秒速5センチメートル
昔から理系一家である我が家の話題は理系な話ばかりだった。兄から
「皮膚には触覚、圧覚、痛覚、冷覚、温覚しかない。最も多いのは痛覚を受容する痛点で、快感というのは痛覚のバリエーションだ」と教えてもらった事がある。なので長らく誰かに触られて気持ちいいというのは、『痛い』という感覚のバリエーションだと思っていた。そう言った意味ではSMなどで、痛みを与えるような行為にも合点がいく。
しかし最近、撫でられたりすると心地いいと感じる専用の神経、C触覚線維という物があることを知った。これが快感を受容するピークというのが、秒速5センチメートルで触られたり撫でられたりするときなんだそうだ。
秒速5センチメートルと聞けば、多くの人は新海誠監督の映画を思い出すだろう。確か桜の花びらがひらひらと舞い降りてくるスピードが、秒速5センチメートルだという話だった。あの映画は速度という物がテーマになっていて、副題が『どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか』である。主人公がヒロインに出会った頃に舞っていた桜の花びらが、最後は永遠の別れを示唆していた。
快感を得られる接触の速度と、桜の花びらが舞い降りる速度が同じ…偶然にしては出来過ぎた話だなと思う。いや、偶然ではないのかもしれない。




