、私の気が狂ってしまう」
「わかりました」
そうだった。
この人達、家族は10年間も我慢しているんだ。
解決されなければ、家には帰れない。
そんな簡単な事がわかっていながら、俺は……。
「タクシーが来たから行こうか」
「はい」
タクシーに乗り込み、おっさんの家につくまでの間。
俺達は、何も話さなかった。
「ついたよ」
タクシーから降りた目の前に、緑の屋根が特徴的な家が立っている。
いわゆる、閑静な住宅地だ。
まだ、午後9時だというのに静かだ。
おっさんは、家の鍵を開けて部屋に入れてくれる。
「静かだろう?そこがとても気に入ってるんだ」
「確かに、静かですね」
奥さんは、娘さんに準備をしてくるように言っていた。
「スーツケースを横にして入ってくれ」
「お邪魔します」
広めの玄関を抜けて、家に上がる。
おっさんが開けた扉の先にリビングがある。
リビングには、3人かけのダイニングテーブルがあって……。
奥にある和室には、淡いブルーのソファーが置かれている。
「我が家は、珍しく1階に寝室があるんだよ」
おっさんは、俺にスーツケースを置くように言った。
俺は、おっさんについていく。
「妻と私は、ここで寝ていてね」
おっさんが寝室に案内してくれて、電気をつけた瞬間。
俺は、固まってしまう……。